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また、われらが、「この町に入れ。そして、そこから望むものを存分に食べよ」と言った時のこと。「入口から平伏して入り、『取り下げを』と言え。そうすればわれらはおまえたちにおまえたちの過ちを赦し、善を尽くす者には増し加えよう」。(2:58)
『この町』エルサレム、あるいはエリコ。
『存分に食べよ』遠慮なくたくさん食べよ。
『…と言った時のこと』荒野を脱出した後に彼らに言った。
『入口から』つまり、その町の城門から。
『平伏して』身を屈めて。
『取り下げを』つまり、われらの罪をわれらから取り下げてくださることを。
『…と言え』「われらの願いは…・です」と請願せよ。
『われらはおまえたちにおまえたちの過ちを赦し』読誦法によっては、受動態(「おまえたちの過ち」が主語)で、接頭辞を「ヤーゥ(y)」(「赦される(yughfar)」)と「ターゥ(t)」で読む(「赦される(tughfar)」)。
『善を尽くす者には』服従によって。
『増し加えよう』報償を。
すると、不正をなす者たちは、言葉を命じられたものでないものと言い替えた。それで、われらは不正をなした者に、彼らのなした違背のゆえに空から天罰を下した。(2:59)
『不正をなす者たちは』彼ら(イスラーイールの民)のうち。
『言葉を命じられたものでないものと言い替えた』そして、彼らは悪ふざけで(「取り下げ(hittah)」を「穀粒(habbah)」と言い換えて)「髪の中の穀粒だ」と言い、尻を引きずりながら入った。
『われらは不正をなした者に』彼らの所業の醜悪さを際立たせるために、代名詞(「彼ら」)が用いられる場所に実名詞(「不正をなした者」)が用いられている。
『彼らのなした違背ゆえに』彼らの不従順、つまり、服従からの逸脱が原因で。一時のうちに彼らのうち7万人、あるいはそれ以下の者が死滅した。
『天罰を下した』疫病の懲罰を。
ムーサーが彼の民のために雨乞いをした時のこと。われらは、「おまえの杖で岩を打て」と言った。すると、そこから十二の泉が湧き出た。すべての人が自分の水飲み場を知った。アッラーの糧から食べ、飲むがよい。そして、罪人となって地上で悪をなしてはならない。(2:60)
『彼の民』彼らは、荒野で喉が渇いていた。
『雨乞いを』降雨の祈願。
『…した時のこと』思い起こせ。
『おまえの杖で岩を打て』その岩とは、ムーサーの服を乗せて逃げ出した岩(監訳者注:牧野信也訳『ハディース イスラーム伝承集成』中巻、中央公論社、1994年、198頁参照)であり、人の頭ほどの大きさの四角な軽い石で、大理石、または脆い石であった。ムーサーはそれを打った。
(ムーサーの)杖は、楽園の低木からできていて、長さは10ズィラーウ(腕尺)、ムーサーの背丈であった。杖には2つの枝があり、夜の闇にはそれが光を灯した。それはアーダムが天国からもって来たもので、代々預言者に譲られて、シュアイブからムーサーに譲られたものであった。
『十二の』イスラーイールの民の支族の数の。
『湧き出た』岩が割れて、流れ出た。
『すべての人が』彼らの各支族が。
『自分の水飲み場を』彼らが飲む場所を。彼ら以外の者はそれを彼らとは共有しなかった。
そしてわれらは彼らに次のように言った。
『アッラーの糧から食べ、飲むがよい』『糧』とはマンナとサルワー、『飲む』とは泉からの水を指す。
『罪人となって』「罪をなす(’afsada)」と同義の動詞「悪を犯す(‘athī)」の強調のための副詞句。
おまえたちが、「ムーサーよ、われらはひとつの食べ物では耐えられない」と言った時のこと。「われらのためにおまえの主に、野菜やキュウリ、穀物、レンズ豆やタマネギのような大地が生やすものを生え出でさせるよう祈ってくれ」。彼は言った、「よりつまらないものをより良いものと代えようというのか」。町へ降りて行くがよい。おまえたちにはおまえたちが求めるものがあろう。
彼らの上には屈辱と貧困が襲い、彼らはアッラーからの怒りと共に戻った。それは、彼らがアッラーの印を否定し、預言者たちを正当性なしに殺したためである。それは、彼らが背き、度を越す不正をなしていたためである。(2:61)
『ひとつの食べ物では』そのうち一種類では。
マンナとサルワーのことである。
『穀物』小麦。
「fūm(穀物)」は、ニンニク(thūm)のことだとも言われる。
『レンズ豆やタマネギのような』前置詞「…のような(min)」は説明の前置詞。
『大地が生やすものを』(そのうちの)なにかを。
『言った』ムーサーは、彼らに。
あるいは、至高なるアッラーは(仰せられた)。
『よりつまらないものを』もっと粗末なものを。
『より良いものと代えようというのか』より素晴らしいものと。つまり、その代わりによりつまらないものを取るのか。疑問詞ハムザ「…か(’a)」は非難の意味。だが、彼らは立ち戻ることを拒否し、至高なるアッラーに祈願した。そこでアッラーは(次のように)仰せらた。
『町へ』町々の一つへ。
ムーサーとフィルアウンの町、つまりエジプトのことであるとも言われる。
『降りて行くがよい』下るがよい。
つまり、この場所から別の場所に移住せよ。「降りて行く」といっても高い場所から低い場所へ下ることに限らず、ある地から別の地に出ることを意味するために用いられる。
『おまえたちが求めるものが』野菜が。
『…あろう』そこ(町)には。
アッラーは、「町に降りて行け」と仰せられた。しかし、この命令は嘲弄のための不可能な命令で、彼らは町への道を知らなかったがゆえに40年間さ迷い続けたのであり、それ(町に行くこと)は不可能であった。
『彼らの上には屈辱と』侮辱と軽視と。
『貧困が』つまり、困窮の結果として停滞と恥辱が。たとえ彼らが金銭的には裕福であっても、それ(貧困)は鋳造貨幣に紋様が不可分に彫り込まれているように不可分である。
ユダヤ人ほど見下される民はなく、ユダヤ人ほど金に貪欲な者はなく、いかに金持ちになっても彼らには心の豊かさは決して訪れない。
『襲い』引き起こされ。
『怒りと共に戻った』帰った。
怒りを被った、怒りを受けるに相応しくなった、怒りを容認した、怒りを必定としたなどの意味だと言われる。
『それは』つまり、(屈辱と貧困の)打撃と(アッラーからの)怒りは。
『預言者たちを』ザカリーヤーとヤフヤー(ヨハネ)など。
『正当性なしに』不正に。
『殺したためである』殺したのが原因である。
『度を越す不正をなしていたためである』反逆において法を超えていた。強調のための繰り返し。
まことに信仰した者、戻った人々、キリスト教徒、サービィ教徒たちでアッラーと最後の日を信じ、善行をなした者、彼らには彼らの報酬が彼らの主の許にあり、彼らには恐怖はなく、彼らは悲しむことはない。(2:62)
『まことに信仰した者』以前に預言者たちを信仰した者。
『戻った人々』ユダヤ教徒のことである。
彼らは子牛の崇拝から戻った時に、そう名付けられた。
『サービィ教徒たち』ユダヤ教徒、あるいはキリスト教徒の一派。
サービィ教徒とは、キリスト教徒で天使を崇拝した者とも、星を崇拝した者とも、ユダヤ教徒とゾロアスター教徒の中間の者だとも言われる。彼らは己の宗教を変えたため、「サービィ(サバアした者=移った者)」と呼ばれた。
『アッラーと最後の日を信じ』われらの預言者ムハンマドの時代に。
『善行をなした』彼のシャリーア(聖法)に則って。
『…者』彼ら(ユダヤ教徒、キリスト教徒、サービィ教徒)の中の。
『彼らの報酬が』彼らの行いの報奨が。
『彼らは悲しむことはない』『信じ(’āmana)』、『なした(‘amila)』の代名詞接尾辞は主語の関係代名詞『者(man)』の形式的人称(三人称男性単数)に従っているが、後の文(『彼らは悲しむことはない(lā hum yahzanūn)』)では意味(三人称複数)に応じている。
彼らは不信仰者が懲罰を恐れる時に恐れず、善行を欠いた者が得そこねた報奨のことで悲しむ時に悲しむことはない。
また、われらがおまえたちと契約を結び、おまえたちの上に山を上げた時のこと。「われらがおまえたちに与えたものをしっかりと受け取り、そこにあるものを考えよ。きっとおまえたちは畏れ身を守るであろう」。(2:63)
『おまえたちと契約を結び』律法の書にあることの実践というおまえたちの約束。
『おまえたちの上に山を』おまえたちがそれ(律法の書)の受け入れを拒んだ際、根こそぎ引き抜いた山をおまえたちの上に。
『上げた』上げていた。
『時のこと』思い起こせ。
「律法の書を受け取らなければ、おまえたちの上にこれを降ろし、おまえたちの頭を打ち砕くであろう」と言われ、彼らはそれを受け取ると、顔の右半分で跪拝しながら左目で山を見つめた。
われらは言った。『しっかりと受け取り』真剣に、努めて。
『そこにあるものを考えよ』その実践を。
『きっとおまえたちは畏れ身を守るであろう』獄火、あるいは反逆行為を。
その後、おまえたちは背き去った。もしアッラーの恩恵と慈悲がおまえたちになかったら、おまえたちは損失者となったであろう。(2:64)
『その後』契約の後。
『おまえたちは背き去った』服従から離反した。
『アッラーの恩恵と慈悲が』おまえたちに悔悟を許した、あるいは懲罰を猶予したという(恩恵と慈悲が)。
『損失者となったであろう』破滅者となったであろう。
また、おまえたちは、おまえたちの中で安息日を破った者を確かに知っていた。そこで、われらは彼らに言った、「猿になって追い払われよ」。(2:65)
『安息日を破った者を』われらが彼らに禁じていた漁猟によって、法を超えた者を。彼らはアイラの住民であった。
『確かに』『確かに(la-qad)』の「la」は誓言の「ラーム(l)」(誓って、確かに)。
『知っていた』見知っていた。
『猿になって追い払われよ』(慈悲、あるいは名誉から)遠ざけられよ。それで彼らは猿になって、3日後に死んだ。
そうしてわれらはそれをその目前のものとその後のものに対する見せしめとし、畏れ身を守る者たちへの訓戒とした。(2:66)
『そうしてわれらはそれを』つまり、その懲罰を。
『その目前のものとその後のものに対する』その時代とその後の諸民族に対する。
『見せしめとし』彼らが行ったようなことを犯すことを防ぐための教訓とし。
『畏れ身を守る者たち』アッラーを。彼らが特記されているのは、彼らは他の者たちと違い、それによって益を得るからである。
また、ムーサーが彼の民に、「アッラーはおまえたちに雌牛を犠牲に捧げることを命じ給う」と言った時のこと。彼らは言った、「おまえはわれらを愚弄するのか」。彼は言った、「私はアッラーに、無知な者たちのひとりとなることの守護を求める」。(2:67)
『ムーサーが彼の民に…と言った時のこと』思い起こせ。彼らの一人が殺されたが殺人犯が分からなかった。そこで彼らはアッラーが彼らに殺人犯を明かし給うようアッラーに祈ることをムーサーに頼み、彼はアッラーに祈った。
『われらを愚弄するのか』われらにそのように答えるとは、われらを笑いものにするのか。
つまり、「われわれは殺人犯について質問しているのに、おまえは雌牛を屠殺せよと命ずるのか」。彼らがそう言ったのは、殺人犯と雌牛の屠殺が表面的に関係がないため、殺した雌牛の一部で死人を打てば死人が生き返り、彼を殺した犯人が誰かを告げる、という叡智が理解できなかったからである。
『無知な者たち』愚弄する者たち。
『…となることの』…となることからの。
『守護を求める』身を守る。
「それがどんなものか、われらに明かし給うよう、おまえの主に祈ってくれ」と彼らは言った。彼は言った、「それは老いもせず、若くもなく、その間の中年であると仰せられる。それゆえ、命じられたことをなせ」。(2:68)
『それがどんなものか』つまり、歳はいくつか。
『彼らは言った』それ(屠殺の命令)が決定的なものであると知った時に。
『彼は言った』ムーサーは。
『それは老いもせず』老齢でもなく。
『若くもなく』若年でもなく。
『その間の』上述した二つの歳の間の。
『中年』中間。
『仰せられる』アッラーは。
『命じられたことをなせ』その雌牛の屠殺を。
彼らは言った、「その色がどんなか、われらに明かし給うよう、おまえの主に祈ってくれ」。彼は言った、「それは見る者を喜ばせる色鮮やかな黄色の雌牛であると仰せられる」。(2:69)
『見る者を』それを。
『喜ばせる』その美しさで。つまり、彼ら(見る者)の気に入る。
『色鮮やかな黄色の』真黄色の。
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