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【第4章 女】
(4:12〜4:19)
 

また、おまえたちには、おまえたちの妻に子供がなかった場合に彼女が遺したものの半分がある。妻に子供があった場合には、おまえたちには彼女が遺したものの四分の一がある。彼女らが遺した遺言や債務の後からである。また、彼女らには、おまえたちに子供がなかった場合におまえたちが遺したものの四分の一がある。おまえたちに子供があった場合には、彼女らにはおまえたちの遺したものの八分の一がある。おまえたちが遺した遺言や債務の後からである。また、被相続人の男が遠縁しか持たない者であるか、あるいは女でも、彼に兄弟か姉妹が一人いる場合は、どちらであれ六分の一がある。彼らがそれ以上であった場合には、彼らは三分の一を分け合う。その者が損害を生ずることなく遺した遺言や債務の後からである。アッラーからの教示である。アッラーは全知にして寛容なる御方。(4:12)

『おまえたちの妻に子供がなかった場合に』 おまえたちとの間の、あるいはおまえたち以外(の夫)との間の(子供が)。

『彼女が遺したものの半分がある。妻に子供があった場合には、おまえたちには彼女が遺したものの四分の一がある。彼女らが遺した遺言や債務の後からである』 これに関しては、イジュマーゥ(学者の合意)によれば、「息子の子供」も「子供」のうちに含まれる。

『彼女らには』 妻たちには。複数であろうとそうでなかろうと。

『おまえたちに子供があった場合には』 彼女との間に、あるいはそれ以外(妻との間)に。

『彼女らにはおまえたちの遺したものの八分の一がある。おまえたちが遺した遺言や債務の後からである』 この点においては、イジュマーゥによれば、「子供の息子」は「子供」に準ずる。

『被相続人の』 (「男」の)修飾語である。その(主語「被相続人の男」の)述語は次の文の「遠縁しか持たない者」である。

語源学者の大半は、「kalālah(遠縁しか持たない者)」とは「親も子もなく死んだ者」であると言う。また「親だけがいない者」とも、「子だけがいない者」とも、それは「父も母も相続しない者」である、とも言われる。これらの説は全て、「死んだ被相続人」を指している。一説によると、「kalālah」とは「両親と子供を除く相続人」であると言われる。

『遠縁しか持たない者で』 親も子もない者で。

『あるいは女でも』 被相続人の女が「遠縁しか持たない者」でも。

『彼に』 つまり、その遠縁しか持たない被相続人に。

『兄弟か姉妹が一人いる場合は』 ひとりの母からの(異父同母兄弟姉妹)。イブン・マスウードなどは(クルアーン本文を)「ひとりの母親からの兄弟か姉妹が・・・」と読んでいる(「逸脱した読誦法(キラーア・シャーッザ)」)。

『どちらであれ六分の一がある』 彼が遺したものの。

『彼らが』 ひとりの母からの兄弟、姉妹(異父同母兄弟姉妹)が。

『それ以上であった場合に』 つまり、1人以上。

『彼らは三分の一を分け合う』 ここにおいては、男も女も等しい。

『その者が損害を生ずることなく』 『遺した』の(潜入)代名詞(彼)の状態の副詞的修飾句である。つまり、 3分の1以上を遺言とするなど、相続人に害を及ぼすことなしに。

『教示である』 「彼はおまえたちに教示する」を強調する同属目的語の動名詞。

『アッラーは全知にして』 彼が彼の被造物のために取り計らい給うた義務について。

『寛容なる御方』 彼に背く者への懲罰を遅らせ給うことにおいて。スンナは、これらの相続規定に、殺人、宗教の不一致、奴隷といった相続の障碍のない者という限定を加えている。

これがアッラーの規定である。アッラーと彼の使徒に従う者、彼はその者を下を川が流れる楽園に入れ給い、彼らはそこに永遠に留まる。それは大いなる成就である。(4:13)

『これが』 既述の孤児に関する規定、及び後述の規定が。

『アッラーの規定である』 アッラーがそのしもべのために、それを遵奉し、侵犯しないようにと設定し給うた彼の諸規範である。

『アッラーと彼の使徒に従う者』 彼が定め給うた規定において。

『彼はその者を・・・楽園に入れ給い』 三人称男性の接頭辞「ヤー(y)」で「yudkhil-hu(彼はその者を・・・入れ)」と読む読誦法と、(三人称から一人称に)文体を変え、一人称複数の接頭辞「ヌーン(n)」で「nudkhil-hu(われらはその者を・・・入れ)」と読む読誦法がある。

『彼らはそこに永遠に留まる』 この2節(13-14節)では、関係代名詞「man(・・・な者)」が表現上は単数代名詞であることを考慮しているが、『永遠に留まる(khālidīna)』は意味(複数)を考慮している。

だが、アッラーと彼の使徒に背き、彼の規定を乗り越える者、彼はその者を獄火に入れ給い、彼はそこに永遠に留まる。そして、彼には恥辱の懲罰がある。(4:14)

『彼はその者を獄火に入れ給い』 2つの読誦法がある(『われらは・・・入れ』と『彼は・・・入れ給い』)。

『彼には』 そこ(獄火)で。

『恥辱の懲罰がある』 辱めの。

おまえたちの女で不道徳をなした者には、おまえたちの中から四人の証人を立て、彼らが証言したなら、彼女らを家の中に引きとめよ。死が彼女らに訪れるまで。あるいはアッラーが彼女らに道を定め給う。(4:15)

『不道徳を』 姦通を。

『四人の証人を立て』 ムスリムの男の。

『彼らが証言したなら』 彼女らに対して、そのことを。

『彼女らを家の中に引きとめよ』 監禁せよ。そして、彼女らが人々と交わることを禁じよ。

『死が彼女らに訪れるまで』 つまり、その(死の)天使が。

『あるいは・・・定め給う』 あるいは・・・・定め給うまで。

『アッラーが彼女らに道を』 そこから出る道を。
これはイスラームの初期に命じられた。それからアッラーは、未婚者の場合には100の鞭打ちと1年の処払い、既婚者の場合には石打ちという「道」を彼女らに定め給うた。ムスリムの伝えるハディースによると、アッラーの御使いは処罰を明らかになさると、「私から取りなさい。私から取りなさい。アッラーは彼女らに道を定め給うた」と言われた。

おまえたちのうちそれをなした二人は痛めつけよ。二人が悔いて戻り、正したなら、彼らから離れよ。まことにアッラーはよく戻り顧み給う慈悲深い御方であらせられた。(4:16)

『おまえたちのうち』 男たちのうち。

『それをなした』 姦通の不道徳を。あるいは、男色を。

『二人は』 「alladhāni」と促音なしで読む読誦法と「alladhānni」と「ヌーン(n)」を促音で読む読誦法がある。

『痛めつけよ』 非難、サンダルで打つことで。

『二人が悔いて戻り』 そこから。

『正したなら』 行いを。

『彼らから離れよ』 そして、彼らを痛めつけてはならない。

『アッラーはよく戻り顧み給う』 悔いて戻る者に。

『慈悲深い御方』 彼(悔いて戻る者)に対し。これが姦通を意味するならば、ハッド(法定)刑によって破棄された。また、アル=シャーフィイーにおいては同性愛を意味しても同様である。ただし受身の男色者は彼(アル=シャーフィイー)においては、既婚者であっても石打にはならず、鞭打ちと処払いである。代名詞の双数形を根拠とすれば、同性愛を意味するとした方がより明白である。前説によれば、男の姦通者と女の姦通者のことである。これに対しては以下のように論駁される。
男性形の代名詞「おまえたち(・・・kum)」と結びついた前置詞「・・・のうちから(min)」によって「二人」は明確化されており、またこの二人は、痛めつけること、悔悟、放免において共通しているが、放免は男に限り、女については監禁がすでに述べられている。

いずれにしてもこれらは全てイスラーム初期の話であり、これらは周知の通り、全て破棄された。(・・・)
姦通に関してはこの節は第24章[御光]2節『姦通を犯した女と姦通を犯した男はそれぞれ百回の鞭打ちをせよ』によって破棄された。同節によって未婚者には鞭打ちが確定し、また、スンナによって既婚者には石打が確定した。(・・・)
なぜなら、女が不道徳を働くのは外に出るからであって、家の中に監禁されている限り悪事はできないからである。一方、男は生活の糧を得るために外に出ざるを得ない。そこで男の不道徳には言葉と行為による懲罰がなされた。

アッラーが戻り顧み給うのは、無知ゆえに悪事をなし、その後、間近で悔いて戻る者に対してだけである。それらの者にアッラーは戻り顧み給う。アッラーは全知にして英明なる御方であらせられた。(4:17)

『アッラーが戻り顧み給うのは』 恩寵によってそれ(悔悟)の受け入れを御自身に書き留め給うたのは。

『無知ゆえに』 状態の副詞的修飾句。彼らが自分の主に反逆する時に、気づかずに。

違反行為を違反であり罪であると知らずに、ということではなく、その行為がどれほど忌まわしいもので、その懲罰がどれほど悪いものであるかを知らずに、ということである。違反行為をなす者はみなこの無知のうちにそれをなす。なぜなら、違反行為をなす時には、欲望に押し流され、それに関する完全な知識が奪われた状態にあるからである。

『悪事をなし』 反逆行為をなし。

『その後、間近で悔いて戻る者』 (間近な)時間に。断末魔の声が喉でがらがら鳴る前に。

「間近に(min qarībin)」とは「遠い」に対する「近く」ではなく、死期が訪れ、魂が喉許に達する前に、という意味で、次節『ついに死が彼に臨み、その時になって「私は今こそ悔い改めた」と言う』(第4章[女]18節)と対をなしている。違反行為をなす時点と死の時点の間に数年があったとしても、それは「すぐ」であり、たとえ長生きしたとしても命は短いのである。また、人間は、いつ何時死が訪れるかわからないと心すべきなのである。

『それらの者にアッラーは戻り顧み給う』 彼らの悔悟を彼は受け入れ給う。

『アッラーは全知にして』 彼の被造物について。

『英明なる御方であらせられた』 彼の彼ら(被造物)に対する御業において。

いくつもの悪事をなし、ついに死が彼に臨み、その時になって「私は今こそ悔い改めた」と言う者にも、不信仰者のまま死ぬ者にも悔い改めはない。それらの者、われらは彼らに痛烈な懲罰を用意した。(4:18)

『いくつもの悪事をなし』 罪を。

『ついに死が彼に臨み』 死の苦しみにとらわれた時。

『その時になって』 自分の状態を体験するに及んで。

『「私は今こそ悔い改めた」と言う者にも』 それは彼の役に立たず、アッラーは彼から(悔悟を)受け入れ給わない。

『不信仰者のまま死ぬ者にも悔い改めはない』 来世で、懲罰を目にし、悔い改めても、その悔悟は彼ら(彼?われら?)からは受け入れられない。

『痛烈な懲罰を』 苦痛を与える(懲罰を)。

『用意した』 準備した。

信仰する者たちよ、おまえたちには無理やり女たちを相続することは許されない。また、おまえたちは、彼女らに与えたものの一部を取り戻すため彼女らの結婚を妨害してはならない。ただし、彼女らが明らかにされた不道徳をなした場合は別である。彼女らとは良識に沿って暮らせ。たとえおまえたちが彼女らを嫌ったとしても。おまえたちはなにかを嫌うかもしれないが、アッラーはそこに多くの良いことをなし給うであろう。(4:19)
ハフス&アースィム版:信仰する者たちよ、おまえたちには無理やり女たちを相続することは許されない。また、おまえたちは、彼女らに与えたものの一部を取り戻すため彼女らの結婚を妨害してはならない。ただし、彼女らが明らかな不道徳をなした場合は別である。彼女らとは良識に沿って暮らせ。たとえおまえたちが彼女らを嫌ったとしても。おまえたちはなにかを嫌うかもしれないが、アッラーはそこに多くの良いことをなし給うであろう。(4:19)

『無理やり』 つまり、彼女らに強制して。『無理やり』には第1語根を母音「a」で「karhan」と読む読誦法と、母音「u」で「kurhan」と読む読誦法がある。ジャーヒリーヤ(無明)の時代には、彼ら(死者)の近親が女を相続し、彼らが望めば結婚持参金を払わずに彼女らと結婚したり、結婚させて彼女の結婚持参金を取り上げたり、彼女が相続したもので自らを身請けするか、死去し、彼がそれを相続するまで彼女の結婚を妨害した。そこで、彼らはそれを禁じられた。

『女たちを』 彼女ら自身を。

『彼女らに与えたものの一部を』 婚資の一部を。

『取り戻すため彼女らの結婚を妨害してはならない』 ・・・することはあってはならない。つまり、おまえたちの妻を引き止め、彼女らがおまえたち以外の者と結婚することを妨げてはならない。また、彼女らに危害を加える気持ちがあってはならない。

『ただし、彼女らが明らかにされた不道徳をなした場合は別である』 つまり、姦通か反抗を行った場合。その時には彼女らがおまえたちから自己を身請けし離別するように、おまえたちが彼女らを害することが許される。第2語根「バーゥ(b)」の母音を「a」で「mubayyana(明らかにされた)」と読む読誦法と、「mubayyina(明らかな)」と読む読誦法がある(監訳者注:ハフス&アースィム版は後者)。

『彼女らとは良識に沿って暮らせ』 言葉、扶養、夜の過ごし方において礼節をもって。

『たとえおまえたちが彼女らを嫌ったとしても』 忍耐せよ。

『おまえたちはなにかを嫌うかもしれないが、アッラーはそこに多くの良いことをなし給うであろう』 きっと彼が彼女らにそれをなしたのは、おまえたちに彼女から良い子供を授けるためである。

この節は、マディーナの住民に対して下された。ジャーヒリーヤ(無明)時代とイスラームの初期、男が死に、後に妻が遺されると、別の妻を母とする息子か男の血縁の者が、彼女の上、または彼女のテントの上に衣服を投げ、それによってその者は彼女に対して彼女自身や他の者よりも優先権を持った。彼は、望めば婚資を払わずに、彼女の最初の結婚の婚資の上に彼女と結婚することができた。また、望めば誰かと結婚させ、その婚資を彼女から取り上げ自分のものにすることもできた。あるいはまた、望めば彼女を邪険に扱い、結婚を妨害し、彼女が死者から相続したものによって自分を身請けするか、死んで財産を彼に遺すのを待った。もし、彼女が夫の後見人から衣服を投げられる前に実家に戻れば、彼女自身が自分に対して最優先権を持つことができた。そのような習慣が続く中、アブー・カイス・ブン・アル=アスラトが亡くなり、妻が遺された。すると、別の妻を母とする息子が彼女に服を投げかけ、結婚を引き継いだ。しかし、彼女には近づかず、扶養もせず、彼女が彼から自由を買い取るのを待って彼女に害をなした。そこで彼女はアッラーの御使いの許に行き、言った、「アッラーの御使いよ、アブー・カイスが死に、彼の息子が私との結婚を相続しました。しかし、彼は私を扶養せず、私と交わることもせず、私に道を空けません」。すると、彼は言われた、「アッラーからの命令が下るまで家に居なさい」。それからこの節が下された。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院