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【第4章 女】
(4:20〜4:26)
 

おまえたちがある妻の代わりにある妻を取り替えようと欲した時、彼女らの一人に千金を与えていたとしても、それからわずかにも取り上げてはならない。おまえたちは中傷し明白な罪を犯してそれを取り上げようとするのか。(4:20)

『おまえたちがある妻の代わりにある妻を取り替えようと欲した時』 彼女を離縁して、彼女に代えて彼女(別の妻)を手に入れようと。

『彼女らの一人に』 妻の1人に。

『千金を与えていたとしても』 多くの財産を、結婚持参金として。

『中傷し』不正 をなし。

『中傷し(buhtānan)』とは、不貞の嫌疑を妻に着せ、不当に婚資を取り戻そうとすることである。

『明白な罪を犯して』 明らかな。状態の副詞的修飾句の対格。

『取り上げようとするのか』 これは、非難と拒絶の意味の疑問文である。

いかにしておまえたちはそれを取り上げようというのか。おまえたちはすでに互いに相手の許に赴き、彼女らはおまえたちから確固たる誓約を受け取っているのである。(4:21)

『いかにして』 どんな理由で。

『相手の許に赴き』 至り。婚資(の支払い)を確定する性的関係を持った。

『確固たる』 厳しい。

『誓約を』 約束を。それは、良識に沿って彼女らを引き止め、礼節に則って彼女らを去らせるというアッラーが命じ給うたことである。

また、おまえたちの父親が結婚したものと結婚してはならない。ただし、すでに過ぎたことは別である。まことにそれは不道徳であり、忌まわしいことであり、なんとも悪い道であることよ。(4:22)

『結婚したものと』 「māもの)」は「man(者)」の意味。

『ただし』 だが。

『すでに過ぎたことは別である』 おまえたちがなした行いのうち。それは大目に見られた。

『まことにそれは』 彼女らとの結婚は。

『不道徳であり』 醜悪な。

『忌まわしいことであり』 アッラーの憎悪(maqt)を招くものであり。それは、嫌悪の最も激しいものである。

『なんとも悪い』 酷い。

『道であることよ』 道路であることよ。それは。

義理の関係で結婚が禁じられるのは、父の妻、息子の妻、妻の母、妻の娘である。これらの者は結婚契約をした段階で禁忌が生じるが、妻の娘については、次に(第23節で)述べられるように妻と夫婦関係を持った後でなければ禁忌は生じない。(・・・)
「醜悪」には三段階がある。理性によって知られる醜悪さ、聖法の啓示によって知られる醜悪さ、常識によって知られる醜悪さである。アッラーはこの結婚を、これらの全てで描写し給う。『汚らわしく』とは理性によって知られる醜悪さの段階であり、『忌むべきこと』は聖法の啓示によって知られる醜悪さの段階であり、『なんとも悪い道』とは常識によって知られる醜悪さの段階である。

おまえたちには、おまえたちの母、娘、姉妹、父方のおば、母方のおば、兄弟の娘、姉妹の娘、おまえたちに乳を与えた乳母、乳姉妹、妻の母、おまえたちの衣の裾の陰の、おまえたちが関係を持った妻の養女たち—ただし、妻とまだ関係を持っていないならば、それはおまえたちの罪とはならない— 、そして、おまえたちの腰から出来たおまえたちの息子の伴侶は禁じられた。また、二人の姉妹を併せることも。ただし、すでに過ぎたことは別である。まことにアッラーはよく赦す慈悲深い御方であらせられた。(4:23)

『おまえたちには、おまえたちの母、・・・は禁じられた』 おまえたちが結婚することが。父方、あるいは母方の祖母も含む。

『娘』 (家系を)遡って、子供の娘も含む。

『姉妹』 父側、あるいは母側の。

『父方のおば』 つまり、おまえたちの父、また祖父の姉妹。

『母方のおば』 つまり、おまえたちの母、また祖母の姉妹。

『兄弟の娘、姉妹の娘』 彼女らには彼らの子供も含まれる。

『おまえたちに乳を与えた乳母』 ハディースが示すように、2年が満了する前に、5回の授乳をした。

アル=シャーフィイー、アフマド・ブン・ハンバル、マーリクの学説である。ただし、アブー・ハニーファによれば、1回の授乳でも禁忌が生じる。

『乳姉妹』 これにはスンナによって、彼女ら(乳姉妹)の娘たちも含まれる。彼女ら(乳姉妹)とは、彼の乳母が乳を与えた者たちである。また、アル=ブハーリーとムスリムが伝えるハディースによると、父方、母方のおば、兄弟姉妹の娘など血縁によって禁じられるものは乳縁によっても禁じられる。

『おまえたちの衣の裾の陰の』 おまえたちが後見する。一般論に一致した形容修飾句で、字義通りの意味ではない。

「衣の裾(hujūr)」とは、「衣の端(hajr hijr)」の複数形で、意味は、彼の衣の端の中にあることが含意する彼の教育の下にあること。

『おまえたちが関係を持った妻の』 つまり、彼女らと性関係を持った。

『養女たち』 養女の複数形。それは、自分とつながりのない、妻の娘(連れ子)である。

『ただし、妻とまだ関係を持っていないならば、それはおまえたちの罪とはならない』 彼女らの娘との結婚は。もし、おまえたちが彼女ら(妻)と別れたならば。

『おまえたちの腰から出来たおまえたちの息子の』 それに対し、養子とした者については、養子の妻との結婚はおまえたちに許された。

『伴侶は』 妻は。

『二人の姉妹を併せることも(禁じられた)』 血縁であれ、乳関係であれ。同時に併せて結婚することも。スンナによって、妻とその父方、母方のおばと、同時に併せて結婚することも含まれる。単独でそれぞれと結婚することは構わない。両者を奴隷として所有する場合に、片方と性関係を持つことも。

『ただし』 しかし。

『すでに過ぎたことは別である』 ジャーヒリーヤ(無明)の時代に、言及されたもののいずれかと結婚していたとしても、それについては罪はない。

『まことにアッラーはよく赦す』 禁止以前におまえたちがすでになしたことについては。

『慈悲深い御方』 その点でおまえたちに対し。

また、女のうち既婚者である。ただし、おまえたちの右手が所有する者は別である。おまえたちに対しアッラーが書き留め給うたことである。彼はおまえたちにこれら以外は許し給うた。おまえたちがおまえたちの財産を用いて既婚者として、放蕩者としてでなく求めるように。彼女らのうちおまえたちが楽しんだもの、彼女らには定めの報酬を与えよ。定めた後、互いが同意したことであれば、おまえたちに罪はない。まことにアッラーは全知にして英明なる御方であらせられた。(4:24)
ハフス&アースィム版:また、女のうち既婚者である。ただし、おまえたちの右手が所有する者は別である。おまえたちに対しアッラーが書き留め給うたことである。おまえたちにこれら以外は許された。おまえたちがおまえたちの財産を用いて既婚者として、放蕩者としてでなく求めるように。彼女らのうちおまえたちが楽しんだもの、彼女らには定めの報酬を与えよ。定めた後、互いが同意したことであれば、おまえたちに罪はない。まことにアッラーは全知にして英明なる御方であらせられた。(4:24)

『また』 おまえたちには(次のものが)禁じられた。

『女のうち既婚者である』 つまり、夫がいる者。彼女らの夫と離婚する前におまえたちが彼女らと結婚することは(禁じられた)。彼女らが自由人の信仰者であるか否かにかかわらず。

『おまえたちの右手が所有する者は別である』 捕虜の奴隷女で。彼女らと性関係を持つことは、たとえダール・アル=ハルブ(「戦争の居住圏」=非イスラーム世界)では夫がいる身であったとしても、おまえたちには許される。妊娠していないことを確認した後で。

アブー・サイード・アル=フドリーによると、アッラーの御使いは、フナインの戦いの日、兵士をアウタースに派遣された。兵士は多神教徒の夫のいる女の捕虜を手に入れたが、彼女らと性関係を持つことを嫌った。その時アッラーはこの節を啓示し給うた。

『アッラーが書き留め給うたこと』 (同属目的語の)動名詞による対格である。つまり、彼(アッラー)はそれを書き給うた。

『これら以外は』 おまえたちに禁じられた女を除き。

『許し給うた』 能動態で「ahalla(彼は許し給うた)」と読む読誦法と受動態で「uhilla(許された)」と読む読誦法がある(監訳者注:ハフス&アースィム版は後者の読誦法を採る)。

『おまえたちの財産を用いて』 結婚持参金、あるいは報酬によって。

『既婚者として』 結婚した者として。

『放蕩者としてでなく』 姦通者としてでなく。

『求めるように』 女を求めるように。

『彼女らのうち』 結婚した者のうち、おまえたちが性行為によって。

『おまえたちが楽しんだもの』 楽しんだ「もの(mā)」とは、つまり、楽しんだ「者(man)」。

『彼女らには定めの報酬を与えよ』 おまえたちが彼女らに対して義務として課された彼女らの婚資を。

この節は有効な結婚について述べられたもので、夫は妻とたとえ一度でも性関係を持てば、合意した婚資、あるいは相場の婚資が義務付けられる、と言われる。だが、この説には、『妻には彼女らの婚資を与えよ』という前述の言葉の繰り返しになる、という反論がある。これはイスラームの初期に行われていたムトゥア婚(一時享楽婚)について述べられたものである、とも言われる。当時、男たちは、一晩とか二晩、あるいは一週間という決まった時間の間だけ、衣服、あるいはその他のもので女と結婚し、目的を果たすと、彼女を離縁した。
ここでマフル(婚資)が「報酬(ajr)」と呼ばれているのは、物件ではなく用益に対するものだからである。イブン・アル=アラビー(Abū Abd Allāh Muhammad al=Ansārī al=Qurtbiī, 671/1273年没)は、ムトゥア婚はイスラーム法の奇妙な規定である、と言っている。なぜなら、それはイスラームの初期に許され、それからハイバルの戦いの日に禁止され、それからアウタースの遠征の時に許され、それからまた禁止され、そのまま禁止となったからで、そのような規定はイスラーム法においてはキブラの変更を除き、類がない。

『互いが』 おまえたちと彼女らで。

『同意したことであれば』 それ(報酬)の値を下げたり、その一部にしたり、増やしたりするなど。

『まことにアッラーは全知にして』 彼の被造物について。

『英明なる御方であった』 彼らに対する計らいにおいて。

また、おまえたちのうち信仰者の淑女と結婚することが資力的にできない者は、おまえたちの右手の所有する信仰者の娘のうちから。アッラーはおまえたちの信仰を最もよく知り給う。おまえたちは互いに互いから出た。それゆえ彼女らの家族の許しを得て彼女らと結婚せよ。そして、彼女らには良識に沿って報酬を与えよ。貞潔でふしだらでなく、また密通相手のいる女でなければ。彼女らが嫁がされた後、不道徳をなした場合、彼女らには淑女に課せられる懲罰の半分が課せられる。これはおまえたちのうち罪を慴れた者のためである。おまえたちが忍耐すれば、それはおまえたちにとってより良い。アッラーはよく赦す慈悲深い御方。(4:25)

『信仰者の淑女と』 自由人の女と。これ(『淑女』という語)は一般論であって、字義通りの意味ではない。

『資力的に』 財政的に。

『・・・できない者は』 つまり、もし啓典の民の自由人の女と結婚できる資力があれば、彼には女奴隷との結婚は許されない(cf., al=iSāwī, Hāshiyah al=Sāwī, vol.1, p.214)。

『おまえたちの右手の所有する信仰者の娘のうちから』 結婚せよ。

『アッラーはおまえたちの信仰を最もよく知り給う』 それゆえ、表面だけで満足せよ。そして、隠された部分は彼(アッラー)に任せよ。なぜなら、彼は彼女の長所を知り給う御方である。女奴隷の方が自由女よりもその点(信仰)において優れているかもしれないからである。これは、女奴隷との結婚を奨励するためである。

『おまえたちは互いに互いから出た』 おまえたちも奴隷女も宗教においては等しい。それゆえ彼女らと結婚することを見下してはならない。

おまえたちもおまえたちの奴隷もみなアーダムを祖先とし、イスラームを宗教とする者である。

『彼女らの家族の許し』 彼女の後見人の。

『良識に沿って』 遅滞も不足もなく。

『報酬を』 婚資を。

『与えよ』 渡せ。

『貞潔で』 状態の副詞的修飾句の対格。貞淑で。

『ふしだらでなく』 表立って姦通する者でなく。

『密通相手』 密かに彼女らと姦通する独身男の。

『彼女らが嫁がされた後』 結婚させられた時。

『嫁がされた(uhsinna)』 は、能動態で「ahsanna」と読む読誦法もある。その場合は、つまり、結婚した時。

『不道徳を』 姦通を。

『淑女に課される』 既婚の自由人女性に課される。

『・・・懲罰の半分が課せられる』 ハッド(法定)刑の。彼女らは 50回の鞭打ちと半年の処払いを受ける。奴隷については彼女ら(既婚の自由人女性)との類推となる。なお、「既婚」はハッド刑の義務の条件にはならない。むしろ、彼女らには元々石打刑は課せられないことを示すためのものである。

『これは』 財力がない場合に奴隷女と結婚することは。

『おまえたちのうち罪を』 姦通を。「罪(anat)」の元の意味は、苦難である(接骨の後で新たに骨折することで、そこから状況の改善のあった時に人間を襲うあらゆる苦難を指す)。姦通がそう呼ばれるのは、現世においてハッド(法定)刑を受けるか、来世において懲罰を受けるためである。

『慴れた者のためである』 恐れた(khāfa)。自由人で恐れない者には彼女(女奴隷)との結婚は許されない。自由人女性と結婚する財力がある者も同様である。これはアル=シャーフィイーの説である。また、『信仰者の娘のうち』という言葉は、不信仰者を除外する。それゆえ、彼女(不信仰者)との結婚は、(財力が)なくても、恐れがあっても、許されない。

『おまえたちが忍耐すれば』 奴隷女との結婚を控えて。

『それはおまえたちにとってより良い』 子供が奴隷にならないために。

『慈悲深い御方』 この件における度量の広さゆえに。

アッラーは、おまえたちのために明示し、おまえたちをおまえたち以前の者たちの慣行に導き、おまえたちの許に戻り顧みることを望み給う。アッラーは全知にして英明なる御方。(4:26)

『アッラーは、おまえたちのために明示し』 おまえたちの宗教の掟と、おまえたちの諸事の利益を。

『おまえたち以前の者たちの』 預言者たちの。

『慣行に』 道に。許可と禁止における。

『導き』 それゆえ、彼らに従え。

『おまえたちの許に戻り顧みることを望み給う』 おまえたちがなしたアッラーに対する反逆から服従へとおまえたちを連れ戻し給う。

『アッラーは全知にして』 おまえたちについて。

『英明なる御方』 おまえたちのために彼が取り計らい給うことにおいて。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院