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【第4章 女】
(4:27〜4:37)
 

アッラーは、おまえたちの許に戻り顧みることを望み給うが、欲望に従う者たちは、おまえたちが大きく片寄り偏向することを望む。(4:27)

『アッラーは、おまえたちの許に戻り顧みることを望み給うが』 次の句をつなげるために繰り返し給うた。

『欲望に従う者たちは』 ユダヤ教徒とキリスト教徒は。あるいはマギ教徒、あるいは姦通者は。

『おまえたちが大きく片寄り偏向することを望む』 禁じられたことを犯すことによって真理から逸脱し、おまえたちが彼らのようになることを。

アッラーは、おまえたちから軽減することを望み給う。人間は弱く創られたのである。(4:28)

『おまえたちから軽減することを』 聖法をおまえたちにとって易しいものとすることを。

『人間は弱く創られたのである』 女と欲望に耐えられないのである。

信仰する者たちよ、おまえたちの財産をおまえたちの間で不法に貪ってはならない。ただし、互いの同意の上での商売があれば別である。また、おまえたち自身を殺してはならない。まことにアッラーはおまえたちに慈悲深い御方。(4:29)
ハフス&アースィム版:信仰する者たちよ、おまえたちの財産をおまえたちの間で不法に貪ってはならない。ただし、互いの同意の上での商売であれば別である。また、おまえたち自身を殺してはならない。まことにアッラーはおまえたちに慈悲深い御方。(4:29)

『不法に貪ってはならない』 聖法で禁じられたものによって。たとえば、利子や横取りによって。

『ただし』 しかし。

『互いの同意の上での』 心から喜んでなす。

『商売があれば』 商売が成立したのであれば。『商売(tijāratun)』(主格)は、別の読誦法(監訳者注:ハフス&アースィム版)では対格で、語末の母音を「a」で「tijāratan」と読む。つまり、その財産が(同意から生じた)商売の財産であれば。

『おまえたち自身を殺してはならない』 現世、そして同時に来世での破滅を招くような罪を犯すことによって。

『まことにアッラーはおまえたちに慈悲深い御方』 それをおまえたちに禁じ給うたことにおいて。

アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた、「山から身を投げて自殺した者は、獄火に永遠に留まって永遠に身投げをする。また、毒を飲んで自殺した者は、獄火に永遠に留まって毒を手にし、それを飲む。また、刃で自殺した者は、獄火に永遠に留まって腹を刃で割く」。

これを侵害して不正になす者があれば、いずれわれらは彼を獄火にくべるであろう。それはアッラーにとっては易しいことであった。(4:30)

『これを』 つまり、禁じられたことを。

『侵害して』 状態の副詞的修飾句。

『不正に』 (『侵害と』の)強調。

『侵害して』とは、つまり、他者に対して。『不正に』とは、つまり、自分自身に対して。

『われらは彼を・・・くべるであろう』 われらは彼を・・・入れるであろう。

『獄火に』 そこで焼かれる。

『易しいこと』 容易なこと。

おまえたちが禁じられた大罪を避けるなら、われらはおまえたちから罪過を帳消しにし、栄誉ある入り口に入れるであろう。(4:31)

『禁じられた大罪』 それはそれに対する警告が伝えられるもの、たとえば、殺人、姦通、窃盗である。イブン・アッバースによると、それは700ほどもある。

『われらはおまえたちから罪過を帳消しにし』 小さな(罪を)。服従行為によって。

『栄誉ある入り口に』 楽園のことである。『入り口に』は接頭辞の母音を「u」で「mudkhalan(入れるものに)」と読む読誦法と、母音を「a」で「madkhalan(入る場所に)」と読む読誦法がある。

おまえたちのある者に別の者以上にアッラーが恵み給うたものを羨んではならない。男たちには彼らの稼いだものから分け前があり、女たちには彼女らの稼いだものから分け前がある。アッラーに彼の恩恵を求めよ。まことにアッラーはすべてのものについて全知なる御方。(4:32)

『おまえたちのある者に別の者以上にアッラーが恵み給うたものを羨んではならない』 現世のことで、あるいは宗教上のことで。互いに妬み、憎しみあうに至らないように。

『男たちには彼らの稼いだものから』 彼らのジハード、その他の行いゆえに。

『分け前があり』 報奨が。

『女たちには彼女らの稼いだものから分け前がある』 夫への服従や、貞節を守ることなど。ウンム・サラマが、「われらが男であったらよかったものを。そうすれば、われらはジハードに行き、男たちの報奨と同じものがわれらにもあったものを」と言ったことに対して下された。

ムジャーヒドによると、ウンム・サラマが言った、「アッラーの御使いよ、男たちは戦争に出かけ、女は戦争に出かけません。われらには半分の相続しかありません。もしわれらが男なら、戦争にでかけ、彼らが得るのと同じ相続を得ることができます」。すると、アッラーはこの節を啓示し給うた。アル=ティルミズィーによると、ウンム・サラマはラクダに乗ってヒジュラ(聖遷)した最初の女であった。
また、アッラーが男に女 2人分の遺産を定め給うと、女たちは、「われらの方が男たちよりも多くもらう権利があり、また必要もあります。なぜなら、われらはか弱く、男たちは強く、われらよりも生活の糧を得る手段を持っているからです」と言った。それに対してアッラーはこの節を啓示し給うたとも言われる。
あるいは、『男には女2人の取り分に相当するものがある』(第4章[女]11節)が啓示された時、男たちは、「遺産相続においてわれらが女たちより優遇されたように、来世の善行においてもわれらが女たちよりも優遇され、われらの報奨が女の報奨の2倍となることを願う」と言った。一方、女たちは、「遺産相続においてわれらに彼らの取り分の半分があるように、罪の重荷においても男たちの半分であることを願う」と言った。それに対してこの節が啓示された。
羨望には 2種類ある。1つは、人の財産がなくなってそれが自分のものとなることを望むことである。それは、咎められるべき羨望である。なぜなら、アッラーは御望みのしもべに恵みを与え給うからで、そのような羨望はアッラーの御業に反対することだからである。おそらく、内心、その恵みがその相手よりも自分にふさわしいと考えているのであろうが、それはアッラーの決め給うことに異論を差し挟むことであり、咎められるべき行為である。
もう1つの羨望は、人の財産がなくなることなく、自分にも同じものがあることを望むことである。それは、願望であって、咎められるべきものではない。ただし、学者の中には、そうした願望をも禁じる者がいる。なぜなら、その恵みを得ることは彼にとって害になるかもしれないからである。アル=ハサンは言っている、「人の財産を羨望してはならない。その財産のうちにおまえの破滅があるかもしれないからである。しもべは、アッラーが自分の最善をご存知であると知り、アッラーの決定に満足すべきである。そして、来世のための行いが増えることを望み、『アッラーよ、私の宗教と現世と帰り処において私のためになるものを与え給え』と祈るべきである」。

『彼の恩恵を』 おまえたちが必要とするものを。

『求めよ』 「求めよ(wa(i)salū)」には(第2語根の)ハムザ()なしに「wa salū」と読む読誦法もある。彼はおまえたちに与え給う。

人に振り当てられた恵みを羨望せずに、アッラーに彼の尽きることのない恵みの宝庫から恵みを求めよ。

『まことにアッラーはすべてのものについて全知なる御方』 その中には、恵みの(ふさわしい)場所、おまえたちの求めるものが含まれる。

それぞれに、われらは両親と近親が遺したものの有権者を定めた。おまえたちの誓約が結ばれた者があれば、彼らには彼らの分け前を与えよ。まことにアッラーはすべてのことに対して証人であらせられた。(4:33)

『それぞれに』 男も女も。

『両親と近親が遺したものの』 彼らに。財産で。

『有権者を定めた』 (遺産を)与えられる血縁関係を。

『おまえたちの誓約が』aimān(誓約)」とは「yamīn」の複数形で、「誓い」という意味。あるいは、右手。

『結ばれた者があれば』 つまり、おまえたちがジャーヒリーヤ(無明)時代に援助や相続を約束した同盟者があれば。「’ āqadat(結ばれた)」は、(動詞派生形の挿入辞の)長母音(ā)の「アリフ」なしに「aqadat」と読む読誦法もある。

『彼らには彼らの分け前を』 遺産の中から彼らの分け前を。それは6分の1である。

『与えよ』 今。

ジャーヒリーヤ(無明)時代とイスラームの初期、人々は、相手の手を取って約束の履行を誓い、「私の血はおまえの血、私の破滅はおまえの破滅、私はおまえの血の代価を払い、おまえは私の血の代価を払う。そして、私はおまえの遺産を継ぎ、おまえは私の遺産を継ぐ」と言い、その誓いを交わし合った者は遺産の6分の1を相続していた。すでにこうした誓いを交わした者にはその約束した遺産を与えよ。(・・・)
別の説では、ムハージルーン(マッカからの移住者)とアンサール(マディーナ在住の援助者)の間の義兄弟契約に関わるものである。

『まことにアッラーはすべてのことに対して証人であらせられた』 熟知しておられる。その(すべての)中にはおまえたちの状態もある。

これは、『血縁のある者は互いにより近い』(第8章[戦利品]75節)によって破棄された。
イブン・アッバースによると、この節は、ムハージルーンがマディーナに到着したときに、アッラーの使徒がムハージルーンとアンサールの間に結ばせた義兄弟の契りに関するものである。そこで彼らは男系血縁(nasab)や女系血縁(rahim)でなくこの義兄弟契約により、互いに相続しあっていたが、この『それぞれに・・・有権者を定めた』(第33節)が啓示され、それは廃棄された。

男たちは女たちの上に立つ管理人である。アッラーが一方に他方以上に恵み給うたものゆえ、また、彼らが彼らの財産から費やすものゆえに。それゆえ、良き女とは、従順で、アッラーが守り給うたがゆえに留守中に守る女である。おまえたちが反抗を恐れる女には、諭し、寝床で彼女らを避け、そして、彼女らを打て。もし彼女らがおまえたちに従うなら、彼女らに対し道を求めるな。まことにアッラーは崇高にして大いなる御方であらせられた。(4:34)

『男たちは女たちの上に立つ』 彼女らをしつけ、(間違ったことをしそうになった時には)彼女らの手を抑えなければならない。

『管理人である』 代官(musallat)である。

それは、利害調整、采配、しつけを司る者である。男は女の問題を処理し、その保護に力を尽くす。「代官」の語によっては、その意味が権力者の臣民に対する統率であることを示唆している。
男が女よりも遺産の相続が多い理由を説明するものである。理由は2つあり、1つはアッラーから付与された権利ゆえ、もう1つは扶養者であるがゆえである。
アンサール(援助者)の代表の 1人のサアド・ブン・アル=ラビーウが、彼の妻ハビーバ・ビント・ザイドが反抗したので彼女に平手打ちを与えた。そこで彼女の父は彼女を連れてアッラーの御使いの許を訪ね、「彼は私の娘を平手打ちにした」と訴えた。すると、預言者は、「彼女に夫への仕返しをさせなさい」と言われた。そこで彼女は夫に仕返しするために父親と立ち去ろうとしたところ、預言者は彼らに向かって、「戻りなさい。ジブリールが私に訪れた」と言われた。それからこの節が下された。そこで預言者は言われた、「われらはあることを望み、アッラーは別のことを望み給うたが、アッラーが望み給うたことの方が良い」。

『アッラーが一方に他方以上に恵み給うたものゆえ』 彼らに彼女らよりも知識、理性、統率権、その他の特権を恵み給うたゆえに。

『彼らが彼らの財産から費やすもの』 彼女らのために。

アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた、「もし誰かに対し、誰かに平伏するよう命じるとすれば、妻に対し、夫に平伏するよう命じたであろう」。

『良き女とは』 彼女らのうち。

『従順で』 夫に従順で。

『アッラーが守り給うたがゆえに』 彼女らを。
彼女らのことで夫たちに命じ給うた時に。

『アッラーが守り給うたがゆえに』とは、アッラーが、彼女らに恵みを与え給い、あるいは彼女らに対して(良くするように)夫に命じ給うことで、彼女らを庇護し給うたためである、と言われる。また、アッラーが彼女らのために守り給うた夫からのマフル(婚資)や生活費のゆえにという意味であるとも言われる。「bi-(ゆえに)」は理由の前置詞「バーゥ(b)」である。
アブー・フライラによると、アッラーの御使いは言われた、「女たちには良くしなさい。なぜなら女は肋骨から作られたが、肋骨の最も曲がったところはその最も高いところである。あなたがそれを真っすぐにしたら、それを折ってしまう。それを放っておいたら、曲がったままである。それゆえ女には良くしなさい」。

『留守中に守る女である』 陰部、その他を夫の不在時に。
良い妻とは、夫に従い、夫の留守中に貞操を守り、夫の財産、秘密、日用品を守る妻である。

『おまえたちが反抗を恐れる女には』 おまえたちに対する不従順を。その兆しが現れたことによって。

「反抗(nushūz)」とは、高ぶって悪をなすことで、妻の反抗とは、夫を嫌ったり、高慢になって夫よりも自分を上位に置くことである。

『諭し』 彼女らにアッラーを恐れさせ。

『寝床で彼女らを避け』 反抗があからさまになったら、別の寝床に移り。

『彼女らを打て』 (寝床で)避けても改めない時には、痛めつけない程度に打て。

骨を折ったり、体に傷を負わせるような強い殴り方であってはならない。
この節の英知は、段階的措置を命じているところにある。

『もし彼女らがおまえたちに従うなら』 彼女らに求められたことにおいて。

『彼女らに対し道を』 不当に彼女らを打つための道を。

『求めるな』 捜すな。

過去のことを蒸し返し、そのことで責めて殴ってはならない。悔い改めた罪はなかったも同じである。

『まことにアッラーは崇高にして大いなる御方』 もしおまえたちが彼女らに対して不当なことをすれば、アッラーがおまえたちに懲罰を与え給うことを警戒せよ。

おまえたちが両者の間の破局を恐れたなら、彼の家族から調停者一人と彼女の家族から調停者一人を派遣せよ。双方が調停を望めば、アッラーは両者の間を和解させ給う。まことにアッラーはよく知り、精通し給う御方であらせられた。(4:35)

『両者の間の』 夫婦の間の。(「間の(bayni)」は)拡大の属格。つまり、両者の間で(bayna-humā)。

『破局を』 対立を。

『恐れたなら』 知ったなら。

『彼の家族から』 彼の親戚から。

『調停者一人と』 公正な男1人と。

『彼女の家族から調停者一人を』 そして夫は自分の調停者に離婚とそれに伴う賠償について一任し、妻は自分の調停者に自己身請け離婚請求について一任する。そして、2人の調停者は審理を尽くし、不正者に復縁を命じるか、別れた方が良いと判断すれば離婚を決める。

『派遣せよ』 両者の同意の下に。彼らの許に。

『双方が』 2人の調停者が。

『両者の間を』 夫婦の間を。

『双方』『両者』は、どちらも夫婦を指すか、調停者を指すか、あるいは前者が調停者で後者が夫婦、あるいはその逆に前者が夫婦で後者が調停者を指すとも考えられる。

『和解させ給う』 仲直りか、離別か、アッラーへの服従行為であることを彼らになさしめ給う。

『アッラーはよく知り』 すべてのことについて。

『精通し給う御方』 内面も外面同様に。

アッラーに仕え、彼になにものも並び置いてはならない。そして、両親には心尽くしを。また、近親や孤児、貧しい者、近親の隣人、他所の隣人、隣り合った連れ、旅の者、そしておまえたちの右手が所有する者にも。まことにアッラーは高慢な自賛者を好み給わない。(4:36)

『アッラーに仕え』 彼のみを神とし。

『両親には心尽くしを』 尽くし。孝行し、優しく接し。

『近親や』 血縁の者や。

『近親の隣人』 近隣関係、あるいは血縁においておまえに近い者。

宗教を共にする者もそれに含まれる。預言者は言われた、「隣人には3種類ある。すなわち、隣人の権利と近親の権利とイスラームの権利という3つの権利を持った隣人、それから、隣人の権利とイスラームの権利を持った隣人、それから、隣人の権利のみを持った隣人、それは啓典の民のうちの多神教徒である」。

『他所の隣人』 近隣関係、血縁において遠い者。

『隣り合った連れ』 旅の道連れ、あるいは職場の仲間。妻のことであるとも言われる。

学びの友、モスク、講座などで隣り合わせに座った相手など、なんらかの同伴関係のある者をいう。

『旅の者』 旅行中で寄る辺のない者。

『おまえたちの右手が所有する者』 奴隷。

『高慢な』 思い上がった。

『自賛者を好み給わない』 自分に与えられたもの(知識など)を人々に自慢する者。

出し惜しみをし、人々にも出し惜しみを命じ、アッラーが彼らに与え給うた御恵みを隠す者たち。われらは不信仰者には恥辱の懲罰を用意した。(4:37)

『出し惜しみをし』 彼らに課せられたものを。

『人々にも出し惜しみを命じ』 それ(『御恵み』)の(出し惜しみを)。

『アッラーが彼らに与え給うた御恵みを隠す・・・』 知識、財産など。彼らはユダヤ教徒である。

彼らは、アンサール(援助者)に向かって、「おまえたちの財産をムハンマドに費やしたりするな。おまえたちが困窮することをわれらは心配する」と言った。また、彼らは、ムハンマドの特徴の記述を隠したとも言われる。
アフマドの伝えるハディースに、「アッラーが彼のしもべに恵みを恵み給うた時には、彼はその痕跡がその者の上に現れることを好み給う」とある。

『・・・者たち』 主語。主語の述語は「彼らには厳しい警告が与えられる」(が省略されている)。

(述語は)あるいは「全ての呪詛に値する」「懲罰にあわされる」「不信仰者である」(が省かれている)。

『不信仰者には』 アッラーの御恵みなどの(否定者には)。

(「kāfir(不信仰者)」とは)アッラーの彼らへの恵みを否定する者という意味である。

『恥辱の懲罰』 辱めを伴う。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院