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【第4章 女】
(4:102〜4:113)
 

おまえが彼らのうちにいて、彼らを率いて礼拝に立った時には、彼らの一団をおまえと共に立たせ、彼らには彼らの武器を持たせよ。そして彼らが跪拝する時には、彼らにおまえたちの後ろに居させ、まだ礼拝していない別の一団に来させ、おまえと共に礼拝させ、彼らには警戒と武器を備えさせよ。信仰を拒絶する者たちは、おまえたちが武器と所持品から気を逸らしたところで、おまえたちを一挙に攻撃しようと望んでいる。おまえたちを雨が襲うか、おまえたちが病気になった時には武器を置いてもおまえたちの罪にはならない。だが、警戒せよ。まことにアッラーは不信仰者たちに恥辱の懲罰を用意し給うた。(4:102)

『おまえが』 ムハンマドよ。

『彼らのうちにいて』 居合わせて。そしておまえたちが敵を恐れていたなら。

『彼らを率いて礼拝に立った時には』 (完了形になっているが)これは、クルアーンの修辞的慣習に則ったもので、文字通りの意味ではない。

『彼らの一団をおまえと共に立たせ』 そして(別の)一団は遅れる。

『彼らには』 おまえと共に(礼拝に)立った者には。

『彼らの武器を持たせよ』 彼らの手元に。

『そして彼らが跪拝する時には』 つまり、礼拝する時には。

『彼らに』 つまり、別の一団に。

『おまえたちの後ろに居させ』 おまえたちが礼拝を終え、その一団が見張りに出るまでの間、見張らせよ。

『彼らには警戒と武器を備えさせよ』 彼らが礼拝を済ませるまで身に(武器を備えさせよ)。アル=ブハーリーとムスリムによると、預言者はバトン・ナフル(地名)でこのようにされた。

『おまえたちが武器と所持品から気を逸らしたところで』 おまえたちが礼拝に立って。

『おまえたちを一挙に攻撃しようと望んでいる』 一気におまえたちを攻撃し、制圧しようとしている。これが、武器を備えておくようにとの命令の理由である。

『おまえたちを雨が襲うか、おまえたちが病気になった時には武器を置いてもおまえたちの罪にはならない』 それを持つことはない。これは、免責事由のない時にはそれを携えるべきことを導き出す。これはアル=シャーフィイーの2説のうちの1つであり、もう一方によれば、それはスンナであり、こちらが優れる。

『警戒せよ』 敵に対して。できるだけ注意せよ。

『恥辱の懲罰を』 辱めを伴う。

アッラーの御使いは、ムハーリブ族とアンマール族と戦うために遠征に出かけ、敵の姿がまったく見えないところに停留された。人々は安全と考え、アッラーの御使いは用足しに出かけられた。ワジ(涸川)を渡られたところで、空から雨が降ってきて、ワジに水が満ち、ワジの流れがアッラーの御使いと彼の仲間たちの間を阻んだ。そこで、彼は木の下に腰を下ろされた。それをガウラス・ブン・アル=ハリス・アル=ムハーリビーが目にした。彼は、「私が彼を殺さなかったら、アッラーが私を殺すように」と言うと、剣を手に山から急いで下った。アッラーの御使いが彼に気づかれたのは、ガウラスが頭上に立って、鞘から剣を抜いた時であった。ガウラスは言った、「ムハンマドよ、今、おまえを私から守る者は誰か」。するとアッラーの御使いは、「アッラーである」と言われ、「アッラーよ、あなたの御望みのやり方で、ガウラス・ブン・アル=ハリスから私を守り給え」と祈られた。ガウラスは剣でアッラーの御使いを打とうと襲い掛かったが、滑ってうつ伏せに倒れ、手から剣を落とした。すると、アッラーの御使いは立って、剣を取ると、言われた、「ガウラスよ、さて、今おまえを私から守る者は誰か」。彼は言った、「誰もいない」。彼は言われた、「おまえは、アッラーのほかに神がなく、ムハンマドが彼のしもべであり使徒であることを証言するか」。「いや、しない。だが、おまえとは戦わず、おまえと敵対する敵を助けないことを証言する」とガウラス言った。そこでアッラーの御使いは彼に剣を返された。ガウラスは、「おまえは私よりも優れている」と言い、預言者は、「私はおまえよりそれにふさわしい」と言われた。ガウラスが自分の仲間の許に戻ると、彼らは言った、「ガウラスよ、一体おまえはどうしたのだ。なにがおまえを妨げたのだ」。「アッラーに誓って、私は彼を打とうと剣を振りかざしたのだ。ところが、アッラーに誓って、誰が私の両肩を滑らせ、顔から地面に落とさせたのかわけがわからない」。そう言って、ガウラスはアッラーの使徒とのことを語った。それからワジの流れが静まり、アッラーの御使いはワジを渡って、仲間の許に戻り、起こったことを告げ、この節を読まれた。

おまえたちは礼拝を済ませたら、立ったまま、座ったまま、そして、横になったままアッラーを念じよ。そして、落ち着いたなら、礼拝を守れ。まことに礼拝は信仰者たちに定時のものとして書き留められた。(4:103)

『おまえたちは礼拝を済ませたら』 それから解き放たれたら。

『立ったまま、座ったまま、そして横になったまま』 横たわって。つまり、どんな状態でも。

『アッラーを念じよ』 タフリール(「ラー・イラーハ・イッラー・アッラー(アッラーの他に神はない)」と言うこと)、タスビーフ(「スブハーナ・アッラー(アッラーは超越せり)」と言うこと)によって。

『落ち着いたなら』 安全となったなら。

恐怖が去って心が落ち着き、戦闘が終わり、安全となったら。

『礼拝を守れ』 正しくそれ(礼拝)を果たせ。

『定時のものとして』 その時間が定められて。それゆえ、それから遅れてはならない。

『書き留められた』 書き記された。つまり、義務付けられた。

民の追撃に弱気になってはならない。おまえたちが苦しむ時には彼らもおまえたちが苦しむように苦しんでいる。しかも、おまえたちは彼らが望めないものをアッラーから望んでいる。アッラーは全知にして英知ある御方であらせられた。(4:104)

ウフドの戦いから戻った時、預言者はアブー・スフヤーンとその仲間を追撃するために一団を遣わされたが、彼らは怪我の苦しみを訴えた。そこで下された。
ウフドの戦いを終えたアブー・スフヤーンは、ミラルというマディーナ近くの地点で逗留し、ムスリム軍を根絶するためにマディーナに戻ることを検討した。そのことがアッラーの御使いの耳に達すると、彼は、前日のウフドの戦いに参加した者たち全員に出陣を命じられた。すると、彼らは負傷を訴えた。それに対してこの節は下された。

『民の』 不信仰者の。

『追撃に』 追跡に。彼らと戦うために。

『弱気になってはならない』 弱音を吐いてはならない。

『おまえたちが苦しむ時には』 負傷の痛みがある時には。

『彼らもおまえたちが苦しむように苦しんでいる』 おまえたちと同じように。だが、彼らはおまえたちとの戦闘に怯んではいない。

『おまえたちは彼らが望めないものをアッラーから望んでいる』 援助とそれ(戦闘)への報奨を。それゆえ、おまえたちは彼らよりもそれを望むべきである。

『アッラーは全知にして』 すべてについて。

『英知ある御方であらせられた』 彼の御業において。

まことに、われらはおまえに真理と共に啓典を下した。アッラーがおまえに見せ給うたものによって人々の間を裁くためである。だが、裏切り者の側に立って争ってはならない。(4:105)

トゥウマ・ブン・ウバイリクは鎧を盗み、それをユダヤ教徒の所に隠した。それが彼の家で見つけられると、トゥウマは彼にその罪を着せ、自分はそれを盗んでいないと誓った。そこで、彼の部族は預言者を訪れ、彼(トゥウマ)について弁じ、彼の無実を訴えた時に、下された。
トゥウマ・ブン・ウバイリクというアンサール(援助者)の男が隣人の家から鎧を盗んだ。それは小麦粉の入った皮袋の中にあり、その皮袋には裂け目があった。そこで小麦粉が跡を残し、それを辿って人々はトゥウマに至った。すると、彼は、誓って、「それを盗ったのは自分ではない、それについてはなにも知らない」と嘘をついた。彼はそれをザイド・ブン・アル=サミーンというユダヤ教徒の家に隠していた。鎧の持ち主は言った、「われらは小麦粉の跡を辿り、ユダヤ教徒の家まで辿り着いた」。すると、彼は、「トゥウマがそれを彼の家に置いていった」と言い、それには彼の一族の者が証言した。すると、トゥウマの部族であるバヌー・ザファラは、「アッラーの御使いの所に行き、われらが辱めを受けることのないよう、ユダヤ教徒が盗人であることを証言しよう」と言った。彼らは誓うことを決意した。こうして彼らは出かけ、虚偽の証言をし、彼らの中に告訴する者が現れなかった。そこで、預言者はユダヤ教徒の手を切ることを考えられた。そこで、アッラーは預言者に啓示で状況を教え、トゥウマに裁きを下す決定をされた。すると彼は背教してマッカに逃れた。そして家の家財を盗むために壁に穴を開けた。すると壁が崩れ、彼は背教者として死んだ。

『われらはおまえに真理と共に』 『下した』にかかる。

『啓典を下した』 クルアーンを。

『アッラーがおまえに見せ給うたものによって』 教え給うたものによって。それについて。

『裏切り者の側に立って争ってはならない』 トゥウマのように。

アッラーに赦しを乞え。まことにアッラーはよく赦す慈悲深い御方であらせられた。(4:106)

『アッラーに赦しを乞え』 おまえがしようとしたこと(ユダヤ教徒の手を切断すること)について。

自分自身を欺く者をめぐって論争してはならない。まことにアッラーは不実な罪人であった者を愛し給わない。(4:107)

『自分自身を欺く者をめぐって論争してはならない』 不服従によってそれ(自分自身)を裏切る者。なぜなら、彼らの裏切りは彼ら自身にふりかかるからである。

『不実な』 多くの裏切りをする。

『罪人であった者を愛し給わない』 彼に懲罰を与え給う。

彼らは、人々からは隠れようとしても、アッラーから隠れようとはしない。彼らが彼の喜び給わない言葉を抱いて夜を過ごす時、彼は彼らと共におられるというのに。アッラーは彼らのなすことを包囲し給うておられた。(4:108)

『彼らは・・・隠れようとしても』 トゥウマと彼の部族は。羞恥心から。

『彼らが彼の喜び給わない言葉を抱いて』 窃盗の否定を誓い、その罪をユダヤ教徒に着せようという彼らの決意を。

『夜を過ごす時』 心に抱く時。

「yubayyitūna(夜を過ごす時)」とは、原義はあることを考えながら夜を過ごす、という意味だが、ここでは、「心に抱く」を意味する。

『彼は彼らと共におられるというのに』 彼(アッラー)の知識において。

『アッラーは彼らのなすことを包囲し給うておられた』 知識において。

おまえたち、現世のことで彼らをめぐって論争する者たちよ、審判の日に、誰が彼らをめぐってアッラーと論争するか。あるいは、誰が彼らの管理者となるか。(4:109)

『おまえたち・・・者たちよ』 おまえたちよ。トゥウマの部族に向けられた言葉である。

『彼らをめぐって』 トゥウマと彼の仲間と。単数形で「彼をめぐって」と読む読誦法もある。

『論争する者たちよ』 争う者たちよ。

『審判の日に』 アッラーが彼らに懲罰を与え給う時。

『誰が彼らの管理者となるか』 彼らの件を管理し、彼らを保護するのか。つまり、それをする者は誰もいない。

悪事をなし、あるいは、我が身に不正をなし、それからアッラーに赦しを乞う者は、アッラーがよく赦し慈悲深い御方であることがわかる。(4:110)

『悪事をなし』 人を害する罪をなし。トゥウマがユダヤ教徒に罪を着せ掛けたように。

『我が身に不正をなし』 自分自身にのみ係わる罪を犯し。

『それからアッラーに赦しを乞う者は』 そのことで。つまり、悔いて戻る者は。

『アッラーがよく赦し』 彼を。

『慈悲深い御方であることがわかる』 彼に対して。

罪を稼ぐ者、彼は我が身に反してそれを稼ぐだけである。アッラーは全知にして英知ある御方であらせられた。(4:111)

『罪を』 罪咎を。

『彼は我が身に反してそれを稼ぐだけである』 なぜなら、その害は彼の上にあり、他の者を害することはないからである。

『英知ある御方であらせられた』 彼の御業において。

過ち、または罪を稼ぎ、それからそれを無実な者に着せ掛ける者、彼は虚偽と明白な罪を負ったのである。(4:112)

『過ち』 小さな罪を犯し。

『罪を』 大きな罪を。

『無実な』 罪から。

『虚偽』 濡れ衣を着せたことによって。

『明白な罪を』 明らかな。彼のその行為によって。

『負ったのである』 背負ったのである(彼には、2つの懲罰がある)。

もしおまえにアッラーの恩恵と御慈悲がなかったら、彼らのうちの一団がおまえを迷わそうと企んだであろう。だが、彼らが迷わすのは自分たち自身だけであり、わずかにもおまえを害することはない。アッラーはおまえに啓典と英知を下し、おまえの知らなかったことを教え給うた。アッラーのおまえに対する恩恵は大きなものであった。(4:113)

『おまえに』 ムハンマドよ。

『アッラーの恩恵と御慈悲がなかったら』 (大小の罪からの)無謬性によって。

『彼らのうちの一団が』 トゥウマの部族が。

『おまえを迷わそうと』 おまえを混乱させ、真実に基づいた裁きから。

『企んだであろう』 目論んだであろう。

『わずかにも』 「に(min)」は虚字。

『おまえを害することはない』 なぜなら他人を惑わした責任は、彼らの上にあるから。

『啓典と』 クルアーンと。

『英知を下し』 その中にある規定を。

『おまえの知らなかったことを教え給うた』 規定と不可視界について。

『おまえに対する恩恵は』 そのことやその他のことによる。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院