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【第4章 女】
(4:114〜4:127)
 

彼らの密談の多くには良いことはない。ただし、喜捨、善行、人々の間の執り成しを命じる者は別である。アッラーの御満悦を望んでこれをなす者、われらはいずれ彼に大きな報酬を与えるであろう。(4:114)

『彼らの』 人々の。

『密談の多くには』 彼らがひそひそと密かに話すことに。

『善行』 敬虔な行い。

「善行(marūf)」とは、聖法が良いと見なし、理性が拒絶しないもので、それには様々な良い行いがある。例えば、良い言葉、あるいは苦境にある者を貸し付けなどで助けること、困窮する者を助けることなどで、サダカ(喜捨)よりももっと一般的である。

『人々の間の執り成しを命じる者は別である』 ・・・命じる者の密談は別である。

『アッラーの御満悦を』 他の現世のことでなく。

『望んで』 求めて。

『これをなす者』 既述のことを。

『われらはいずれ彼に大きな報酬を与えるであろう』 アッラーは。一人称複数の接頭辞「ヌーン(n)」で「nutī(われらは与える)」と読む読誦法と、三人称単数の接頭辞「ヤーゥ(y)」で「yutī(彼は与える)」と読む読誦法がある。

導きが明らかにされた後で使徒と対立し、信仰者の道でないものに従う者、われらは彼に自分で引き受けたものを任せ、彼を火獄にくべる。なんと悪い行き先であることか。(4:115)

『導きが明らかにされた後で』 さまざまな奇跡によって真実が彼に明らかになった後で。

『使徒と』 彼が携えてきたものについて。

『対立し』 背反し。

『信仰者の道でないもの・・・』 信仰者の道でない道。

『・・・に従う者』 不信仰に陥ることによって、信仰者がその上に立つ宗教の道でないものに。

『われらは彼に自分で引き受けたものを任せ』 われらは彼を彼が引き受けた誤りの責任者とし。

『彼を火獄にくべる』 来世で、そこに入れる。そして、その中で焼く。

『なんと悪い行き先であることか』 帰り処か。それは。

まことにアッラーは彼に共同者を置くことを赦し給わず、それ以外のことは御望みの者には赦し給う。アッラーに共同者を置く者は遠く迷いに迷ったのである。(4:116)

『遠く迷いに迷ったのである』 真理から。

彼らが彼をさしおいて祈るのは女にほかならず、反逆のシャイターンに祈っているにほかならない。(4:117)

『彼らが彼をさしおいて』 アッラーを。つまり、彼のほかに。

『祈るのは・・・ほかならず』 仕えるのは。辞詞「in(・・・ならず)」は否定詞「mā」の意味。

『女にほかならず』 女の偶像に。アル=ラート、アル=ウッザー、マナートなどの。

アル=ラートとは「イラーフ(神)」から、アル=ウッザーとは、「アズィーズ(威力ある)」から、マナートは「マンナーン(恩恵をもたらす)」から取られた名である。多神教徒は、これらはアッラーの娘たちであると言っていた。

『反逆の』 彼らがそれ(偶像崇拝)によって彼(シャイターン)に服従することによって、(アッラーへの)服従から外れた。

『シャイターンに』 イブリースである。

『祈っている・・・』 それ(偶像)に仕えることによって、仕えている。

『・・・にほかならない』 辞詞「in(・・・ならない)」は否定詞「mā」の意味。

アッラーは彼を呪い給うた。一方、彼は言った、「私はあなたのしもべから一定の分け前を必ずや奪い取る」。(4:118)

『呪い給うた』 彼を彼の慈悲から遠ざけ給うた。

『彼は言った』 シャイターンは。

『一定の』 一片の。 

『分け前を』 取り分を。彼らを私への服従に呼びかけて。

『必ずや奪い取る』 私のものとする。

彼らの数は、1000人中999人である。したがって、楽園に入るのは1000人につき1人である。アッラーの御使いは言われた、「あなたがたは、あなたがたの同類の者の中で、黒い牛に混じった白い毛のようなものである」。

「そして、私は彼らを迷わせ、彼らの欲望を掻き立て、彼らに命じて家畜の耳を切らせ、また彼らに命じてアッラーの創造を変形させる」。アッラーをさしおいてシャイターンを味方とした者は明白な損失を被ったのである。(4:119)

『彼らを迷わせ』 真理から。ささやきによって。

『彼らの欲望を掻き立て』 彼らの心に長寿(への執着)と、再生はなく、清算もないと吹き込み。

『彼らに命じて家畜の耳を』 「バヒーラ」に対してそうしていた。

バヒーラ(4頭子をなし、5頭目に雌を生んだ雌ラクダで、労役を免じられ、その乳は偶像に捧げられた)が、その目印に耳を裂かれたことを指す(第5章[食卓]103節参照)。

『切らせ』 切断させ。

『アッラーの創造を変形させる』 彼の宗教を、不信仰によって。また、彼が禁じ給うたものを許し、許し給うたものを禁じることによって。

『アッラーをさしおいて』 彼のほかに。

『シャイターンを味方とした者は』 彼を友とし、彼に従った者は。

『明白な損失を被ったのである』 明らかな。なぜなら、彼の行く先は、永遠の獄火だからである。

彼は彼らと約束し、彼らに欲望を掻き立てるが、シャイターンが彼らに約束するのは虚妄にすぎない。(4:120)

『彼は彼らに約束し』 長寿を。

『彼らに欲望を掻き立てるが』 現世の様々な願望と、再生はなく、報いもないことを。

『シャイターンが彼らに約束するのは』 それらのことを。

『虚妄にすぎない』 虚偽に。

表向きは益があるようだが、中には害があるものである。

それらの者、彼らの居留地は火獄で、彼らはそこからの避難所を見出せない。(4:121)

『そこからの避難所を』 逃げ場を。

一方、信仰し、善行をなす者、いずれわれらは彼らを下を川が流れる楽園に入れよう。彼らはそこに永遠に留まる。アッラーの約束は真実である。誰がアッラーより言葉が真実であるか。(4:122)

『アッラーの約束は真実である』 つまり、アッラーはそれを約束し、それを真実となし給うた。

『言葉が』 言うことが。

『真実であるか』 つまり、誰もいない。

それはおまえたちの期待によるものではなく、啓典の民の期待によるものでもない。悪事をなした者はその報いを受け、彼にはアッラーをおいて庇護者も援助者もない。(4:123)

ムスリムと啓典の民が自慢し合ったことに対して下された。

啓典の民のある者たちがムスリムに対し、「われらの啓典はおまえたちの啓典より先だ。われらの預言者はおまえたちの預言者よりも先だ。われらの方がアッラーからの報奨によりふさわしい」と言った。それに対し、ムスリムは、「われらの預言者は預言者の封印である。われらの啓典はすべての啓典に決着をつけるものである。われらはおまえたちの啓典を信じたが、おまえたちはわれらの啓典を信じない。それゆえ、われらの方がおまえたちよりアッラーの報奨に与るにふさわしい」と言った。こうして、両者は互いに自慢しあった。

『それは』 その事は(つまり、アッラーが約束し給うた報奨の件は)。

『おまえたちの期待によるものではなく』 委ねられたものではなく。

『啓典の民の期待によるものでもない』 そうではなく、善行による。

『悪事をなした者はその報いを受け』 ハディースが伝えるように、来世で、あるいは現世の苦難や試練によって。

不信仰者の場合は必然的に。また、信仰者の場合には、悔悟しなかった場合に。
この節が下されると、アブー・バクルが尋ねて言った、「アッラーの御使いよ、われらの誰が(悪事を)なさないでしょうか。われらはわれらのなしたすべての悪事の報いを受けるのですか」。すると、彼は言われた、「あなたとあなたの信仰ある仲間について言えば、現世でその報いを受け、アッラーに見える時にはあなたがたには罪はない。一方、その他の者は、それは彼らに集められ、審判の日にその報いを受ける」(アル=ティルミズィーの伝える伝承)。

『彼にはアッラーをおいて』 彼のほかに。

『庇護者も』 彼を守護する。

『援助者もない』 彼をそれ(懲罰)から守る。

また、善行をなす男女で、信仰者である者、それらの者は楽園に入れられ、ナツメヤシの種の斑点も不当に扱われることはない。(4:124)
ハフス&アースィム版:また、善行をなす男女で、信仰者である者、それらの者は楽園に入り、ナツメヤシの種の斑点も不当に扱われることはない。(4:124)

『善行を』 そのなんらかを。

『楽園に入れられ』 受動態で「yudkhalūna(入れられ)」と読む読誦法と能動態で「yadkhulūna(入り)」と読む読誦法がある(監訳者注:ハフス&アースィム版は後者の能動態の読誦法を採る)。

『ナツメヤシの種の斑点も』 ナツメヤシの種の斑点ほども。

自分の顔をアッラーに差し出し、善を尽くす者で、ひたむきなイブラーヒームの宗派に従う者より宗教をより良いものとした者がいようか。アッラーはイブラーヒームを親密な者となし給うたのである。(4:125)

『自分の顔をアッラーに差し出し』 彼に服従し、行いを彼にひたすら捧げ。
自分自身を差し出す、ということである。「顔」と表現しているのは、顔が人間の身体で最も高貴な部分であるからである。

『善を尽くす者で』 唯一神を崇拝する者で。

イブン・アッバースによれば、これは、アッラーおひとりに仕えることである。

『ひたむきな』 状態の副詞的修飾句。つまり、諸宗教すべてを捨て、真っすぐな宗教に傾倒する。

『イブラーヒームの宗派に』 イスラームの宗派と一致した。

特にイブラーヒームに言及があるのは、彼についてはユダヤ教徒もキリスト教徒も共に称えるからである。

『従う者より宗教をより良いものとした者がいようか』 誰もいない。

『親密な』 選ばれた、特別の愛情を掛けられた。

アッラーに天にあるものも地にあるものも属す。アッラーはあらゆるものを包囲し給う御方であらせられた。(4:126)

『アッラーに天にあるものも地にあるものも属す』 所有物として、被造物として、そして、しもべとして。

『アッラーはあらゆるものを包囲し給う御方であらせられた』 知識と力によって。つまり、彼は永遠にその属性を帯びた御方である。

彼らは女についておまえに判断を求める。言え。アッラーは彼女らについて判断を啓示し給い、啓典の中でおまえたちに読み聞かせられたこと、女の孤児で、おまえたちが彼女らに書き定められたものを与えず、結婚を望む者について、また弱い子供たちも。また、孤児に公正に接することも。おまえたちがなす善行、まことにアッラーはそれについてよく知り給う御方であらせられた。(4:127)

『彼らは』 教友の一団は。

『女・・・』 そして、彼女らの相続(について)。

『・・・について』 ・・・の件について。

『判断を求める』 おまえにファトワー(教令)を求める。

『言え』 彼らに。

『啓典の中でおまえたちに読み聞かせられたこと』 クルアーンの中の相続の節で。

『啓典の中でおまえたちに読み聞かせられたこと』 これを主格とする解釈と、属格とする解釈がある。主格とするとは、『アッラーは・・・判断を啓示し給い』の『アッラー』に同格接続としてかかるとすることである。また、属格とするとは、『彼女らについて( fī-hinna)』にかかるとすることで、「アッラーは彼女らについて判断を下し、また、啓典の中でおまえたちに読み聞かせられたことについても判断を啓示し給う」という意味になる。
主格とする場合について。「判断を下す者(ムフティー)は、2つ、つまり称えらるべきアッラーと、その啓典である。差異は概念上のものであり、意味は、預言者の舌を通じて(アッラーが)御自らおまえたちに法判断を啓示し給うか、預言者の舌を通じてその啓典を通じておまえたちに判断を啓示し給うか、である」(cf., al=Sāwī, Hāshiyah al=Sāwī, vol.1, p.248)。

『書き定められた・・・』 義務付けられた。

『・・・ものを』 遺産を。

『結婚を望む・・・』 彼(アッラー)は教令を啓示し給う。彼女らの醜さゆえに(結婚を)避けることを望む者、また、彼女らの遺産を狙って彼女の結婚を妨害する者について。つまり、彼はおまえたちにそのようなことをしてはならない、と教令を啓示し給う。

『・・・者』 (孤児の)後見人よ。

『おまえたちが彼女らに書き定められたものを与えず、結婚を望む者について』には2つの解釈が可能である。
1つによれば、『書き定められたもの』とは孤児や小児の遺産のことで、孤児の女に遺産を与えず、彼女らの醜さゆえに結婚は望まず、それでいて彼女らの遺産を手放したくないために彼女らの結婚を妨害する、という意味である。
もう1つによれば、『書き定められたもの』とは婚資のことで、彼女らの美と遺産目当てで結婚を望みながら、婚資を出し惜しむ、ということである。

『また・・・も』 ・・・についても。

『弱い・・・』 幼い。

彼らは、領土を守り、聖域を守る者にしか遺産は継がせない、と言って、女と子供に遺産相続をさせなかった。そのため、『アッラーは子供たちについておまえたちに命じ給う』(第4章[女]11節)が下された。

『・・・子供たちも』 彼らに彼らの権利を与えるように。 

『公正に』 相続、婚資において公平に。

『接することも』 おまえたちに命じ給う。

『アッラーはそれについてよく知り給う御方であらせられた』 そして、それについておまえたちに報い給う。

アーイシャによると、この孤児の娘は彼女の庇護者の家にいたもので、彼は彼女の美と財産を手に入れることを望み、婚資を出し惜しんだ。そこで、完全な婚資を払わなければ彼女らと結婚することが禁じられ、彼女ら以外の女ではなく彼女らとの結婚が命じられた。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院