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【第4章 女】
(4:128〜4:140)
 

もし女が彼女の主人からの虐待や忌避を恐れたなら、両者の間で和解によって和解し合うことは両者の罪にはならない。和解はより良い。だが、人には強欲がつきものである。もし、おまえたちが最善を尽くし、畏れ身を守るならば。アッラーはおまえたちのなすことに精通し給う御方であらせられた。(4:128)

『女が』 それを解説する動詞によって主格となっている。

『彼女の主人からの』 夫からの。

『虐待や』 彼女に対する高圧的態度や。つまり、彼女に対する怒りや、彼女よりも美しい女への目移りから寝床を避けたり、扶養を怠るなどの。

『忌避を』 彼の顔つきで彼女を避けることを。

『恐れたなら』 予想したなら。

『両者の間で和解によって』 分け前や扶養に関して。妻が同居を続けるために(共に過ごす夜や扶養など)なんらかのものを彼のために放棄することによって。さもなければ、夫には、妻に妻の権利を与えるか、妻と別れることが課せられる。

彼女の財産や婚資を夫に返したりすることに同意したなら、そうしても罪にはならない。夫が妻のものを取り上げることは禁じられた賄賂とみなされたが、和解のために妻がそれに同意するのであれば、どちらにも罪にはならないということである。

『和解し合うことは両者の罪にはならない』 『和解し合う(yassālahā)』は、元の動詞派生形(「yatasālah(h?)a」)の接頭辞「ターゥ」が第1語根の「サード(s)」に吸収・同化したもの。派生形第4形の「aslaha」からの「yuslihā(和解する)」と読む読誦法もある。

『和解はより良い』 離婚や虐待や忌避よりも。

『だが、人には強欲がつきものである』 至高なる御方は、人間に天性として与え給うたものを明らかにして仰せられた。酷い吝嗇のことである。つまり、それが彼(人間)には備え付けられた。それで、それはいつも付きまとい、彼から離れないかのようである。つまり、妻は夫に対して自分の権利を譲歩しそうになく、夫は他の女が好きになった時に、彼女(妻)に対して自分を譲りたがらないものである。

『おまえたちが最善を尽くし』 妻との生活に。

『畏れ身を守るならば』 彼女らへの横暴を。

『精通し給う御方であらせられた』 そして、それについておまえたちに報い給う。

おまえたちは女たちの間で公平にはできないであろう。たとえ、切望したとしても。偏愛にすっかり傾き、彼女を繋がれた者のように放っておいてはならない。もしおまえたちが和解し、畏れ身を守るならば。まことにアッラーはよく赦す慈悲深い御方であらせられた。(4:129)

『おまえたちは女たちの間で』 愛情において。

『公平にはできないであろう』 平等には。

『たとえ、切望したとしても』 それを。

『偏愛にすっかり傾き』 好きな妻に分配、扶養において。

『彼女を繋がれた者のように』 離縁されたのでもなければ、夫持ちでもない。

『放っておいてはならない』 嫌われた女(妻)を放置しては。

『もしおまえたちが和解し』 分配における公平さによって。

『畏れ身を守るならば』 横暴を。

『まことにアッラーはよく赦す』 おまえたちの心の中にある偏愛については。

『慈悲深い御方であらせられた』 そのことについておまえたちに対し。

また、もしおまえたちが別れるとしても、アッラーは彼の豊かさから両者を満たし給う。アッラーは広大にして英知ある御方であらせられた。(4:130)

『もしおまえたちが別れるとしても』 夫婦が離婚によって。

『彼の豊かさから』 彼の恩恵から。彼女に彼以外の夫を与え、彼に彼女以外の者を与えることによって。

『両者を満たし給う』 (今までの)相手なしでも。

『アッラーは広大にして』 彼の被造物に対し。恩恵において。

『英知ある御方であらせられた』 彼らに取り計らい給うことにおいて。

アッラーに天のものも地のものも属す。われらはおまえたち以前に啓典を授けられた者とおまえたちに、アッラーを畏れ身を守れ、と命じた。また、もしおまえたちが拒絶しても、アッラーに天にあるものも地にあるものも属す。そして、アッラーは自足し、賛美されるべき御方であらせられた。(4:131)

『アッラーに天のものも地のものも属す』 前節の理由である。アッラーが恵み豊かであらせられるのは、天のものも地のものもアッラーに属すからである。

『われらはおまえたち以前に』 つまり、ユダヤ教徒とキリスト教徒に。

『啓典を』 諸々の啓典を。

『おまえたちに』 クルアーンの民よ。

『アッラーを畏れ身を守れ』 彼の懲罰を。彼に服従することによって。

『・・・と命じた』 ・・・ということを命じた。

『また』 われらは彼らとおまえたちに言った。

『おまえたちが拒絶しても』 おまえたちが命じられたことを。

『アッラーに天にあるものも地にあるものも属す』 被造物として、所有物として、そして、しもべとして。おまえたちの不信仰が彼(アッラー)を害することはない。

『アッラーは自足し』 彼の被造物と彼らの崇拝から。

『賛美されるべき御方であらせられた』 彼の彼らに対する御業において称賛されるべき御方。

アッラーに天にあるものも地にあるものも属す。管理者としてはアッラーで十分であらせられた。(4:132)

『アッラーに天にあるものも地にあるものも属す』 彼に対する畏怖の義務を確定するための強調の繰り返し。

『管理者としてはアッラーで十分であらせられた』 両者の間にあったことについての証人には。

もし彼が御望みならば、人々よ、彼はおまえたちを行かせ、別の者たちを連れて来給う。アッラーにはそうすることも可能であった。(4:133)

『人々よ』 おお、人々よ。

『彼はおまえたちを行かせ、別の者たちを連れて来給う』 おまえたちを取り替え給う。

これはアッラーの御使いに敵対するアラブ遊牧民たちに向けられた言葉で、アッラーが御望みならおまえたちを殺し、使徒に味方する別の者たちを連れてくることも可能である、という意味であると言われる。その意味するところは、『もしおまえたちが背き去るのであれば、彼はおまえたちとは違う民に取り替え給う。そして、彼らはおまえたちのようではない』(第 47章[ムハンマド]38節)と同じとなる。この節が下された時、アッラーの御使いはサルマーンの背を手で叩き、「それはこの者の民である」と言われた。つまり、ペルシャ人ということである。

現世の報いを望む者、アッラーの御許には現世と来世の報いがある。アッラーは全聴にしてすべてを見通す御方であらせられた。(4:134)

『現世の報いを望む者』 自分の行いによって。

『アッラーの御許には現世と来世の報いがある』 それを望む者には、他の者の許にはない(現世と来世の報いが)。それなのにどうして 2つのうちより劣悪な方を求め、アッラーのみに仕えてより高貴な方を求めないのか。彼の求めるものは彼(アッラー)の御許にしかないというのに。

信仰する者たちよ、アッラーのために証人として公正さを堅持する者となれ。たとえ自分自身、両親、近親に不利であっても。それが富裕者でも貧者でも。アッラーはその両者により近い。それゆえ、逸脱することで、欲望に従うな。もしおまえたちがねじ曲げたり、避けたりすれば。まことにアッラーはおまえたちのなすことに精通し給う御方。(4:135)

『アッラーのために』 アッラーのみを念じながら。

『証人として』 真理に則った。

『公正さを』 正義を。

『堅持する者となれ』 行う者と。

行う者とは、常に守り続ける者、という意味である。一度や二度公正であっても、それは公正さを堅持する者ではない。

『たとえ自分自身、両親、近親に不利であっても』 真理を認めることによって自分に不利になることでも証言せよ。それを隠してはならない。

『それが富裕者でも貧者でも』 証言する相手が。

『アッラーはその両者により近い』 おまえたちよりも。そして、彼らのためになることについてよりよく知り給う。

『逸脱することで』 (否定詞「lā」を補い)真理から逸れないことで。

『欲望に従うな』 証言において。富裕者を喜ばせるため、あるいは、貧者への慈悲のために彼を贔屓することによって。

金持ちと貧乏人が言い争い、預言者の許に訴えてきた。預言者は貧乏人が金持ちに不正をなすことはないと考えられたが、それに対してアッラーはこの節を下し、裁きにおいては金持ちに対しても貧者に対しても公正であるように命じ給うた。

『もしおまえたちがねじ曲げたり』 証言を変更したり。「talwū(ねじまげたり)」は、別の読誦法では、 2つの「ワーゥ(w)」のうち前の「ワーゥ」が省略され、「talū」と読む(意味は同じ)。

『避けたりすれば』 それ(証言)を果たすことを。

『まことにアッラーはおまえたちのなすことに精通し給う御方』 そして、そのことでおまえたちに報い給う。

条件節『もしおまえたちがねじ曲げたり、避けたりすれば』の省略された帰結節の理由である。つまり、「アッラーはおまえたちを罰する。なぜならばアッラーはおまえたちのなすことに精通しておられたからである」。

信仰する者たちよ、アッラー、彼の使徒、彼の使徒に下された啓典、以前に啓示された啓典を信じよ。アッラーと、彼の天使、彼の啓典、彼の使徒、最後の日を拒絶する者、彼は遠く迷い去ったのである。(4:136)

ハフス&アースィム版:信仰する者たちよ、アッラー、彼の使徒、彼の使徒に下し給うた啓典、以前に啓示し給うた啓典を信じよ。アッラーと、彼の天使、彼の啓典、彼の使徒、最後の日を拒絶する者、彼は遠く迷い去ったのである。(4:136)

『彼の使徒に下された啓典』 ムハンマドに。クルアーンのことである。

『以前に啓示された啓典を』 使徒たちに。諸啓典の意味である。別の読誦法では、 2つの動詞を能動態でそれぞれ「 nazzala(下し給うた)」「anzala(啓示し給うた)」と読む(監訳者注:ハフス&アースィム版は後者の能動態の読誦法を採る)。

『信じよ』 信仰に留まれ。

『彼は遠く迷い去ったのである』 真理から。

そして正しい道に戻ることは至難の業である。

信仰し、それから拒絶し、それから信仰し、それから拒絶し、それから不信仰を増した者たち、アッラーは彼らを赦し給わず、道を導き給うこともない。(4:137)

『信仰し』 ムーサーを。これはユダヤ教徒のことである。

『それから拒絶し』 子牛の崇拝によって。

『それから信仰し』 その後で。

ムーサーが(アッラーとの)対話から彼らの許に戻った後に。

『それから拒絶し』 イーサーを。

『それから不信仰を増した者たち』 ムハンマドに対する。

『アッラーは彼らを赦し給わず』 彼らが続けたこと(不信仰)に対し。

『道を導き給うこともない』 真理への道を。

この節は偽信者たちについて下されたとも言われる。彼らは信仰した後、不信仰に陥り、それから信仰者の法規定が自分たちにも適用されるようにと、口では信仰を表明し、そして不信仰のまま死ぬことで不信仰を深めた。信仰と不信仰を何度も繰り返すのは信仰が心にないことを示すもので、そのような者は真の完全な信仰を得ることはない。彼らが「不信仰を増した」とは信仰を嘲笑し、弄んだことである。

偽信者たちに告げよ、彼らには痛烈な懲罰があると。(4:138)

『偽信者たちに告げよ』 彼らに告げよ、ムハンマドよ。

『痛烈な懲罰』 痛みを与える。それは獄火の懲罰である。

彼らは信仰者をさしおいて不信仰者を味方とする者たちである。彼らは彼らの許に威力を求めるのか。まことに威力はすべてアッラーに属す。(4:139)

『(彼らは)・・・者たち』 前(第138)節の『偽信者』の代置、または、修飾句。

『信仰者をさしおいて不信仰者を味方とする』 彼ら(不信仰者)に力があると錯覚したために。

『彼らは彼らの許に威力を求めるのか』 非難の疑問文。つまり、それは彼らの許にはない。

『まことに威力はすべてアッラーに属す』 現世でも、来世でも。そして、彼はそれを彼の友にしか授け給わない。

『アッラーに威力は属し、彼の使徒と信仰者に』(第63章[偽信者たち]8節)とある通りである。

おまえたちには啓典の中で、アッラーの印が否定され、嘲笑されるのを聞いた時には、彼らが他の話題に入るまで彼らと同席してはならないことを下し給うた。さもなければおまえたちは彼らと同類である。まことにアッラーは偽信者と不信仰者を一緒に火獄に集め給う。(4:140)

『啓典の中で』 クルアーンの、家畜章の中で。

これは、『われらの印について話し込む者たちを見たら、彼らが他の話題に入るまで彼らから遠ざかれ・・・』(第6章[家畜]68節)のことである。これはマッカで啓示されたもので、多神教徒たちはクルアーンについて語り、それを嘲笑していた。また、マディーナではユダヤ教の学者が同じようなことをし、偽信者がその座談に加わり、クルアーンについて嘲笑した。そこでアッラーはこの節を下し、信仰者に彼らと座を共にすることを禁じ給うた。

『アッラーの印が』 クルアーンが。

『彼らが』 つまり、不信仰者と嘲笑する者たちが。

『他の話題に入るまで彼らと同席してはならないことを』 「・・・(an)ことを」は促音なしで、主語は省略されている。つまり、「anna-hu(それは・・・ということ)」の意。

『下し給うた』 能動態で「nazzala(下し給うた)」と読む読誦法と、受動態で「nuzzila(下された)」と読む読誦法がある。

『さもなければ』 もしおまえたちが彼らと座すならば。

『おまえたちは彼らと同類である』 罪において。

『まことにアッラーは偽信者と不信仰者を一緒に火獄に集め給う』 現世で不信仰と嘲笑において彼らが集まったように。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院