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【第5章 食卓】
(5:6〜5:13)
 

信仰する者たちよ、おまえたちが礼拝に立った時にはおまえたちの顔と両手を肘まで洗い、頭のところを撫で、両足をくるぶしまで。もしおまえたちが大汚にあれば、浄化せよ。またもしおまえたちが病気か、旅先にあるか、おまえたちの誰かが厠から来たか、妻に触れたかし、水が見つからなかった時には、良い土をタヤンムムし、おまえたちの顔と両手のところをそれで撫でよ。アッラーはおまえたちに困難を課そうと欲し給うのではなく、おまえたちを清め、おまえたちへの彼の御恵みを全うしようと欲し給うのである。きっとおまえたちは感謝するであろう。(5:6)

『おまえたちが礼拝に立った時には』 つまり、おまえたちが礼拝に立つことを思いたった時に。小汚にあれば。

『両手を肘まで洗い』 スンナが明らかにしているように、それ(手)と一緒に(肘まで)。

『頭のところを撫で』 『頭のところを( bi-ru’ūsi-kum)』の『・・・のところを(bi-)』は接触を意味する。つまり、(頭のところを)触れて撫ぜよ。そこを撫でるとは、水をかけるのではなく、ということ。それ(頭)は属の実名詞で、その名に値する最小部分だけでも十分である。つまり、髪の一部を撫でるということである。アル=シャーフィイーはこの見解を採る。

一方、マーリク、アフマドによれば、頭全体を擦るべきであり、アブー・ハニーファによれば頭の4分の1を擦るべきである。

『両足を』 対格で、『おまえたちの両手を』に同格で接続する。また、隣接によって属格とする(読誦法もある)。

『くるぶしまで』 スンナが示すように、それも一緒に。それは、足と脛の間の関節にある、それぞれの足の突き出た両骨のことである。

洗浄すべき両手と両足の間に擦る頭が割り込んでいるが、これはこれらの部分の浄化における順序の義務づけをもたらすものである。アル=シャーフィイーはこの見解を採る。なお、他のイバーダート(崇拝行為)同様、ニーヤ(意図)を持つことがスンナによって義務づけられる。

『浄化せよ』 グスル(沐浴)をせよ。

『またもしおまえたちが病気か』 水が障るような病気か。

『旅先にあるか』 つまり、旅行者であるか。

『厠から来たか』 つまり、小汚にあるか。

『妻に触れたかし』 第4章「女」(43節)にすでに同じようなことが述べられている。

『水が見つからなかった時には』 捜したけれども。

『良い土を』 清浄な土埃を。

『タヤンムム(水の代わりに砂埃で行う儀礼的洗浄)し』 志向し。

『おまえたちの顔と両手・・・』 肘も含めて。

『・・・のところをそれで撫でよ』 2度(土埃を手で)打って。『・・・のところを(bi-)』の前置詞「バー(b)」は接触を意味するが、スンナは、これが顔と腕全体を撫でつけることを意味するものであることを明らかにしている。

『アッラーはおまえたちに困難を課そうと欲し給うのではなく』 ウドゥー(洗浄)、グスル(沐浴)、タヤンムム(砂洗浄)などの義務をおまえたちに課したのはおまえたちを苦しめるためではなく。

『おまえたちを清め』 小汚と罪から。

『おまえたちへの彼の御恵みを全うしようと欲し給うのである』 イスラームによって。宗教の掟を明白にすることによって。

『きっとおまえたちは感謝するであろう』 その(イスラームの)恵みに。

アッラーのおまえたちへの御恵みと、彼がおまえたちと交わし給うた誓約を思い起こせ。その時、おまえたちは、「われらは聞き、従った」と言った。アッラーを畏れ身を守れ。まことにアッラーは心に抱くことを知り給う御方。(5:7)

『アッラーのおまえたちへの御恵み』 イスラームによる。

『彼がおまえたちと交わし給うた』 おまえたちと契約し給うた。

『誓約を思い起こせ』 約束を。

この誓約とは、ムスリムがアッラーの御使いに対して好むと好まざるとにかかわらず聞き、従うことを約束したもので、その時、彼らは「われらは聞き、従った」と言った。アカバの夜(マディーナの住民代表団が預言者をマディーナに迎えるためにマッカを訪れ彼に忠誠を誓った)、及び木の下で交わした約束(アル=フダイビーヤの戦いの時に預言者への忠誠を再確認した)も同様である。

『その時、おまえたちは・・・と言った』 ムハンマドに。彼と忠誠誓約を結んだ時に。

『われらは聞き、従った』 われらが好むことであれ、嫌うことであれ、おまえが命じ、また禁じることのすべてにおいて。

『アッラーを畏れ身を守れ』 誓約を果たすことにおいて。

『まことにアッラーは心に抱くことを知り給う御方』 心の中にあることを。とすれば、そうでないことはなおさらである。

信仰する者たちよ、アッラーのための管理者、公正な証人となれ。民に対する憎しみがおまえたちを公平でなくさせることがあってはならない。公平にせよ。それが畏怖により近い。アッラーを畏れ身を守れ。まことにアッラーはおまえたちのなすことに精通し給う御方。(5:8)

『管理者』 履行者。

『アッラーのための』 彼の権利に応えて。

アッラーが彼らに履行を課し給うた彼への服従行為と禁止の忌避の全てにおいてアッラーに対して義務を果すことである。

『公正な証人となれ』 公平な。

この義務賦課の文は、アッラーの権利と人々の権利の2つに係わる。前者(アッラーの権利)は『アッラーのための管理者』が明らかにし、後者(人々の権利)は『公正な証人』が説明している。

『民に対する』 つまり、不信仰者に対する。

『憎しみが』 憎悪が。

『おまえたちを公平でなくさせ・・・』 そして彼らへの敵意のために彼らに危害を加える。

例えば、彼らとの約束を破ったり、彼らの子孫を殺したり、財産を奪うなど許されないことをすることによって彼らに不正をなすことである。

『・・・させることがあってはならない』 おまえたちを・・・に仕向けることが。

『公平にせよ』 敵にも味方にも。

『それが』 公平さが。

『まことにアッラーはおまえたちのなすことに精通し給う御方』 そして、それについておまえたちに報い給う。

アッラーは信仰し、善行をなす者たちに約束し給うた。彼らには赦しと大きな報酬がある。(5:9)

『約束し給うた』 良い約束を。

『大きな報酬がある』 楽園である。

信仰を拒絶し、われらの印を嘘だと言う者、それらの者は火獄の輩である。(5:10)

信仰する者たちよ、アッラーのおまえたちへの御恵みを思い起こせ。民がおまえたちに手を出そうと目論んだ時、彼は彼らの手をおまえたちに対して差し押さえ給うた。アッラーを畏れ身を守れ。アッラーにこそ信仰者は頼るがよい。(5:11)

『民が・・・目論んだ時』 クライシュ族のことである。

『おまえたちに』 おまえたちを不意打ちで殺すために。

『手を出そうと』 伸ばそうと。

『彼は彼らの手をおまえたちに対して差し押さえ給うた』 彼らがおまえたちになそうと欲したことからおまえたちを守り給うた。

これはズー・アンマールの遠征の際のことで、アスファーンでアッラーの御使いと教友たちがズフル(午後)の礼拝を終えると、多神教徒たちは彼らを襲わなかったことを悔やんだ。すると、人々が、「彼らには彼らの父親よりも子よりも大切な礼拝がある(つまりアスル[午後の後半]の礼拝のことである)」と言い、彼らはムスリムがアスルの礼拝に立ったら、そこを襲うことを目論んだ。それに対してアッラーは危険時の礼拝を啓示し、彼らの策謀を挫き給うた。
あるいは、アッラーの御使いがクライザ族の許に2人の長老とアリーと共に行き、アムル・ブン・ウマイヤが多神教徒と間違えて殺した2人のムスリムの血の代償を貸付にするよう求められた際のことで、彼らは、「アブー・カーシム(預言者ムハンマドの別名)よ、お座りください。食事をもてなし、あなたの求められたものを与えましょう」と言うので、彼らは座った。ところが彼らはアッラーの御使いの殺害を目論み、アムル・ブン・ジャッハーシュは大きな臼を彼に投げつけることを決意した。するとアッラーは彼の手を抑え給い、ジブリールが下って、アッラーの御使いにそのことを告げたため、彼は外に出られた。
あるいはまた、アッラーの御使いが教友たちから離れて木に剣をつるし、休んでおられたところにベドウィンがやって来て、剣を抜き、「ムハンマドよ、誰がおまえを私から守るか」と言うと、彼は、「至高なるアッラーが」と答えられた。すると、ジブリールは彼の手から剣を落とさせ、その剣を預言者が取ると、「誰がおまえを私から守るか」と言われ、彼が、「誰もいない」と答えた時のことだとも言われる。

アッラーはかつてイスラーイールの子孫と約束を結び給い、われらは彼らのうちから十二人の首長を遣わした。アッラーは仰せられた、「まことにわれはおまえたちと共にある。もしも、おまえたちが礼拝を守り、法定喜捨を払い、使徒たちを信じて助勢し、アッラーに良い貸し付けをするならば、われはおまえたちの悪行を帳消しにし、おまえたちを下を川が流れる楽園に必ず入れよう。おまえたちのうち、その後信仰を拒絶した者は正しい道から迷ったのである」。(5:12)

『アッラーは・・・約束を結び給い』 後述のことについて。

『われらは・・・遣わした』 ここでは、三人称からの転換がある。われらは・・・起こした。

『彼らのうちから十二人の首長を』 ヤゥクーブの子供のそれぞれから。首長はその民に対し、彼らが交わした約束の履行に関する責任者となった。

『アッラーは仰せられた』 彼らに。

『まことにわれはおまえたちと共にある』 助けと援助において。

『もしも』 『もしも(la-in)』の「la』は誓いの「ラーム(l)」

『使徒たちを信じて助勢し』 彼らを護持し。

『アッラーに良い貸し付けをするならば』 彼(アッラー)の道において費やすことによって。

『その後』 誓約の後。

『正しい道から迷ったのである』 真理の道を誤ったのである。『正しい(sawā’)』の原義は、中庸の(wasat)。ところが、彼らは誓約を破った。

伝承によると、イスラーイールの民はフィルアウンの滅亡後、エジプトに戻ったが、アッラーは彼らにシリアの地のアリーハー(エリコ、あるいはエルサレム)に向かうよう命じ給うた。そこには巨人のカナン人が住んでいた。アッラーはイスラーイールの民に仰せられた、「われはおまえたちに定住の地を与えよう。それゆえ、出かけ、そこにいる者たちと戦え。われがおまえたちを助けるであろう」。ムーサーはそれぞれの支族から長を出させ、命じられたことを守るための責任者とした。カナンの地に近づくと、ムーサーは首長を遣わして、周囲を調べさせた。すると彼らは巨大な体をもった生き物を目にした。また、彼らは強く、武器を持っていた。恐れをなした首長たちは民の許に戻り、ムーサーに口止めされていたにもかかわらず、見てきたことを彼らに告げた。約束を守った首長は2人だけであった。

だが、彼らの誓約の破棄のゆえにわれらは彼らを呪い、彼らの心を頑なにした。彼らは言葉をその場所から移し変え、そこで訓戒されたものの一部を忘れた。おまえは彼らのうちわずかな者を除き、彼らの裏切りを目にし続けるのである。それゆえ彼らを許し、見逃せ。まことに、アッラーは善をなす者を愛し給う。(5:13)

至高なる御方は仰せられた。

『だが、彼らの誓約の破棄のゆえに』 『・・・のゆえに( bi-mā)』の「の( mā)」は虚字。

『われらは彼らを呪い』 われらの慈悲から彼らを遠ざけ。

『彼らの心を頑なにした』 信仰を受け入れる柔軟さをなくした。

『言葉を』 律法の書の中のムハンマドの記述その他の。

『その場所から移し変え』 アッラーが置き給うた場所から。つまり、書き換えた。

『そこで』 律法の書の中で。

『訓戒されたものの』 命令されたものの。ムハンマドへの服従の。

『一部を』 部分を。

『忘れた』 退けた。

『おまえは』 預言者に向けた言葉。

『彼らのうち』 約束を破ったことその他によって。

『わずかな者を除き』 イスラームを受け入れた(わずかな者を除き)。

『彼らの裏切りを』 不実を。

『目にし続けるのである』 知り続ける。

『それゆえ彼らを許し、見逃せ。まことに、アッラーは善をなす者を愛し給う』 これは「剣の節」(第9章[悔悟]5節)の啓示によって破棄された。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院