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【第6章 家畜】
(6:36〜6:52)
 

聞く者だけが応えるのである。そして、死者はアッラーが甦らせ、それから彼の御許に帰らされる。(6:36)

『聞く者だけが』 聞く、とは理解し、考えることである。

『応えるのである』 おまえの信仰への呼びかけに。

『死者は』 つまり、不信仰者は。彼らは聞くことができない点において死者に似ている。

死者を復活させることができる御方には、不信仰者の心を信仰によって甦らせることもでき給う。

『アッラーが甦らせ』 来世で。

『それから彼の御許に帰らされる』 戻され、行いに応じて報いを受ける。

彼らは言う、「どうして彼には彼の主から印が下されなかったのか」。言え、「まことにアッラーは印を下すことができ給う。だが、彼らの大半は知らないのである」。(6:37)

『彼らは言う』 マッカの不信仰者は。

『どうして・・・なかったのか』 『どうして・・・なかったのか(law lā)』は「・・・なかったのか(hallā)」の意。

『彼の主から印が下され・・・』 例えば、ラクダや、杖や、食卓のような。

『言え』 彼らに。

『印を』 彼らが要求するような。

『下すことが』 『下す』は派生形第2形で第2語根に促音を伴う読誦法(「an yunazzila」)と、第4形で促音なしの読誦法(「an yunzila」)がある。

『彼らの大半は知らないのである』 それが下されることが彼らへの災難であることを。というのも、それを否定すれば彼らの破滅が必定となるからである。

地上のどんな動物も、双翼で飛ぶ鳥も、おまえたちのように共同体でないものはない。われらは書の中でなにものも疎かにはしなかった。そして、彼らの主の御許に彼らは集められるのである。(6:38)

『地上の』 (地上を)歩く。

『どんな動物も』 『どんな(min)』は虚字。

『飛ぶ鳥も』 空中を。

『おまえたちのように共同体でないものはない』 その天性、糧、状態の統制において。

それらはそれらの主を知っており、彼に唯一の崇拝を捧げ、彼を称え、彼に祈りを捧げている。ちょうど、おまえたちが彼を知り、彼に唯一の崇拝を捧げ、彼を称え、彼に祈りを捧げているように。また、彼らは互いを理解し、互いに親しみ合っている。ちょうど、人類も互いに親しみ合い、理解し合っているように。また、彼らの雄は雌を知覚する。そして、彼らは死後、清算のために甦らされる。

『書の中で』 護持された板(アル=ラウフ アル=マフフーズ)の中で。

「護持された板」とは、イブン・アッバースによると、シャイターンから、また改変から守られた天板で、その長さは天と地ほどあり、広さは東と西ほどあり、白い真珠からなり、第7天の上に浮かんでいる。
『書』については、「護持された板」だとする説のほか、クルアーンのことであるとの説もある。クルアーンには明示にしろ暗示にしろ、地のことも海のこともすべて留められている、という意味と考える者もあれば、人間に必要なことはすべて書かれてある、という意味と考える者もある。

『なにものも』 『・・・ものも( min)』は虚字。書かなかったものはない。

『疎かにはしなかった』 怠らなかった。

『彼らの主の御許に彼らは集められるのである』 アッラーはそれぞれの間を裁き、角のない動物に(生前、彼を角で小突いた)角のある動物への同害報復をさせ給い、それから彼らに対して、「土となれ」と仰せられるのである。

われらの印を嘘だと否定する者は、暗闇の中で耳が聞こえず、口がきけない。アッラーは御望みの者を迷わせ、御望みの者を真っすぐな道につかせ給う。(6:39)

『われらの印を』 クルアーンを。

『暗闇の中で』 不信仰の中で。

『耳が聞こえず』 聴従の意味で、聞くことができず。

『口がきけない』 真理を口にすることができない。

『御望みの者を迷わせ』 迷わせることを(御望みの者を)。

『御望みの者を真っすぐな道につかせ給う』 導きを(御望みの者を)。

『真っすぐな』 イスラームの宗教の。

『道』 道路。

言え、「言ってみよ。もしおまえたちにアッラーの懲罰が襲うか、おまえたちに時が来たなら、アッラー以外のものにおまえたちは祈るのか。もし、おまえたちが正しいなら」。(6:40)

『言え』 ムハンマドよ、マッカの住民に。

『言ってみよ』 私に告げよ。

『もしおまえたちにアッラーの懲罰が襲うか』 現世で。

『おまえたちに時が来たなら』 復活の日が。どちらも突然に。

『アッラー以外のものにおまえたちは祈るのか』 そんなことはない。

『もし、おまえたちが正しいなら』 偶像がおまえたちの役に立つということにおいて。それならばそれらに祈ってみせよ。

「いや、彼にこそおまえたちは祈る。すると、彼は、御望みならば、おまえたちがそのために祈っているものを取り除き給う。そして、おまえたちはおまえたちが同位に拝していたものを忘れる」。(6:41)

『いや、彼にこそ・・・』 (アッラーの)ほかのものではなく。

『おまえたちは祈る』 苦難の時に。

『御望みならば』 それを取り除くことを。

『おまえたちがそのために祈っているものを取り除き給う』 取り除き給えと祈っている害などを。

『おまえたちが同位に拝していたものを』 偶像で、アッラーと並べていたもの。(それを忘れ、)おまえたちはそれには祈らない。

『忘れる』 見捨てる。

われらはおまえ以前にも共同体に遣わし、彼らを不幸と災厄で捕えた。きっと彼らは謙るであろうと。(6:42)

『おまえ以前にも』 『おまえ以前にも(min qabli-ka)』の「min」は虚字。

『遣わし』 使徒たちを。だが、彼らは使徒たちを嘘と否定した。

『不幸と』 極度の貧困と。

『災厄で』 病気で。

『きっと彼らは謙るであろうと』 謙虚になって、信じるであろうと。

彼らにわれらの災厄が襲った時、それなのにどうして彼らは謙らなかったのか。だが、彼らの心は頑なになり、シャイターンが彼らに彼らのなすことを美しく飾った。(6:43)

『彼らにわれらの災厄が襲った時』 われらの懲罰が。

『それなのにどうして・・・なかったのか』 『それなのにどうして・・・なかったのか(fa-law lā)』は、「fa-hallā(それなのに・・・なかったのか)」の意。

『彼らは謙らなかった・・・』 つまり、定められたもの(苦難)が起こったにもかかわらず、彼らはそうしなかった。

『彼らの心は頑なになり』 信仰になびかなかった。

『シャイターンが彼らに彼らのなすことを美しく飾った』 反逆行為を。そして、彼らはそれに留まった。

それによって訓戒されたことを彼らが忘れた時、われらは彼らの上にすべての扉を開き、与えられたものに彼らが歓喜していた時、われらは彼らを不意に捕え、すると彼らは絶望した。(6:44)

『それによって』 不幸や災難によって。

『訓戒されたことを』 忠告され、脅かされたことを。

『彼らが忘れた時』 怠った時。だが、彼らは忠告を受け入れなかった。

『彼らの上にすべての扉を』 恵みの。彼らを欺くために。

『開き』 『開き』は、動詞原形で第2語根を(「fatahnā」と)促音なしで読む読誦法と、派生形第2形で(「fattahnā」と)促音を伴って読む読誦法がある。

『彼らが歓喜していた時』 驕慢に。

『われらは彼らを・・・捕え』 懲罰で。

『不意に』 突然。

『すると彼らは絶望した』 すべての良いことに望みを失った。

不正をなした民の根は絶やされた。そして、称賛は諸世界の主アッラーに属す。(6:45)

『不正をなした民の根は絶やされた』 彼らの最後の者も。根絶されることによって。

『称賛は』 使徒の勝利と不信仰者の破滅に関する。

言え、「言ってみよ。もしアッラーがおまえたちの聴覚と視覚を取り上げ、おまえたちの心を封じ給うたら、アッラー以外のどの神がそれをおまえたちにもたらすか」。見よ、いかにわれらが数々の印を解明するか。だが、彼らは背き去るのであった。(6:46)

『言え』 マッカの住民に。

『言ってみよ』 私に告げよ。

『おまえたちの聴覚・・・を取り上げ』 おまえたちを聾にし。

『・・・と視覚を取り上げ』 おまえたちを盲目にし。

『おまえたちの心を封じ給うたら』 封をなし給うたら。それでなにもわからなくなったら。

『アッラー以外のどの神が』 おまえたちの主張によれば。

『それをおまえたちにもたらすか』 彼(アッラーが)おまえたちから取り上げ給うたものを。

『数々の印を』 われらの唯一性を証しする証拠を。

『解明するか』 明示するか。

『彼らは背き去るのであった』 背を向け、信じないのであった。

言え、「言ってみよ。もしおまえたちにアッラーの懲罰が不意に、あるいは公然と襲ったとしても、不正な民のほかに滅ぼされるものがあろうか」。(6:47)

『言え』 彼らに。

『不意に、あるいは公然と』 夜に、または昼間に。

アル=カーディー(アル=バイダーウィー)によれば、『不意に』とは、前触れなしに突然襲う懲罰のことで、『公然と』とは、前触れを伴った懲罰のことである。

『不正な民のほかに』 不信仰者のほかに。滅ぼされるのは彼らだけである。

われらが使徒を遣わしたのは、吉報伝達者として、また、警告者としてにほかならない。それゆえ、信じ、正した者には恐れはなく、彼らは悲しむことはない。(6:48)

『吉報伝達者として』 信仰者への楽園の。

『警告者として』 不信仰者への獄火の。

『信じ』 彼ら(使徒たち)を。

『正した者には』 行いを。

『恐れはなく、彼らは悲しむことはない』 来世において。

一方、われらの印を嘘だと否定した者たちは、彼らが違背したことゆえに懲罰が襲う。(6:49)

『違背したことゆえに』 服従から外れたことゆえに。

言え、「私はおまえたちに、私の許にアッラーの宝庫があるなどとは言わない。また、見えないものを知らないし、私は天使である、などともおまえたちに言わない。私はただ私に啓示されたものに従っているだけである」。言え、「目の見えない者と見える者とが同じであろうか。おまえたちは考えてみないのか」。(6:50)

『言え』 彼らに。

『アッラーの宝庫が』 アッラーがそこから糧を与え給う宝庫が。

『見えないものを』 私から隠れたもので、アッラーが私に啓示し給うたものでなければ。

『知らないし』 私は知らないし。 

『私は天使である』 天使たちのひとりである。

『私はただ私に啓示されたものに従っているだけである』 『・・・だけである(in)』は否定詞「mā」の意(・・・にすぎないのである)。

『目の見えない者』 不信仰者。

『見える者』 信仰者。(不信仰者と信仰者とは)同じではない。

『おまえたちは考えてみないのか』 そのことを。そして、信じないのか。

彼らの主の御許に集められることを恐れる者たちにそれによって警告せよ。彼らには、彼をおいて援護者も仲裁者もいない。きっと彼らは畏れ身を守るであろう。(6:51)

『それによって』 クルアーンによって。

『・・・警告せよ』 脅かせ。

『彼をおいて』 彼のほかに。

『援護者も』 彼らを助ける。

『仲裁者も』 彼らのために執り成しをする。
否定節『彼らには、彼をおいて援護者も仲裁者もいない』は、『集められる(yuhsharuw)』の男性複数の人称代名詞(w)の状態の副詞的修飾句を表す。それが恐怖の所以である。『彼ら』の意味するところは反逆行為をなす信仰者である。

『きっと彼らは畏れ身を守るであろう』 アッラーを恐れ、彼らが今ある状態から離れ、服従行為をなすであろう。

彼らの主にその御顔を求めて朝に夕に祈る者たちを追い払ってはならない。彼らの清算はわずかにもおまえには課されず、おまえの清算はわずかにも彼らには課されない。それゆえおまえは彼らを追い払うことはない。さもなければ、おまえは不正な者のひとりとなったであろう。(6:52)

『その御顔を』 至高なる御方の御顔を。

『求めて』 彼らの崇拝行為によって。彼らは貧しいが、現世の目的などなにも求めず。

多神教徒たちは彼らを中傷し、彼らを追い払って、自分たちが預言者の側に座ろうとし、預言者は彼らの入信を願って、彼らの言う通りにしようとされた。

アル=ハーズィンによると、心がイスラームに傾いていたアル=アクラウ・ブン・アル=タイミー、ウトゥバ・ブン・ヒスン・アル=ファザーリー、アッバース・ブン・マルダースがやって来て、預言者がアンマール・ブン・ヤースィル、スハイブ、ビラールなど信仰ある弱者たちと共に座っておられるのを見つけた。預言者の周りに彼らがいるのを見て、彼らを見下し、言った、「アッラーの御使いよ、座の真中に座り、それらの者とその外衣の匂いをあなたから遠ざけたらどうか—彼らは羊毛の外衣を着ていたが、それしか着るものがなく、常に着ているために嫌な匂いがしていたのである— 。そうしたらわれらはあなたと共に座り、あなたの話を聞こう」。すると、預言者は、「私は信仰者を追い払いはしない」と言われた。そこで彼らは言った、「われらは、あなたがわれらのために座を設けることを望む。そうすればベドウィンはそれによってわれらの特別待遇を知るだろう。われらは、ベドウィンの代表団があなたの許にやって来て、われらがこれらの者と一緒にいるのを見られることを恥じる。われらがあなたの許に来た時には彼らはわれらから立ち去り、われらの用件が済んだら、好きなだけ彼らと一緒にいるがいい」。預言者は、「わかった」と言われた。彼らは言った、「それをわれらに文書で書き記せ」。そこで、紙を持って来させ、アリーを呼んで書かせようとされた。すると、ジブリールがこの節と共に下った。そこでアッラーの御使いは紙を放り、われらを呼び、言われた、「あなたがたに平安あれ。あなたがたの主は御自身に慈悲を書き留め給うた」。そこで、われらは彼と共に座り、彼は立とうと欲し、立たれ、われらを後にした。すると、アッラーは『朝に夕に彼らの主の御顔を求めて彼に祈る者たちと共におまえ自身を引きとめよ』(第18章[洞窟]28節)を下し給うた。そこでその後は、彼はわれらと共に座られ、われらはわれらの膝が彼の膝と触れるほどまで彼に近づいた。それから彼が立ち去ることを望まれる時間が来ると、われらが立って、彼を後にした。

『彼らの清算はわずかにもおまえには課されず』 『わずかにも(min shayin)』の「に(min)」は虚字。たとえ彼らの内心が満足していなくとも。

多神教徒たちは貧しい信仰者について中傷し、彼らがおまえと共にいるのは飲食など現世のものが欲しいからだ、と言った。

『それゆえおまえは彼らを追い払うことはない』 否定節(「彼らの清算はわずかにもおまえには課されず、おまえの清算はわずかにも彼らには課されない」)の帰結節である。

『さもなければ、おまえは不正な者のひとりとなったであろう』 もしおまえがそのようなことをすれば。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版



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2006年 アラブ イスラーム学院