アラブ文明の中の図書館
 

 

図書館の重要性

有史以来、情報というものは人間の生活において大きな価値と重要性を持ってきました。現代においてその価値と重要性はますます大きくなり、情報はいまや、個人やさまざまな立場の責任者が物事を決定する際、主要な役割を持つものとなりました。情報は経済、行政、軍事など各方面の発展のために不可欠な要因であり、とりわけ現代においては、情報を有する者こそ勝者になることができる、と言われるほどです。そのため、ほとんどの先進諸国、および一部の発展途上諸国は、情報技術関連の組織や省庁の設立に熱心に取り組み、またそのために巨額の費用を投じてきました。

当然のことながら、情報というものにはそれを管理し、組織化し、必要とするすべての人に提供する専門家や専門機関が存在します。では、そのような仕事をする組織や機関はどのようなところでしょうか。

その呼称はさまざまだとしても、その仕事を担うのは図書館や情報センターです。それでは、図書館とはそもそも何でしょうか。また図書館員とはどういう人たちでしょうか。私たちは図書館情報組織の職業や専門についてどのくらい知っているでしょうか。

 図書館の歴史は、人類の文明の重要かつ輝かしい一角を形成してきました。その歴史は古代文明の昔に遡り、図書館はかつてもそうであったように今尚、人類の文化遺産を保存し、多様な民族や後世の人々にそれを伝承する情報センターであり続けています。図書館は知識の光を世に広く送り出すセンターであり、学者や知識を求める人々が研究や勉強のために足を運ぶ場所でもあります。かつて高度な発展を遂げたどんな文明にも、図書館の普及やその役割、そして学者たちのそこでの研究が大きく影響していることは、歴史が証明しているところです。そして、後進的な社会には、その蔭に無知の蔓延があり、人々が学門や教育や図書館利用から遠ざかっているという現実があります。ですから図書館が時代の趨勢を鑑みないでいることは、学術研究や各方面での国家成長─たとえば社会的、経済的、政治的側面─における後進につながっていくのです。

 暗黒時代とも呼ばれている中世のヨーロッパ文明を例に挙げてみましょう。周知の通り、圧倒的な教会支配のせいで、当時のヨーロッパ世界には無知が蔓延し、学問が大変遅れていました。教会はキリスト教の分野以外の読み書きを禁止し、教会の教えに違反した場合には、時には死罪が待ち受けていたほどでした。そのため、図書館はその種類と共に縮小されて役割も弱体化し、書物や著作も後退していきました。その結果、ヨーロッパは暗黒と後進の時代を生きることになったのです。

 一方、同時代のイスラーム文明はその繁栄の頂点を迎えました。イスラームが到来すると、その教えは人々に教育を命じ、知識を求めるよう説いたからです。そしてイスラーム文明ではその時代にさまざまな種類の図書館─たとえば公共図書館、国家図書館、学術図書館、私立図書館など─があらゆる地域に広く普及しました。また司書は当時、最高位の職業の1つであり、司書の任命は宰相や首長が直接行っていたほどでした。

 昨今、図書館や図書館員や図書館情報の専門分野について古く間違った見方をする人々や、知らない人々も見受けられます。そのためこの回を通して、図書館情報という専門分野や専門家、組織を取り上げることにしました。次回からは、サウジアラビア王国における図書館情報分野の活動についてもお話していこうと思います。

執筆:アブドゥルワッハーブ・アッダンマーク

アラブ イスラーム学院図書館長

 

 

 

 

 


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