
序
私たちが祖先から受け継いできたアラブの土地には、数多くの風習や伝統があります。その中には素晴らしいものもあれば、風変わりなものもあり、またイスラームの教えに沿ったものもあれば、時にはイスラームに反したものもあります。しかし、そのような伝統習慣の多くを知らない人々もいますし、自分の国の習慣しか知らない人々もいます。ですからこの13回シリーズの小旅行を通して、アラブの代表的な風習を巡ってみようと思います。アラブの伝統習慣はとてもたくさんあり、この限られたシリーズの中でお話ししきれるようなものではないということはわかっていますが、中でも最も際立ったものにスポットを当て、できるだけまとめてお話してみようと思います。それでは早速最初の旅を始めましょう。
サウジと湾岸諸国の結婚
第1回目は湾岸諸国における結婚の伝統習慣とシステムをご紹介しましょう。結婚の習慣にも社会環境によって多少の差異があります。サウジや湾岸諸国では花婿の親族が花嫁探しをするのが普通ですが、時には花婿が自分で花嫁を探すこともあります。もし親戚を通して花嫁候補が見つからなかった場合には、「ハーティバ」と呼ばれる仲人役の女性に花嫁探しを委ねます。ハーティバは花嫁候補の娘さんを見つけてくると青年の家族に知らせます。そして彼らの同意を取り付けると今度は娘さんの家族のところへ行ってそれを知らせます。それで両者が納得すれば、青年はイスラーム法に則ったお見合いの方法で娘さんに会いに行くのです。
その後、双方の家族が面会する日取りを決めます。その日、青年は後見人に正式に娘さんとの結婚を申し込みます。そして具体的な条件面での話し合いと合意が行われます。たとえば花婿側の責任であるマハル(婚資)や新居についてです。そして花嫁の家で祝宴が開かれ、そこで花婿の経済力に応じたマハルとシャブカ(金やダイヤモンドなどの貴金属セットの贈り物)が花嫁に贈られて、婚約成立(ミルカ)が宣言されます。それから結婚契約が交わされると、花嫁は結婚式のパーティーのための準備を始めます。
結婚式のパーティーが「ヘンナ(*アラブの天然の染め粉)の夜」の前に開かれる国々もあるようです。「ヘンナの夜」とは、ヘンナの専門家の女性が花嫁の両手両足にヘンナで模様を施す夜のことです。祝宴は公共の大広間やホテルで行われます。男性のパーティーと女性のパーティーとに分かれ、男性のパーティーは単にお祝いの挨拶のために集まるのですが、女性のパーティーではお祝いの合間に歌や踊りが披露されます。
執筆:ヌーラ・ビント・ムハンマド・アルジール
テンプル大学大学院修士課程
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