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「日本とイスラーム(サウジアラビア)の文化対話」シンポジウム一日目のプログラム終了後、今回のシンポジウムで基調講演と「諸宗教と文明との対話」議長をお務めになった東京大学名誉教授 板垣雄三先生からお話をうかがいました。
Q:シンポジウム一日目が終了しましたが、今回のシンポジウムについてどのようなご感想を持たれましたか?
2000年に河野外務大臣(当時)によって外務省の中にイスラム研究会が結成され、私も参加することになりました。その研究会は大臣、局長たちが揃って毎月一回行われ、同年12月に報告書をまとめました。その後、研究会の成果を実施に移すため、河野外務大臣がカタールのドーハで「河野イニシアチブ」を発表しました。そこで日本は、文明間対話(イスラームと日本)を今後積極的に進めていくということを国際的に表明したわけです。そのときの湾岸諸国訪問に私も同行しており、サウジアラビアにも行きました。
その頃、パレスティナでは第二次インティファーダが起こり危機的な状況に陥っていましたが、国際的にきちんとした対応がとられないまま放置されていました。当時そのことについて愁う人々は世界中にいたと思うのですが、私自身、後に9.11事件として現われることになりますが、いつかそういう深刻な事態が発生することになるのではないかと危惧しておりました。そうなる前にもっと日本とイスラーム世界との間の相互理解というものを根本的に進めていくような仕組みを作りたいと考えていたのです。しかしそういった仕組みがうまく機能しないうちに9.11事件が起きてしまったのです。
そういう中で、日本とイスラームとの文明間対話は続いてはいるものの、その取り組み方はまだまだ緩やかであり、現在もなお9.11事件に絡んだテロ事件が世界を蝕んでいる状態です。しかし、様々なトラックで新たな文明間対話が生まれつつあるのも事実です。これまでは国や政府が主体となって動いてきましたが、例えば今回のシンポジウムなどは、サウジアラビアのイマーム大学と東京のアラブ イスラーム学院という学問機関が主体となって行われています。先ほどの河野イニシアチブに基づく文明間対話は日本外務省とバハレーン外務省が進める政府レベルの動きであり、そしてもちろん、そういった政府レベルの対話が大変重要であることは疑いようもないのですが、しかし知識人同士のネットワークを促進するという面においては今回のシンポジウムのような活動が不可欠になります。
このような活動はこれまで政府間で進められてきた文明間対話を一段階新しい次元へと引き上げる、あるいは本来あるべき文明間対話へと近づける動きであると思います。つまり、本来あるべき文明間対話とは、知識人、研究者、異文化に関心を持っている人々、異なる言語を学んでいる人々の手によって進められるものであり、今回のシンポジウムは日本・イスラーム間における文明間対話をそういう方向へと導くものであると思います。(5月29日(土)シンポジウム1日目 終了後のインタビューにて)
更に板垣先生は、シンポジウム2日目の最後のセッションの質疑応答にて、以下のように述べられています。
「今回のシンポジウムは大変画期的なものです。日本とアラブ・イスラーム世界との間ではこれまでにも様々な対話がなされてきましたが、それは政府間レベル、あるいは国際機関によるものがほとんどでした。今回のシンポジウムでは、知識そのもの、あるいは思想そのものについて、意識的に知識人同士の交流がなされています。このような対話が宗教間対話という次元を超えた、本質的な対話になったことを高く評価したいと思います。このような文明間対話が今後一層促進されることを望みます」
インタビュアー:佐野光子
アラブ イスラーム学院HP取材担当 |
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