イスラーム世界の文化と美術
 

【イスラム模様】


浮彫装飾パネル ザクロ文ビロード カーネーション文ビロード
浮彫装飾パネル(スペイン, 953-957年)大理石、浮彫り、マディーナト・アッ・ザハラー宮殿内のサロン・リコ(豪華な広間の意)の大理石浮彫装飾パネル ザクロ文ビロード(イタリア, 15世紀)絹、金糸、長さ298cm カーネーション文ビロード(トルコ, 16世紀)絹、金糸、長さ134cm



偶像崇拝の禁止:
偶像崇拝を禁止するイスラム教の教えは、宗教的用途のみに留まっていません。 神が唯一の創造主であり、人物や動物を表現することは、神に対する不遜な行為 とされています。他文化圏に隣接するイスラム国では、偶像崇拝はより厳格にな り文芸作品の挿絵や装飾においてすら人物・動物像は見当たらない時代もありま す。しかし現実には、宗教的用途に関っていない物・他宗教の装飾品などには、 様々な表現で人物・動物像が描かれています。また、預言者を描写する必要があ る時には、預言者の顔にはベールが掛けられています。

幾何学模様:
偶像崇拝の禁止は、イスラムの模様に大きな収穫をもたらしています。それが幾 何学模様です。シンボルを持たないイスラム教徒たちは、神への畏敬の念を表す 方法として、様々な美しい模様を作り出しています。彼らの優れた数学等の知識 を生かし、作り出された幾何学模様は、ただ単に無機質に繰り返されるだけでな く、多角形の組み合わせで太陽系を表現しているもの等もあります。

植物模様:
植物を愛でる心は万国共通です。乾燥した国々が多いイスラム諸国に対し、日本 人にとって植物が生い茂るイメージは希薄です。しかし、植物図鑑をみると中近 東原産の植物が多数あることに驚かされます。その中で好まれて描かれているの は、カーネーション、バラ、チューリップ、ざくろ、ヒヤシンス等です。

蔓草模様:
イスラムの模様の代表と言えば蔓草模様の「アラベスク」です。アラベスクはフ ランス語で“アラビア風”を意味し、クラシックバレエのポーズの名前にもなっ ています。片足でつま先立ち、一方の足と両腕を同時に伸ばすそのポーズは、無 限なるものへの憧れを示す、最も美しいポーズの一つです。

代表的な蔓草模様:
イスリーミー文(ルーミー文): 基本的な蔓草模様
ハターイー文 : 中国美術から由来の牡丹や芍薬の大きな花と蔓草模様
アブルー文  : これも中国美術から由来の「霊雲芝」の図案を応用した雲模様
ニールー文  : 仏教美術に尊ばれる蓮をイスラム化した模様
ファランギー文: ヨーロッパの絨毯などに見られる複雑な花模様
ワーク    : 蔓草の先端に動物や人間の頭部が組み合わされた図案。その名の由来はイスラム世界に広く知られていた伝説の島ワークワーク島に生えるワークワークの木【人間のなる木】から来ていると考えられています

筆者:渡辺 美代
アラブ イスラーム学院 学生

                

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