アラブ青年の日記
 

【どうして「どうして」と言うのだろう?】
 

日本でとても残念に思うことの一つは、久しぶりに日本人の友達に電話をした時、 「どうしたの!?」と言われることです。毎回ショックが大きいせいか、「私に電話 をするな」と言われているように聞こえてしまいます。そんな時、「理由は特にない ですよ。ただあなたの声を聞きたかっただけ!」と冷静に返事をします。

サウディアラビアの場合、何の理由もなく友達に電話して、長い時間話すのが当然で あり、電話は人間と人間を結ぶ大事なツールなのです。砂漠の中に住んでいた方々に とっては、コミュニケーションが欠かせないエンターテイメントであったにちがいあ りません。そして今現在でもアラブ人にはその遺伝子がちゃんと引き継がれていると 思います。

もちろん、両国の間には文化的な共通点もありますが、ライフスタイルの違いによっ て、そのような出来事が起こるのは決して不思議なことではありません。日本で毎日 時間に追われていて、電車やバスのような交通手段の中にいると、長い時間どころか 電話に出ることさえ許されないこともあります。

サウディアラビアやアラブ諸国の場合、打ち合わせの中にいても、電話に出るのが義 務であり、出ないことが失礼に当たると考えている人は少なくありません。個人的に 賛成できない部分があって、私は忙しければ電話がかかってきても出ないので、日本 に来たばかりのエジプト人の友達に凄く怒られた時期もありました。私に言わせれば 「郷に入っては郷に従え」ということだったのですが・・・。

2002年に行われたテレビ会議に参加された日本人の学生代表の皆さんと一緒にサウ ディ訪問をすることになり、世界的に有名な投資家としてよく知られているアルワ リード王子にお目にかかることができました。王子がスピーチを行う最中に、携帯電 話の音がして、そして何と在サウディ日本大使館の日本人スタッフが電話に出て普通 に話していました。私と日本人学生の皆さんを除けば、誰も不思議に思っていなかっ たようです。もしかすると、ノーベル賞をとられた田中さんがサウディアラビアで記 者会見の途中に電話に出ても誰もびっくりしないのかも知れません。

料理や服装はもちろん、電話や最新技術の使い方にも文化的な違いがあり、我々の文 化で当たり前なことが、他の文化から来られた人たちを傷つけてしまうこともありま す。しかし、文化交流と相互理解を深めることで、そのような出来事がおきても、傷 つくことも疲れることもなくなっていくでしょう。

執筆:ブカーリ イサム
早稲田大学 大学院理工学研究科
アラブ・イスラーム学院文化・広報担当

 

 

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