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フェニキア人の活躍
古代世界で地中海、さらに大西洋、インド洋まで海上交易で活躍した世界最古の
海洋民族として知られているフェニキア人は、今のレバノンの海岸平野に拡がっ
たカナン人のことである。
この地方はレバノン山脈が海に迫っていて耕地が狭いため、レバノンの山地に
茂っていた良材の糸杉から造った帆船で、この良材を輸出し、香料、家畜、武
器、各種の金属、果物などを貿易した。また神殿用の巨大な石材をエジプトのは
るか南のアスワンからも輸入している。このレバノンの糸杉は、国の象徴として
レバノン国旗の中に使われている。
フェニキアは、その海岸に迫る山脈に遮られ、異民族の支配の時期を除いては決
して統一されることはなかったが、紀元前2000年頃から今のレバノンの地中
海岸のトリポリ、ビブロス、シドン、チレなどを根拠地として、スペイン南部の
ガーデル、キプロス、マルタ、マルセーユ等に貿易中継地を築き、その最大の植
民地カルタゴを建設したのは、紀元前800年頃といわれている。
このカルタゴは、一時ローマをしのぐ強大な国家となり、名将ハンニバルはさん
ざんローマを悩ませたが前後3次にわたるポエニ戦争に破れてからは、カルタゴ
の名は歴史の舞台から消えてしまった。
フェニキア人はまた、北極星を航海に役立てることから始め、星座を利用して夜
間でも針路を定めることのできた最初の民族といわれている。彼らの船は、帆柱
をもち、相当の積荷可能であった。ベイルート博物館には、当時のフェニキアの
船の形を浮彫にした石棺が保管されている。
しかし、フェニキア民族が人類文明に残した最大の贈物は、世界最古のアルファ
ベットである。この文字の由来についてはあとで紹介したい。
筆者:阿部政雄
転載:「アラブ案内」グラフ社(1980年発行)
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