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伝統工芸の織物
アラブ諸国の織物は、伝統的で繊細華麗なアラベスク模様や、色彩豊かな民芸
風の素朴なデザインなど、魅力あるものが多い。
とくに、じゅうたんは、敷物、観賞用の壁掛、お祈り用の敷物にもなり、家具
がない遊牧民のテントの日常生活に必要な袋、座ぶとん、毛布がわりに使われ
る。
チュニジアのカイルワンのじゅうたんもこうした伝統的なじゅうたん織りで名
高く、織女たちは、そのデザインを、カイルワン第二の回教寺院シディ・サヘブ
の壁に張りつめられた見事なタイルのアラベスク文様から学びとっているとのこ
とだった。だから織女たちは、最初に織られたじゅうたんをこのモスクに供えに
来る。
装飾織物で名高いチュニジアのガフサは、らくだと人、花嫁などの伝統的な
テーマを好むが、1メートル四方の壁掛をつくるのに精巧なものは1ヶ月以上か
かるものも珍しくない。
モロッコの首都ラバトのウダイヤ城址にあるじゅうたん工場でも愛くるしいベ
ルベルの少女が、下絵も見ずに色彩鮮やかな文様を黙々と織っていた。徒弟制度
の中でこうした技術を習得していく彼女たちを見ていると、今さらながら伝統芸
術のもつ重みを痛感させられた。
エジプトのハラネーヤの子供たちのつづれ織りは、子供のもつ豊かな創造力を
自由に発揮させた素晴らしい作品で、国際的にも注目を集めている。
筆者:阿部政雄
転載:「アラブ案内」グラフ社(1980年発行)
(2007年6月12日更新)
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