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マグレブ諸国
アラブの旅の魅力は、この地域が歴史の宝庫であることだ。アラブの多くの地
域はいわば歴史の博物館であり、ここを訪れるとき、まるで歴史の上を歩いてい
るような感慨にひたることがある。
今では、航空機の発達によって世界旅行がかなり大衆化し、かつてヨーロッパ
の貴族や富豪たちの夏や冬のリゾートであったアラブの観光地にも手軽に行ける
ようになった。ヨーロッパに行く途中にでももっと多くの日本人がアラブを訪れ
ることをすすめたい。
北アフリカのチュニジア、アルジェリア、モロッコ(それに時にはリビアも)
は、アラビア語で「日の沈むところ」を意味するマグレブ地方と呼ばれている。
この地域には、繊細華麗で独自のイスラム文明がいたるところに残っている。
チュニジアは古いカルタゴ文明という歴史をもち、第二次大戦後に生れた若い
共和国として新旧のコントラストに富む魅力ある国である。首都チュニスには、
カルタゴ、ローマ、ビザンチンの時代の美術品を陳列しているバルドゥ博物館、
アラブ的雰囲気の残る旧市街、近代的なブルギバ大通りなどがある。
カイルワンは北アフリカ随一のイスラムの聖地。南チュニジアの入口にある美
しい都市スース、海岸の美しいジェルバ島。さらになつめ椰子2、30万本に囲
まれた南部のオアシスの町、ネフタやトジュールには瀟洒なホテルもある。
モロッコは、美しい風光と歴史的遺跡に恵まれた世界有数の観光国である。ラ
バトには、先王モハメッド5世の霊廟、ハサンの塔、じゅうたん工房やアンダル
シア風の庭園のあるメディナ(旧市街)などがある。
フェズは京都をしのばせる歴史の都。そのメディナには、千年近い伝統をもつ
工芸品の町が集まり、アラブ諸国の中でも最も中世アラブの面影を残している。
「赤壁の町」とも呼ばれる南の都市、マラケシュには赤い城門がつづく。
とくにそのジャマエルフナの広場には、アクロバット、軽演劇、講釈師、辻音
楽師など様々な芸人がその芸を披露し、活気を呈しているし、毎年5月には国内
各地の民俗舞踊を競う民俗芸術の祭典も行われる。
その他モロッコには、近代商業都市カサブランカ、エキゾチックな自由貿易港
タンジールや歴史的都市メクネス、ムーレイ・イドリスなどがある。
チュニジアやモロッコは観光王国にふさわしく、ホテルや航空会社のサービス
はゆきとどいている。
アルジェリアには、カスバで名高く、地中海を俯瞰する近代都市アルジェのほ
か、西の都オラン、東の中心地コンスタンチーヌ、歴史的都市トレムセンなど観
光名所があるが、サハラのタッシリ・ナジェール、オアシスの町ガルダイアも見
逃すことのできぬ魅力をもっている。
若い革新的なイスラム共和国のリビアにもレプティス・マグナ、サブラータ、
キレーネなど壮大な歴史的遺跡が多く、観光を振興させるためのホテルの建設に
も本腰を入れている。
筆者:阿部政雄
転載:「アラブ案内」グラフ社(1980年発行)
(2007年11月13日更新)
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