|
映画と演劇
総合芸術としての映画や演劇は、銀幕や舞台の上で繰広げられる登場人物の喜
怒哀楽を観客に直接にぶつけてくる。かつてアラブの映画と言えば、「モロッコ」
「望郷」「カサブランカ」など、フランスやアメリカの名作がわれわれに深い感
動を与えた。けれど、そこに描かれたアラブは所詮、脇役であり、単なる舞台装
置にすぎなかった。
戦後、数こそ少ないが、われわれはアラブ自身が製作した映画にも接すること
ができるようになった。ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞したイタリア、アル
ジェリア合作映画「アルジェの闘い」、ジュルジュ・サドール新人賞に輝くエジ
プトの劇映画「王家の谷」(原名エル・ムミーア、監督シャーディ・アブデッサ
ラーム)、さらに「アラビアのローレンス」の画面にも匹敵する雄大なマホメッ
トの伝記映画「ザ・メッセージ」(監督M・アッカド)など、それぞれ第三世界
の気迫のこもった映画芸術として高く評価された作品であるが、これらはアラブ
で作られた映画の一部でしかない。
ただここ2、3年の間にカイロ国立バレエ団、「バクダットの光」といわれる
ムニール・バシールのウード演奏、さらにはイラクのファッション・ハウス、イ
ラク国立民族舞踊団などアラブ諸国の本格的な舞台芸術がわが国に紹介されてき
ている。
アラブ大使ら五十名の外交官を招いて音楽交流を意図された古賀政男氏が死去
されたのは残念である。
筆者:阿部政雄
転載:「アラブ案内」グラフ社(1980年発行)
(2008年4月15日更新)
(→バックナンバー)
(→週刊アラブマガジンのトップ) |