イスラーム文化
 

【イスラームと健康】
 

1 肉体の健康への関心

イスラームは肉体に関して、弱体化と病気から守るための決まりごとを作りました。というのも、精神と肉体には強固なつながりがあり、病弱な体の持ち主は人生における様々な機会を、または社会的な役割を良い状態で果すことができないからです。
たとえば病気を患っている者、意志の弱い者、体の弱い者、しっかりした考えを持っていない者、過度に神経質な者から人間社会が得る利益は、健康で強靭な肉体を持つ者から得る利益より少ないのです。

クルアーンのなかでアッラーは健康な精神と揺らぐことのない善い人格とともにある肉体の強さをシュアイブの娘の言葉でムーサーに関して次のように仰りました。(アルカサス章26節)

『彼をお雇いなさいませ。あなたのために雇って一番善いのは、強健で誠実な人物です。』

またタールートに関して次のように仰りました。(アルバカラ章247節)
『アッラーはあなたがたの上に彼を選び、彼の知識と体力を強められた。アッラーは御心に適う者に、王権を授けられる。アッラーは厚施にして全知であられる。』
またハディースにもつぎのように述べられています。

『強い信者は弱い信者より良く、またアッラーに愛される。しかしどちらであれ、信者のもとにはよいものがある。』(ムスリムの伝承)

肉体の健康に関するイスラームでの決まりごとを学べば、イスラームはその信者たちに、近代医学が基本としていることを義務付けているということが分かるでしょう。
それは「予防」と「治療」ということです。

予防に関して言えば、「もっともよい治療とはまず、病気にならないようにすることである」ということです。現代の医学でも、同様のことが言われています。予防医学の成長と発展は特に先進国で研究がすすめられていますし、また、国民にとって必要不可欠のものとされています。そしてこれは―清潔さ、食べ物・飲物、健康一般、運動―という4つの大きな項目に分かれています。


2 清潔さ

(1)ウドゥ―の効果

イスラームでは礼拝をする前にウドゥ―をすることが義務付けられています。(アルマーイダ章6節)そして預言者はクルアーンにのべられていることに加えて、口と鼻をすすぐこと、耳を拭うこと、皮膚をこすること、両手両足の指の間を洗うこと、それぞれ三回あらうことを奨励しました。
1昼夜で5回の礼拝が義務付けられ、すべての礼拝の際、からだが清浄であることが求められますから、ウドゥ―をする度にムスリムは決められた体の部位を清潔にし、それらの部分に付いた汚れ、様々な病気のもととなる細菌を体から落とすことができるのです。口に関して言えば直接そこに菌が入り込むか、手を通じて入るわけですから、うがいをする、または手を洗うことによってそれらのことを防ぐことができるわけです。鼻に関してもそこをすすぐことによって、菌が体内に入ることを未然に防ぐことが可能になるわけです。

(2)全身を洗うことの効果(グスル)

イスラームは男女に性的交渉をもったあと、または夢精のあとには全身を洗うことを義務付けました。(アルマーイダ章6節)
この「全身を洗う」という行為は男性女性ともにとても役に立つ行為です。医学でも、また、実際の行為によっても、人間の体は性的交渉後、活力や力が一部失われるということが立証されました。そしてこの活力と力をもとに戻すのに全身を洗うこと以上によい方法はないといわれています。

(3)歯磨き

イスラームは歯を清潔にすることを奨励しました。
預言者も次のように言っています。
『私のウンマに重荷を課すとするならば、すべての礼拝のたびに歯を磨くことを命じたでしょう』(アルブハーリーとムスリムの伝承)

預言者とサハ―バが使用していたシワークとよばれる小枝に含まれている成分には歯を清潔に保つ成分が含まれています。ちなみに、人々の(ムスリム以外の)間で歯ブラシが使われ始めたのは西暦1800年頃です。

(4)爪と毛を切ること

預言者は余分に生えている毛を剃り、爪を切ることを命じました。
『昔から宗教で決まっている5つのことがあります:生殖器の毛をそること、割礼、口髭を切りそろえること、わきの下の脱毛、爪を切ることです。』

(5)ナジャーサを取り除くこと(汚物)

イスラームは細菌によって汚れたもの、病原菌を伝達する原因を作る汚れたものを不浄としました(血、便、尿、嘔吐したものなど…)。
そのためイスラームではイスティンジャーが義務付けられています。これは用を足したあとにその汚れたあとを水、または石、紙などで清浄にすることです。

また、イスティンジャーは左手によって行われます。なぜなら右手は食事の際に使ったり、人と握手をしたりする時に使うからです。預言者のハディースの中にも、右手で用を足したり、そのあとを拭いたりしてはいけないこと、また、飲食に使う容器の中で呼吸をしないことが述べられています。(ムスリムの伝承より)
また、眠りから目が覚めた時には手を洗うことを命じました。というのもわたしたちは寝ている間に自分の手が何にふれたのかわからないからです。
また、循環しない場水の中で用を足さないことを命じています。


3 運動

(1)礼拝の効果

礼拝はムスリム全員に課された一日五回の宗教的な運動のようなものです。これは、無理なく行うことが出来るだけでなく、肉体を矯正し、腸を活性化させ、体の筋肉と関節によい運動なのです。

礼拝中の動きを思い出してみると、その動きがストレッチ運動によくにていることがわかります。この運動方法の年齢は100年以下ですが、礼拝は1400年以上前から存在しました。礼拝には、胸を広げる動き、背筋を伸ばす動き、股関節の動き、ひざの屈伸、などがあります。また平伏姿勢(サジダの姿勢)は腸、消化器官によい姿勢で、便秘を起こしにくくします。また、胃下垂に効くといわれています。また、背筋も強化します。

無理なく毎日続けられる運動が最良の運動であることはみなさんご存知のことだと思います。また、アルバカラ章286節では無理な運動、身体に過度の負担がかかる運動はする必要がないことが述べられています。

原文:ユースフ アルカルダーウィー氏
翻訳・要約:ファーティマ佐久間
アラブ・イスラーム学院翻訳・文化講座担当

 

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