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前回は個人の諸権利の前半部分について話した。そこでは、人間が回避しなけ
ればならないところの社会の個人間の兄弟愛の喪失にもつながりえる性質につい
て言及していたと思う。そしてそれらの性質として3つのことに言及した。つま
りそれは:不正の回避、嫉妬の回避、蔑視と軽蔑の回避である。そして今回は
―主の思し召しならば―サウジアラビアがそれを実践し、イスラームの教えが注
意するよう呼びかけているところのもう3つの性質について話そうと思う。
4−別離と絶交の禁止:
イスラームの兄弟愛は互いの緊密な関係と慈悲の念、そして頻繁な訪問と愛情
を義務付ける。そして別離や断交などは兄弟愛とは相容れないものであり、それ
ゆえムスリムは兄弟との関係を断ったり、彼を絶交したりしてはならない。絶交
はそれによって生じる様々な悪意や背反などによって、兄弟愛を損なうものであ
るからである。また絶交した者たちの心には、悪魔が彼らに囁き返るところの互
いへの反発作用や疑心暗鬼も及ぼされる。そして悪魔の企みによって彼らは互い
に憎しみ合い、陰口を叩き合い、陰謀を図りあうのだ。このようにして彼らは兄
弟への信頼を失い、互いに平安でいられなくなる。
1年以上も父親と断交し、1つの家に住みながら話すこともない息子の話を聞
き、どれだけ私の心が痛んだことか。また、実の兄弟と何年間も断交し互いに会
うこともなく、互いの子供たちも他人同士のようになってしまったというような
話を知り、どれだけ私の心が痛んだことか。このような別離や断交に利を認める
人などいないだろう。別離の期間が長引けば長引くほど互いの心は硬化し、両者
間の亀裂は深まるのだ。私はこれらのことをよく学習し、理解し、また信じてい
る。ゆえに夫と私との間で意見の相違があったりするときには、私は断絶の期間
が長引かないように早めに彼に話しかけるよう努力し、彼は彼で言葉や微笑を
もって私のもとに駆け寄るのである。私たちは別離には終わりがない事を知って
いるし、私たちが信じているところの教えは常なる愛情と緊密な関係をもたらす
ところのイスラームなのである。
5−陰口の禁止:
陰口(ギーバ)とはムスリムがその兄弟の陰で、彼の嫌がるであろうことを話
すことである。それが事実であろうと、そうでなかろうとそれは関係ない。もし
それが事実でなければ、それはつまり嘘の陰口になる。イスラーム的作法におい
ては、人は不在であろうとなかろうとその尊厳を守られる権利がある。預言者ム
ハンマドは陰口をこう説明した:(人々に向かって)「陰口(ギーバ)とは何た
るか知っているか?」彼らは言った。「アッラーとその預言者がよく御存知で
す。」すると預言者は言った。「兄弟が嫌がることを言うことである。」すると
誰かがこう言った。「もしその言っていることが事実だとしたら?」預言者は
言った。「事実を言っているのだったら、あなたは陰口をしたことになる。もし
事実でないことを言ったのだったら、あなたは嘘をついたことになる。」
正直に言おう。他の社会同様、サウジ社会でもこの性質が他のものに比べ、最
もはびこっている種のものである。そしてそこに潜むものは危険であり、人間関
係の断絶や、時には家族崩壊まで影響を及ぼしえるのだ。果たしてどれだけの友
人同士が、一方が怒りの状態にあるとき言ってしまったことが第3者によって本
人にまで伝わってしまったことで、絶交したことであろう? またどれだけの夫
婦が、義理の姉妹を嫌う夫の姉妹が彼に彼女に関する悪い話をつい感情的になっ
て吹き込んだことで、離婚に至ったであろうか? あらゆる場所において人々の
間に広まっているこの性質のせいで、このような問題の例は枚挙に暇がないほど
である。
6−ごまかしや嘘の禁止:
ごまかしや嘘、裏切り、インチキといったことは全てイスラームが人々に命じ
た箴言に背くものである。これらのことが社会の個人の内面に根付き拡大する
と、社会のバランスは崩れ、主は人々を互いに争わせるようになってしまう。そ
してそこにおいては誰も人を信用できず、墜落と逆行、恐怖と憂鬱が極まりない
ものとなるのだ。それゆえアッラーとその預言者はこの性質について、とても念
を入れた注意をもって喚起している。そしてこれらの性質は互いに密着したもの
であり、インチキをする者は大抵嘘をつき、裏切り、騙すのである。
アッラーはクルアーンの中で、人々に信託を遂行することを命じてこう仰られ
た。
「実にアッラーは、あなた方が信託物をその有権者に対して果たすことを命じら
れた。」(女人章:58)
そしてまた、信頼を裏切りでもって台無しにすることを禁じられ、こう仰られ
た。
「信仰する者たちよ、アッラーと預言者を裏切ってはならない。また、あなた方
が信頼を受けて預かった物において、それと知りながら裏切りを行ってはならな
い。」(戦利品章:27)
これらのことは個人的レベルにとどまるものではなく、もっと包括的、一般的
に捉えられるべきものであり、それゆえ政府が国民に嘘をつくことや、国家が別
の国家に対してインチキを働くことなどの警告にも関連している。
親愛なる読者よ、私があなた方の思想に投げかけたかった諸事において、あな
た方はおそらく何らかの利益を得られたのではないかと思う。そして多くの方々
は本当のイスラームにおける美点の存在を知り、サウジアラビアの人々の内面に
ある長所の存在をお気づきになられたのではないかと思う。
親愛なる読者よ、前回に述べたことの繰り返しになってしまうかもしれないか
ら、今回は余り沢山のことを述べるのはやめにしておこう。そして私はあなた方
に―信じてくれないかもしれないが―、これらのことに対して偏見を捨て、公正
さと中立性の視点でもって考えてみて頂きたいのだ。
執筆:ラシャー マンスーリー
アブドルアジーズ国王大学元研究員
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