キングダムタワー
 

‐第四回日本・サウジアラビア王国青年交流使節団に参加して‐

【「暑い」ニュース】




 2004年1月、冬真っ盛りなその時期に私の元へ「暑い」ニュースが飛び込 んできた。その当時、大学院で中東問題を勉強する傍ら、A調査室(シンクタン ク)で研究助手をしていた私に室長であるA先生から、「お前、サウジアラビア に行きたくないか?」との話があった。ロングコートに身を包み、早く春が訪れ ないかと待ちわびていた私の冬はその言葉と共に立ち去った。

 「是非行きたいです!」という私の言葉に、「ではここに書いてある必要書類 を揃えてくれ」と、2ページほどの紙をくれた室長。よく読めば外務省が主催す る交流使節団の一員としてのサウジ訪問であることがわかった。「ということは 国賓(注)? やばいっすよ!」と、想像だけが膨らんでいった。よく読めば後 半に「書類選考と面接の上、団員を決定します」と書いてあるのに。

 帰宅し、冷静になりもう一度書類を読み直し、冬が戻ってきた。「なんだ、決 定じゃないのか……。」そして昨年のメンバーをみて更にがっかり。錚々たる顔 ぶればかりであった。しかしながら、とりあえず応募するだけ応募してみようと ペンを走らせていた。それから数週間経ったであろうか、窓口役であるC調査会 から手紙がきた。「あなたは書類審査で合格いたしましたので二次試験の面接を 行います。」と。そしてまた私に春が訪れたのであった。

 数日後、私はC調査会の前にいた。そう、面接の為だ。あれから色々と考え、 「私のウリ」は何かとよく考えた。結果、「日本の武道である空手」をウリにす ることに決めた。私は格闘技が大好きで空手やテコンドーなど何種類かの格闘技 を大学生までやっていた。アメリカに留学していたときはよく「空手」をダシに して、自分が日本人であること、そして日本人としての誇りを武器に友達をつ くったものだ。

案の定、C調査会と外務省の面接官も「趣味の欄に“空手”とあるが、これはサ ウジで披露してくれといわれたら披露してくれますか?」と、好感触。頭の中の 私は、既に沙漠の真ん中で空手着を着て踊っていた。

 面接からさらに数日後、C調査会よりメールが届いた。「合格通知」の四文字 に私の血液は沸騰しかけた。「やった! サウジに行ける!」春は過ぎ、私には 夏が訪れた。それから数週間はビザの申請や様々な書類を揃えるので大変であっ た。そして何よりもサウジで“恥”をかかないように空手の師範に頼み、形の練 習や基礎体力の回復に努めた。そして三月、いよいよ待ちに待ったサウジに旅立 つ時がきた。

注:実際は国賓ではない。



筆者:鈴木 健        
アラブ イスラーム学院 研究員

(2008年1月15日更新)

                

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