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時が流れ、やがて善良なる民がやって来ました。ダーウードとヤーコーブの子孫たち、イムラーン家の人々です。この時代には一人の預言者と、人々に礼拝の先導をする一人の偉大な学者がいました。預言者の名はザカリーヤー、人々の礼拝の先導者としてアッラーがお選びになった偉大な学者の名はイムラーンと言いました。
イムラーンには不妊の妻がいました。
彼女はある日、一羽の鳥が雛の口の中に食べ物を運んでやり、水をやっている姿を見ました。その親鳥は雛が寒くないように気使い、自分の翼の中に入れてやっています。その光景は彼女に自分自身のことを思い起こさせ、自分が子供を産めるようアッラーに願いました。彼女は両手を掲げ、男の子を授けてくださるようにと創造主に祈り始めたのです。
アッラーは彼女の祈りに応えられました。
彼女はある日、自分が身ごもっているのを知り、喜びとアッラーへの感謝で満たされました。そこで彼女は胎内に宿った子をアッラーに奉仕のために捧げる誓いを立てました。つまり、自分の息子が生涯マスジド(礼拝堂)に召し使える身となり、アッラーへの崇拝だけに生涯を捧げ、アッラーの館に奉仕する者となることを誓ったのです。
やがて出産の日が来て、イムラーンの妻は女児を産みました。
母親になった彼女は驚きました!彼女はマスジドに奉仕し、アッラーへの崇拝に身を捧げる男児を望んでいたのですから。しかし女児が生まれてきた時、男児は女児と同じではありませんが、それでも彼女はアッラーに自分の誓いを果たすことを決心し、その子をマリヤムと名付けました。
当初、イムラーンの娘マリヤムの誕生はちょっとした騒動を巻き起こしました。イムラーンはマリヤムが生まれる前に亡くなったので、その時代の学者や長老たちは彼女を養育することを望んだのです。自分たちの長老で偉大な学者であり、自分たちの礼拝を司った指導者の娘を養育するという栄誉を得んとして、彼らは互いに競い合ったのでした。
ザカリーヤーは言いました。
「私が彼女を養育します。彼女は私の親戚です。私の妻は彼女の伯母なのですから。私はこの民の預言者であり、彼女の養育に最も相応しい者です。」
しかし学者や長老たちは言いました。
「どうして私たちのうちの誰かが彼女を養育してはいけないのでしょうか?あなたが私たちと分け合うことなくこの徳を得ることを、私たちは放置できません。」
そこで彼らはくじ矢をすることで合意しました。誰であれ、くじを当てた者がマルヤムを養育し、彼女が成長してマスジドに奉仕し、アッラーへの崇拝に身を捧げるようになるまで彼女の世話をする栄誉を得るのです。
そしてくじが行われ、みなそれぞれ自分のくじ矢を投げました。すると3度ともザカリーヤーのくじ矢が出たので、彼らはマルヤムの養育のため、ザカリーヤーに彼女を渡しました。こうしてザカリーヤーはマルヤムの世話を始め、彼女が成長するまで養育し、大切にしたのです。
マスジドの中にはマルヤムが暮らす特別な場所がありました。彼女にはそこで礼拝や信仰を捧げる聖所があったのです。マルヤムはほんのわずかしか自分の場所を離れることはありませんでした。彼女の時間はすべて、礼拝と信仰、そしてアッラーへの念唱と感謝と愛の中で流れました。
ザカリーヤーは時折聖所に彼女を見舞うのですが、その度に彼女の許には食べ物があるのを見ました。夏には冬の果実があり、また冬には夏の果実があるのです。そこでザカリーヤーが、それらの食べ物がどこから来たのかとマルヤムに尋ねると、彼女は、「アッラーの御許から。」と答えました。そしてそれが何度も繰り返されたのでした。
ザカリーヤーはその時既に年老いており、骨は弱り、頭には白髪が多く、自分がそう長くは生きられないだろうと感じていました。またマルヤムの伯母である彼の妻も彼と同様年老いていました。そして彼女は不妊だったために、それまでの人生で子を持てませんでした。
ザカリーヤーは、自分の知識を継いで預言者となり、民を導いてアッラーの書と御赦しへの道を呼びかける男児が授かることを願っていました。そこで彼は、声をあげず密かに主に祈り、彼の預言者の使命と英知、徳、また知識を継ぐ男児を授けて下さるよう願いました。ザカリーヤーは自分の亡き後、民が真理から迷い出て、彼らに預言者が遣わされないことを恐れていたからです。
すると至高なるアッラーはザカリーヤーに御慈悲をかけられ、彼の祈りに応えられました。ザカリーヤーが心の中でひそかにアッラーに祈るや否や、天使たちが聖所で祈りを捧げている彼に呼びかけました。
『(主は仰せられた。)「ザカリーヤーよ、本当にわれはあなたに、ヤヒヤーという名の息子の吉報を伝える。われは未だかつて誰にもその名は授けなかった。」』(聖クルアーン・マルヤム章7節)
ザカリーヤーはかつて類のないような息子を授かるというこの吉報に驚いて、余りの喜びに動揺し、驚きの気持ちでこう問いかけました。
『かれは申し上げた。「主よ、わたしにどうして息子がありましょう。わたしの妻は不妊です。その上わたしは極めて高齢になりました。」』(マルヤム章8節)
彼は自分が高齢であり、妻も不妊だというのに子を授かるという知らせに驚いたのです。
『かれは言った。「そうであろう。(だが)あなたの主は仰せられる。[それはわれにとって容易なことである。あなたが何もない時に、われが以前あなたを創ったように。]」』(マルヤム章9節)
天使たちはザカリーヤーに理解させたのです。これがアッラーの御意志であり、アッラーの御意志の前には実行あるのみで、アッラーに困難なことなど何もありはしないということを。またアッラーがお望みのものはその存在を命じられればすなわち有るのであり、アッラーはザカリーヤー自身も無から御創りになったのだということを。そしてアッラーは、単にその御意志のみによってすべてを御創りになるのだと。
『何かを望まれると、かれが「有れ。」と御命じになれば、即ち有る。』(ヤー・スィーン章82節)
ザカリーヤーの心はアッラーへの感謝と讃美とで満たされました。そこで彼は、何か印を示してほしいと主に願いました。するとアッラーは、言葉を発することができない3日間がやがて彼に訪れるだろうと告げられました。体は健全であり、何も病がないのに話すことができなくなるのだと。そしてそれが起きれば彼は妻が身ごもっていることを確信し、アッラーの奇跡が実現したのだと明確に知ることになり、その時彼は人々に身振りで話さなければならず、朝に夕にアッラーを讃美するだろう、とアッラーは仰せられるのでした。
ある日ザカリーヤーは心を感謝の念で満たして人々の前に出ました。そして彼らに話そうとすると言葉を発することができないのに気付き、彼はアッラーの奇跡が実現したことを知りました。そこで、黎明に夕べにアッラーを讃美するよう人々に手まねで伝え、自分も心の中でアッラーを讃美しました。そして、自分の祈りに応えてヤヒヤーを授けて下さったことに対して、彼はアッラーに感謝し、礼拝を捧げたのです。
こうしてザカリーヤーは死が訪れるまで人々に主への信仰を呼びかけ続けたのでした。
執筆:ヌーラ アッダハマシ
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