預言者たち
 

【預言者イーサー その1】


預言者イーサーの話をするにあたっては、彼の母マルヤムの話を、いえ、イム ラーン家の子孫の話をする必要があります。アッラーはかつて万有の上にアーダ ムやヌーフ、イブラーヒーム一族をお選びになったように、イムラーン家の子孫 をお選びになりました。

イムラーン家は高貴な家族で、その中には、マルヤムの父イムラーンとマルヤム の母であるイムラーンの妻、それからマルヤムとイーサーがいます。ですからイ ムラーンは、母を通したイーサーの祖父であり、イムラーンの妻は母を通した祖 母にあたります。

イムラーンは彼の時代にイスラエルの民の礼拝先導者であり、彼の妻も善良な女 性でした。当時彼女は不妊であり、自分に息子を授けてくださるようにとアッ ラーに祈りました。そしてその息子を、アッラーへの崇拝や聖殿への奉仕に一生 専念させると誓ったのです。

アッラーは彼女の祈りに応えられました。アッラーは女の子が生まれるように望 まれ、それがマルヤムでした。そしてアッラーは彼女の養育をザカリーヤーに託 されました。彼はマリヤムの伯母の夫だったのです。

マルヤムはアッラーへの崇拝や畏敬の念においての手本であり、アッラーはマル ヤムに、人々が注目するような恩恵をお与えになりました。ザカリーヤーは聖所 に彼女を見舞うたびに、そこに食べ物があるのを見ました。そこでその食べ物が どこから来たのかマルヤムに尋ねると、彼女はこう答えました。

『・・・彼女は答えて言った。「これはアッラーの御許から(与えられまし た)。」 本当にアッラーは御自分の御心に適う者に限りなく与えられる。』 (聖クルアーン・イムラーン家章37節より)

それはすべて、この清純な女性からイーサーが生まれるという、偉大なる奇跡の 準備でした。イーサーは他の者たちのようには父を持たなかったのです。 さあ、ここで聖クルアーンが語る物語の始まりを聞いてください。

『天使たちがこう言った時を思い起せ。「マルヤムよ、誠にアッラーはあなたを 選んで、あなたを清め、万有の女人を越えて御選びになられた。」
「マルヤムよ、あなたの主に崇敬の誠を捧げてサジダしなさい。ルクーウ(立 礼)するものと一緒にルクーウしなさい。」』(イムラーン家章42〜43節)

また至高なるアッラーは聖クルアーンの中でイーサーの誕生の物語についてこう 仰せられました。

『またこの啓典の中で、マルヤム(の物語)を述べよ。彼女が家族から離れて東 の場に引き籠った時、

彼女は彼らから(身をさえぎる)幕を垂れた。その時われはわが聖霊(ジブリー ル)を遣わした。彼は一人の立派な人間の姿で彼女の前に現われた。

彼女は言った。「あなた(ジブリール)に対して慈悲深き御方の御加護を祈りま す。もしあなたが、主を畏れておられるならば(私に近寄らないで下さい。)

彼は言った。「私は、あなたの主から遣わされた使徒に過ぎない。清純な息子を あなたに授ける(知らせの)ために。」

彼女は言った。「未だかつて、誰もわたしに触れません。またわたしは不貞でも ありません。どうして私に息子がありましょう。」

彼(天使)は言った。「そうであろう。(だが)あなたの主は仰せられる。【そ れはわれにとっては容易なことである。それでかれ(息子)を人々への印となし、 またわれからの慈悲とするためである。(これは既に)アッラーの御命令が あったことである。】」』(マルヤム章16〜21節)

天使ジブリールは、聖所にいるマルヤムの許へ、一人の人間の姿をしてこの上な い美しさで訪れました。するとマルヤムは恐れて言いました。
「あなたに対して慈悲深き御方の御慈悲を祈ります。もしあなたが、主を畏れて おられるならば(私に近寄らないで下さい)。」
彼女はアッラーの御加護を求め、彼にアッラーを思い起こさせようとしたので す。

しかし彼はこう言いました。
「私は、あなたの主から遣わされた使徒に過ぎない。清純な息子をあなたに授け る(知らせの)ために。」
それでマルヤムはこの見知らぬ相手に安心しました。

でも彼の「清純な息子をあなたに授ける(知らせの)ために。」という言葉を思 い出すや否や、清純な処女であるマルヤムは驚きました。かつて誰も彼女に触れ た者はなく、まだ未婚で、彼女に求婚する者すらいなかったからです。結婚する ことなしに子を産むなんて!!

マルヤムは主の使徒に言いました。
「未だかつて、誰もわたしに触れません。またわたしは不貞ではありません。ど うしてわたしに息子がありましょう。」

するとジブリールはこう言ったのです。
「そうであろう。(だが)あなたの主は仰せられる。『それはわれにとっては容 易なことである。それでかれ(息子)を人々への印となし、またわれからの慈悲 とするためである。(これは既に)アッラーの御命令があったことである。』」

マルヤムの理知はジブリールの言葉を受け入れました。彼はマルヤムにこれは アッラーの御命令だと言わなかったでしょうか?アッラーが命じられることはす べて実行されるのです。また誰も触る者がないのに彼女が子を産むことに、何の 奇妙があるでしょうか?

至高なるアッラーは父親も母親もなしにアーダムを創られ、アーダム創造以前に は男も女も存在しませんでした。ハッワーゥはアーダムから創られ、女なしで男 から創られました。

マルヤムの息子は父親なしで創られるのです。男なしで女から創られるのです。 通常、人間は男と女から創られ、父親と母親がいるのですが、至高なるアッラー が望まれれば奇跡は起きます。ジブリールは再びこう話しました。

『「・・・本当にアッラーは直接御自身の御言葉で、あなたに吉報を伝えられ る。マルヤムの子、その名はマスィーフ・イーサー、かれは現世でも来世でも高 い栄誉を得、また(アッラーの)側近の一人であろう。かれは揺り籠の中でも、 また成人してからも人々に語り、正しい者の一人である。」』(イムラーン家章 45〜46節より)

マルヤムは子を宿す前に息子の名を知り、彼がアッラーの御許でも人々の許でも 高い栄誉を得る人となり、また赤ん坊の時も成人してからも人々に語りかけるの だと知って、マルヤムの驚きは一層大きくなりました。それからジブリールがマ ルヤムの服の胸の合わせ目に息を吹き込むとすぐに、彼女は身ごもったのです。

それからしばらく時が経ちましたが、彼女の妊娠は他の女性たちのそれとは違っ ていました。彼女の体調は全く損なわれず、妊娠による重みも全く感じられませ ん。彼女は他の女性たちのように自分の体に何かしら重みが増したと感じること もなく、またお腹がせり出すことありませんでした。彼女のそのような妊娠は アッラーからの良き恩恵でした。そしてやがて9ヶ月が経ったのです。


また、(このことに関して述べた聖句の)「ف*」という語は「事がその言葉に続いてすぐに起こる」ことを意味するので、マルヤムは9ヶ月間イーサーを身ごもったのではなく、奇跡によって彼をすぐに出産したのだ、と言う学者もいます。
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*訳者注:聖クルアーン・マルヤム章の中に、マルヤムの妊娠(22節)から出産(23節)への移行を描く聖句があるので、このفの解釈は、出産の始まりの描写を示す23節の冒頭にあるفのことを指しているのだと思います。
—アッラーこそすべてを最もよくご存知の御方です。—

22<فحملته فانتبذت به مكاناً قصياً
23<....فجاءها المخاض إلى جذع النخلة

22_<こうして、彼女は彼(息子)を妊娠したので、遠い所に引き籠った。>
23_<だが分娩の苦痛のために、ナツメヤシの幹に赴き、彼女は言った。・・・>


執筆:ヌーラ アッダハマシ

                

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