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日本人は大方無宗教だと言われています。クリスマス、初詣、お彼岸を過ごす日
本人の生活は諸外国から見れば、変人のようです。それは、日本の誕生から現在
までの時代背景と、何でも受け入れ自身の文化に吸収する日本人の性質を考えれ
ば、当然の事のように思われます。しかし、「無宗教」=「無関心・無知識」で
は、もったいない事です。世界の中で日本ほど宗教観に融通が利く国は、あまり
無いのですから、広く公正に知識を身に付ける事によって政治経済はもちろん、
個人の生活においても、幅が出てくるのではないでしょうか。
今、一番注目を浴び、かつ一番縁遠いイスラーム教について知識を得る事は、と
ても有益です。9・11テロ以降、イスラーム関連書籍が沢山出版されていま
す。しかし中東問題の学者の本は専門色が濃く、イスラーム教徒の本は、とても
イスラーム贔屓です。その中で本書は、著者がイスラーム教徒でありながら、客
観的であることを限りなく努めています。多少、専門用語やイスラーム研究者の
名前が連なり、辛い部分もありますが、それは、知っておいても良いレベルでも
あり、またアラビア語に興味のある方には、楽しく読み進めることが出来ます。
非イスラーム教徒の存在を充分に認識して語る文章からは、「イスラーム教は良
いから仲間になろう」と押し付けてくることがありません。これは、「アッラー
だけが神」と信じながらも、隣人には信仰の強要をせず、隣人の思想の自由を認
める、イスラーム教の教えによるもののようです。本書を読み、イスラーム教徒
には全てを本人の意思で決める自由が与えられている事が分かりました。彼らの
信ずる唯一神アッラーの摂理にすら反する自由が認められているのです。全てが
「自己責任」なのです。日本では、最近話題になっている「自己責任」が140
0年も前に奨励されています。
日本人の知っているイスラーム教は、テロリストがイスラーム教徒であること
と、狂信的なイメージばかりですが、本来の姿は、全くの正反対でした。イス
ラームの教えは実に合理的で寛大で、そして温かみがありました。宗教の知識以
外にも、新しい観点を得るきっかけにもなりそうです。
イスラーム教におけるイメージと教えの違いは何なのか。現在世界が抱える問題
点の根底にあるものと共に、その答えを見つける糸口になる一冊です。
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