アラブサッカーに恋して
 

【マナマ決戦の日】
 

ついにワールドカップ出場を掛けた、日本とバハレーンとの運命の一戦がやって来ました。6月3日に行われる試合に向けて、一週間前から現地入りし、バハレーン現地の様子を見ていました。夕方から行われていた代表練習を見学しましたが、相変わらずの和やかな雰囲気の中で、グランドにはサポーターの市民や子供達が押し寄せ、お気に入りの選手たちに声をかけては記念写真を撮りに勤しんでいる様子です。
しかし、決戦が近づいてくれば、その様子も変わり緊張した雰囲気が漂います。日本代表が現地入りした5月31日、バハレーンもそれまでカタールのアミールカップに参加し合流が遅れていた、サルミーン選手とドサリ選手がチームに加わり、その日から自由に見学できた練習も完全非公開となりました。

ジドカ監督から選手たちに対して緘口令も出されていたようで、それまで気さくに話をしてくれた選手たちも何も話してくれません。
「Sorry!マムヌーウン…」
ごめんね〜禁止されてるから!当然といえば、当然なことですが、今までがむしろ緊張感が無さ過ぎたのかもしれませんね(笑)

試合当日、マナマのバーレーン・ナショナルスタジアムには、キックオフ前からたくさんのサポーターが押し寄せていました。バーレーン政府は来場者に無料で、バーレーン応援ユニフォームを配布し、スタンドは真っ赤に染まっています。日本人サポーターのために、ゴール裏スタンド席も用意され、国内外から2000人のサポーターが終結し、ジャパンブルーを応援していました。まるで、浦和レッズと横浜マリノスの試合のようでした。

試合は、終始日本が攻勢にまわり、前半には小笠原選手の見事なシュートが決まり先制。追いつかなければいけないバーレーンですが、後半は日本より先に足が止まり、リードされたまま防戦一方に追いやられる結果になってしまいました。1−0のまま試合終了。喜びに沸き返る日本代表を横目に、バーレーン選手の多くは、しばらくピッチの上で泣き崩れていました。

試合の2日後、イランへ向かう直前の代表練習を再び訪れました。半分の選手は、まだ敗戦のショックから立ち直れていない様子です。日本戦で後半から交代でピッチを後にしたサルミーン選手は、右足を骨折していて、練習をスタンドから眺めていました。何人かの選手に、イランに勝てば、まだチャンスはあるのでは?と声をかけても、「無理だよ…」と弱々しい返事が返ってきます。それでも、GKのアリ・ハサン選手だけはいつもと変わらぬ明るさで、選手たちを元気づけていました。年長でベテランの守護神は、チームの支えとして常に若い選手たちをリードしています。
「イランに絶対勝ってやる。もしだめでも、まだプレーオフだってあるんだ。とにかく俺たちは絶対にドイツへ行ってワールドカップに出場するんだ!インシャアッラー」

6月8日、イランでの試合、健闘虚しくバハレーンは敗退。グループB3位として、プレーオフに出場することになりました。しかし、バーレーンという小国がアジア最強の日本、イラン(AFCランキング2位)と肩を並べ、最終予選を戦ったことは称えられる事実であり、この敗戦に恥じるところは一つもないように思えます。ぜひ、プレーオフで勝ち進み、北中米をも下し、アジア代表5カ国目の栄光を勝ち取ってほしいものです。


執筆:渡邉真由子
フリーライター


(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2005年 アラブ イスラーム学院