アラブ社会
 

【サウジ政府の国民に対する優遇政策】


 サウジ政府はサウジ国民を優遇すべきアダムの子として扱ってきたし、現在も そうである。そしてサウジにとっていかなるアダムの子らも諸権利を有し、それ を得、それをもって快適に生活する義務を負う。サウジ政府は国民に対するこの 権利を少しも怠っておらず、おおよその国民は医療、教育などにおいて優れた奉 仕を受けている_そして大学教育でさえも全ての者に無料提供されている。道路 は殆どの地域で舗装され照明が灯っているし、電気はどの家にも通っている。そ して乾燥した砂漠地帯であるにもかかわらず、サウジ政府は海水浄化法などを用 いて全国民に無料で飲料水を提供している。しかしここでは、サウジ政府がその 国民に人間としての権利を保障することにおける努力について述べるだけではな い。

 サウジ政府は−多くの人がそう言うように−国民の諸権利や基本的な要求を満 たしているだけではなく、多くの面でそれ以上の事を行っている。国民の保護や 麻薬の害悪駆除などのサウジ政府の努力の一例は、前回お話した通りである。ま た麻薬中毒者の治療、及び彼らを社会の協力を得て社会復帰させなければならな いところの犠牲者であると見なし、その問題を重要視しているということも前回 詳細に渡ってお話した。

 そして今回、私はサウジ政府の国民に対する非常な配慮を示す別の例について 話そうと思う。サウジは人権が踏みにじられ、国民の尊厳がないがしろにされて いるような国ではないのだ。

 まずサウジ政府が、罪悪者などの悪質な人々たち_世界中どこにでも存在す る_に対してどのように対応するか話そう。まず、殺人者というのが掟や法律に 従って終身刑か死刑に処されることは、誰しもが明確に知っているだろう。サウ ジもその例に漏れない。ただ他の国のやり方に比べて、慈悲が優っているのであ る。世界中探しても、サウジのように殺人者の死刑においてイスラーム法を実践 している国家はない。つまり他の国々は絞首刑や銃殺刑、その他諸々の死刑法を 実践しているが、イスラーム法を源泉とするサウジでは、殺人者は一刀のもとに 斬首される。彼は苦しむことなく、一瞬で命を断たれる。そして他の者への戒め の意味からも、刑の執行は公の場で公開される。サウジではイスラーム法が実践 されており、殺人者といえども一介の人間であり、いかなる場合であっても_人 間の権利を守る意味で_苦しめたり抑圧してはならない。ただその人間が間違い を犯す者で、野放しにしておくことが社会にとって、そして他の国民の権利を守 る上で危険であり、それゆえ社会の腐敗要素を最も簡素な方法で処するだけなの である。

 さて死刑法の他に様々な問題から刑務所に拘禁される者たちがいるが、彼らも また諸々の関心と配慮を払われる。サウジ政府は犯罪者更正のためのシステムや プログラム作成に努力する一方、彼らの人権擁護についても大きな関心を払って いる。例えば刑務所には図書館などが備わっている他、演劇、説教や様々な分野 におけるクラブ活動などが催されている。刑務所本部は囚人の監督に重きを置 き、囚人とその家族のつながりのために活動を行っている。1977年以来サウ ジの刑務所は合法的プライバシー制度を実践しており、それにより囚人は月に1 回3時間、妻とプライベートな時間を持つことが出来た。それから1985年そ の制度が改善され、2人以上の妻がいる者に対し月に2回の面会が許された。そ して1990年には更なる改善策が加えられ、2人以上の妻がいる者に対して、 各々の妻につき2回面会することが許されるようになった。また素行が良いと認 められた囚人は、月に1度24時間の間家族と会うために外出することを許され た(刑期を半分以上終え、その期間が1年以下でない事が条件)。

 それから更に囚人の刑務所外活動は幅広くなり、何らかの理由で家族が彼を刑 務所に来訪できない場合は、囚人自身が両親や子供、妻らと会うために外出する ことが出来るようになった。これらのことが囚人と家族の絆のための画期的な試 みであり、夫婦間のつながりを強め、配偶者を失うことを引き留めることにもな ることは疑いない。こうして囚人は妻と離婚せずとも済むようになる。

 更に刑期終了時の社会的安定保障のために、大学への登録、そこでの面接試 験、入学試験のためなど、学業面での外出も可能になった。これは囚人が大学に 籍を置いて学業を継続することの出来る画期的な試みであり、刑期終了後には何 らかの仕事に就職するための修了証書を手にすることも可能であるということで ある。それに加え、刑務所内の囚人には月収の形で援助金が配布される。それは 彼が刑務所の外の家族に負担をかけないようにするためである。

 また刑務所本部は囚人の家族を援助する、いくつかのプログラムも準備してい る。例えば家族の受け入れ施設や、家族が路頭に迷わないようにするために、必 要最低限の生活が出来る程度の補助金付与などである。これらの事務手続きには 社会・労働省が全国各地にある社会保障局事務所を通じて参与しており、加えて いくつかの慈善組織も協力している。

 サウジ政府の努力はこれだけには留まらない。囚人の刑期終了後にまでその配 慮は継続する。サウジにおける刑期終了者の配慮は、まず刑務所付属の社会・心 理事務局にて行われる。そしてそこにいくつかの慈善組織の刑期終了者とその家 族に対する金銭的・精神的など様々な形での慈善的・ボランティア援助が加わ る。1976年には社会・労働省の社会保障事務局最高本部に、刑期終了者の配 慮に関するプログラムを完遂するためのものとしてアフターケア対策部が設けら れた。アフターケア対策部は社会・労働省が監督する社会考察セミナーや社会指 導セミナー、青年指導セミナーといった社会セミナーを提供する。

 また1987年には社会・労働省付属の、アフターケア・フォローアップ最高 本部が設けられた。その目的は次に示すものである:刑期終了者、社会セミナー などの卒業生、アルコール・麻薬中毒患者、精神病患者などへの正しい指導及び ケアの実現のための運動。アフターケア・フォローアップ最高本部は各分野を監 督する専門機関に従い、設立規定に沿った目的の実行のために動く。

 それから1995年には、刑期終了者の福利を大きく配慮した規定改正が行わ れた。また2001年には元来の努力に加え、内閣において服役人・更正施設利 用者・刑期終了者及びその家族への保護委員会設立決議が出され、全ての関連組 織の方向性が1つになった。


筆者:ラシャー マンスーリー
アブドルアジーズ国王大学元研究員

                

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