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3.両親に対する子供たちの権利
子孫の保護は必要不可欠な物の1つで、世界がそれに同意するところのもので
ある。そしてイスラーム法は子孫の保護を抜きん出て重要視した。この記事の目
的は、イスラーム法に則ったサウジ社会において知られている子供たちの権利の
概要を紹介することである。この権利によって子供たちは安全な信頼のおける社
会の一員となり、家族の本質は子供たちによって調和され、またその絆が強化さ
れ、子供たちは社会の構成においてしっかりと組み合わされたレンガとなるの
だ。私は読者の皆さんのために、これらの権利の中でも特に重要な11の権利を
ここに集めた。それでは皆さんにそれぞれの権利の意図するところを紹介してい
こくとにしよう。
1−(母親がその子を妊娠する前の)子の権利:
イスラームは人間が創造される前の時点から、彼を保護している。それでイス
ラームは、両親となる者に彼らが待ち望む子供を全ての悪から守る方法を、また
その子が肉体的・精神的害悪から免れ、健全に誕生するための方法を導きだし
た。つまりイスラームは両親に性交時にはアッラーの御名を唱え、悪魔からの加
護をアッラーに求め、その性交により授かるかもしれない子供に悪が及ばないよ
うに祈願することを教えたのだ。これら全てを性交を始める前の数秒の間に夫と
妻のそれぞれが心で念唱するのです。このように両親に対する子供の第一の権利
は、その行為により果たして子供が授かるのかどうかまだわからない早い時期か
ら両親が子供の保護を始めることです。これは、子供がこの世に存在する以前か
ら両親が子供を保護している証なのです。
2−母親の子宮内での子供の権利:
母親の子宮内での子供の権利保護に関して3つの主な点を紹介しよう。
A――夫が妻を離婚した場合、夫は妻が妊娠していた場合を除いて妻に対して生
活費や住居を提供する義務はない。夫は彼の子供のために、妊婦である妻の扶養
が義務となるのである。それは子供の扶養が、彼女を通して栄養を摂取するとこ
ろの母親を介してしか手段がないからである。
B――子供を保護するために、母の子宮にいる時から健康に悪影響を与えるだろ
う物から子供を守ること。そのため胎児の健康に悪影響を与える心配がある時に
は、妊婦は病人や旅人同様ラマダンーン月に断食を解くことが許されている。
C――母の子宮内にいる間の子供の保護の1つに、子供に影響があると思われる
場合、あるいは胎児を死なせてしまう恐れがある場合、犯罪を犯した母親への刑
罰の執行猶予がある。
3−誕生に際しての子供の権利:
子供は至高のアッラーからの恵みの1つである。もしアッラーがその子の存在
を望まなければ、誰一人として子を授かることはない。そのため子の誕生を吉報
とし、子の誕生を喜ぶことはアッラーが定めた慣習である。人間の自然な感性を
失った者を除いて、今だに人々は子供たちを吉報とし、彼らの誕生を喜ぶのだ。
だから誕生に際しての子供の権利の1つに、両親や家族が子供の誕生を喜ぶこと
が存在する。子供はもてなしを受けるべき重要な客なのだ。家族がその到来を重
荷に感じ忌み嫌い、自分たちのもとをどうか訪れないで欲しいと願い、もし訪れ
た時には早く立ち去って欲しいと願う客と、歓迎を受けるそのような客との間に
は実に大きな差があるのだ。
4−生後の第一の権利:
善い言葉は心を安らげその言葉に耳を傾けさせる。また人間は悪い言葉を耳に
したり口にしたりしたくないものである。このような理由から、子供に美しく良
い名前を命名することは彼の誕生に際しての子供の両親に対する最も重要な権利
の1つなのだ。父親や家族が名づけた名前は生涯子供に付き纏う。愛されるべき
良い名前であれば、名づけられた者は成長した時にその名前で呼ばれることやそ
の名前を聞くことを喜ぶし、またその名前を呼ぶ者や名前を聞く者も喜ばせるで
あろう。しかしもし名前が良くなく、その名前で呼ばれる時に耳を不快にさせる
ようなものであれば、彼を呼ぶ者やそれを耳にする者は気分を害すことであろ
う。このためイスラームでは、家族はその子供の為に本人と周りの者が喜ぶよう
な良い名前を名づけることが求められている。
5−歓待における子供の権利:
人々の慣習として客の歓待がある。その客のことを好きであればあるほど、
人々はその客を手厚くもてなす。母親のお腹の中で自分の母を見たことがなく、
自分の家族のうち誰も見ることはなく、またその家族も10ヶ月間は彼を見るこ
とのない、子宮の中で長い旅を経てきたこの子供は他の誰よりも歓待を受けるに
値する。なぜならこの子供は家族の人数を増やすためにやって来たのであり、家
族を強化し、目的実現のために互いに協力する家族の一員となるからである。こ
のため今日でもサウジ社会で実践されているイスラーム法では、子供を授けてく
れた主への感謝と新しい客の歓待を表すために、家畜を屠り食事を振舞うことが
推奨されている。
6−世話と清潔に関する子供の権利:
子供の清潔と世話という一般的な意味が示すものに付け加え、両親は生後7日
目に子供の世話を公にし、彼にとって有害なものを除去するために子供の頭を剃
ることが推奨されている。それだけでなく、剃った髪の重さに相当する金か銀の
価格相当の喜捨が定められており、それはあたかもささやかな金銭の形で彼を犠
牲に捧げることを示しているかのようである。また、男児には割礼も推奨されて
いる。これはアッラーの使徒が奨励したところの人間の自然な性質のうちの1つ
である。これが示していることは、男児の清潔に関する配慮と、子供が自分で取
り除くことはできない有害な全ての汚いものや不要な物の除去である。これに
よって子供はその人生において、不浄な物やそれが原因で起こる病気などから守
られるのである。
7−授乳と保証に関する子供の権利:
母親の子宮の中の子供の栄養は、母子が望むと望まないに限らず運ばれてきて
いた。つまり妊娠中の母親には子供に対しての義務があり、それは相応しい栄養
を取り、子供の害となる怠りをしないということであったのである。同様に子供
の父親は彼女に十分な生活費を支払わなければならない。しかし道が容易くな
り、地上での旅を始めるために子宮の旅から出てくると、子供はその必要不可欠
な栄養から切り離されてしまう。それゆえ両親は子供に乳を与えなければならな
いのだ。母親は子供が飲みやすいようにとアッラーが彼女の乳房に与えた母乳を
子供に与え、父親は授乳に必要なだけの生活費を彼女に費やす。そして両親に
は、子供が成長し自分に責任が持てるようになるまでの保証が義務付けられる。
8−教育と知識における子供の権利:
子供の教育には注意を払わなければならない。その数と種類は限りないが、敢
えてそのいくつかを取り上げるなら:
A――良い友達を選び、付き合うこと、そして悪い友達や彼らとの交友から遠ざ
かることを常に心がけ、それを継続すること。良い模範となる誠実な人たちと共
にあることで子供の善行を愛する気持ちは増大し、悪事を行うことやそれに近付
くことから遠ざかるようになる。また悪い人々と付き合えば心は彼らに傾き、ま
た悪事や罪悪に関して彼らを模倣するようになる。たいてい悪い人々の影響は良
い人々よりてきめんで、子供たちであればそれは尚更である。子供たちはすぐに
彼らのうちの最も悪い人の真似をするようにもなりえるのだ。
B――子供たちに正直であるよう、また嘘をつかないよう習慣付けること。正直
さは自己を安心させ、嘘はそれを口にする者を破滅へと導く。
C――幼いうちから崇拝行為を訓練させること。これはその基礎の上に子供が育
つように、そして慣れるようにするためで、また成長した時にこれらに関して怠
慢にならないようにするためである。
D――有徳な性質を身に付けさせる訓練。例えば他者を優先することや自分が好
む良い事を他人にも好むこと、与え、取らないこと、自分や他人に対し益するこ
とを行い、害となることを避けるように自分の行動において責任感を持たせるこ
と。
これらの文を書いている最中、私は思わず自分の母の姿を思い出してしまっ
た。母は私たちの中に賞賛に値する優れた性質を植えつけることに非常に熱心で
あった。私が幼かった時(私は兄弟たちの中でも年長である)、母は常にお菓子
やおもちゃや洋服など私が持っている物を兄弟たちと共有するよう命じていた。
私はそれを嫌がり、不平を言い、彼女たちはまだ小さく、私にはきっと何も残し
ておいてくれないだろうと抗議したものであった。それどころか時には泣き叫び
こう言ったものだった。「何故私が彼女たちにあげなければならないの?彼女た
ちは私に何もくれないのに!」すると母は口元に微笑を浮かべてこう言うの
だった。「あなたが一番年上でお手本なのよ。彼女たちに与え、共有することを
あなたが教えなさい。彼女たちが大きくなったら、あなたのように彼女たちも他
の人に与え、共有するでしょう。」その当時から20年余りが経過した。何ヶ月
か前、妹たちの一人が私に言った。「一番下の妹が何を着ているか見た?あれは
私の物なのよ。」私は微笑んだ。彼女は続けて言った。「知ってる?彼女が私に
頼んだ時、最初はだめだと言ったの。でもすぐ後に彼女を呼んであれをあげた
の。何故だか分かる?」私は驚いたが、普通に言った。「あなたがそれを彼女に
あげたいと思ったからでしょ?それ以外に何があるの?」すると彼女は笑って
言った。「妹にだめだと言って部屋を出た後、あなたのことを思い出したの。あ
なたがどれだけ沢山のおもちゃを私にくれて、私がそれらを壊したのか。何回あ
なたのお菓子を全部食べてしまったのか。それにも関わらず、あなたは私や他の
姉妹たちに、お菓子やその他あなた自身の物を与え続けたでしょう。」私は言っ
た。「アッラーがお母さんに素晴らしい報奨で報いて下さりますよう。お母さん
こそあなたたちが他の人に与えるように、私にあなたたちに与えることを教えて
くれたのよ。そして彼女の言ったことは正しかった。」
9−配慮と指導における子供たちの権利:
怠ってはならない基本的な義務とは、誰一人として放っておくことが許されな
い宗教的な個々の義務を子供たちに教えることである。それは信仰の原理・イス
ラームの柱と義務である。それから子供たちの中に秀でた点を探すことも両親の
義務となる。もし子供の中に、物を作ることや技術、その他役立ついかなること
に対してにでもやる気を発見したら、彼が望むことをさせ、それを実現させるた
め出来る限りの手段で彼を助けてやることである。子供が望まない、あるいは、
それを行う準備ができていない学問を無理矢理やらせたりすることは好ましいこ
とではない。こうして私たちは、誠実で有益な子供たちが社会に誕生する安全性
を維持するのである。
10−働くことの奨励における子供たちの権利:
人が有益な仕事をする時間を有しないことは、大きな損失である。人生、ある
いはその一部は、無為な安寧の中に停滞するなど有益なことを行わないこと、あ
るいは自分や社会を害するようなことに関して動くことなど、そうあるべきでは
ないことで浪費されるのが常なのである。それゆえ働くことや行動への訓練を
し、そして無為や怠惰を避けさせるために子供たちを指導し、励まし続けること
は両親の重要な役割なのだ。この事に関してお話ししよう。私の父は私の弟に、
彼が12歳の頃から休暇時には働かせたがり、そのことにおいて弟を励まし、
人々の前で「息子は仕事の出来る、頼り甲斐のある1人前の男なんだ。」と、弟
の自慢をしていたことを思い出す。そして母は休暇中私に幾つかの家事を与え、
こう言っていたものだ。「あなたが何もしないのを見ることや、あなたの時間が
無駄に過ぎ去っていくのが嫌なの。時間を無駄にせず将来あなたの役に立つこと
を学びなさい。」今日私は彼女に、「お母さんありがとう。あの時手伝っていた
ことで、結婚後の私の行うべき責任において随分楽な思いをしました。」と言い
たい。
11−独立前の子供の最後の権利:
もし子供が結婚を必要とした時、父親や子供を結婚させることができる父親の
代理人となる者は、子供に身を固め、禁じられた行為に陥ることを回避させると
ころの結婚をさせなければならない。息子が結婚を必要とした時、父親は息子の
貞節を守らなければならない。同様に、結婚適齢期に達した娘の貞節を守るため
には娘を結婚させ、彼女のために誠実な夫を探さなければならない。彼らの貞節
を守ることへの義務において息子・娘の間に差はないのである。
これにより、イスラームの子供の権利保護が明らかになる。もし両親がこれら
の権利を果たすならば、彼らはこれにより家族と共に固く結びついた小さな社会
を実現し、誠実で安全で信頼される人たちであるはずなのである。そして良い社
会とは家族から成り立つものなのだ。
これがサウジ社会において大方実践されていると私が見るところの、子供の権
利の概要である。ページの関係で少しの具体例しか挙げられなかったことをお許
し頂きたい。そして次の話題に移り、夫婦それぞれの権利、そして特に――イス
ラーム教徒の女性や特にサウジの女性が不当に扱われ、権利を虐げられていると
人々から私が聞いたところの――妻の権利という新しいテーマを始めるために
は、十分な足慣らしは出来ただろうことを望む。次回は人々が言う事の正当性を
知るために、女性の権利と義務の紹介によって女性の現実について考察すること
にしよう。それではまた次回。
筆者:ラシャー マンスーリー
アブドルアジーズ国王大学元研究員
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