遠くの近い国
 

【留学生の住まい】


ダマスカスでの留学生の住まいは一人暮らし、学生寮、下宿、ホームステイ、と選択は日本同様である。その中でも一人暮らし(特に大家が同じ敷地内に住んでいない場合)は契約書の署名から身の回りの大工仕事まで、語学や現地の生活に慣れていない留学生にとって何かと大変である。またホームステイは一般的でなく、学生寮は衛生面などを考えてもお世辞にも居心地の良い場所とは言えない。従って留学生の多くは下宿をしている。

シリア2日目、私も下宿探しに出掛ける。ダマスカス旧市街の一角にあるキリスト教地区に下宿先は集中しており、留学生に部屋を貸している家が幾つかある。ただし外からは下宿も一般住宅も同様なので、家の戸をノックしたり、道行く人に聞いて歩いたりする。この辺りでは私のような学生が四季を問わず彷徨っているので住人達は怪しまずに応対してくれる。

旧市街は世界遺産にも登録されており、昔ながらのアラブ式住居が残っている。それらの家に共通しているのは、入り口の奥にある吹き抜けの中庭と、それを囲むように建築された建物だ。アラブ式住居では個々の部屋も独立していて、トイレ、台所、風呂場などと同様、中庭から通じるようになっている。留学生がこのような家に下宿する場合は部屋を一つ借り、その他は共同で使う。私が最初に見せてもらった下宿は中庭に可愛らしい噴水があり、全体的に白を基調とし、こざっぱりしていた。部屋も大家さんも気に入ったので借りることにする。

シリアに来たばかりで現地の友達がいない時期、私の住居に関する悩みはアラビア語を使う頻度とシリアの生活文化に触れる機会が少ないことだった。下宿先には世界各地からの留学生が8人もいて、家の中では英語が公用語。アラビア語を唯一使うのは授業に出ているときと買い物に行くときくらいだった。言語も去ることながら生活形態までもが過半数の欧米人に圧倒されつつある旧市街での生活だが、家の外でも自主的に動いてこの点さえ乗り越えてしまえば、外国人慣れしたキリスト教地区での生活は適度な干渉とプライバシーがあり楽しく過ごせる。


執筆:白石美紗緒
アラブ イスラーム学院卒業生


(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2005年 アラブ イスラーム学院