アラブ圏を旅してみたら
 

【イエメン I】

(マナカ→ホーハ→タイズ→シャハラ→サアダ)



「地方の駅みたい」
首都サナアの空港に到着した時、夫がそう言った。
トランジットでドバイ空港に寄った後なので、特にそんな印象が強い。
「アラブの最貧国」と言われるのがわかる感じ……

 入国審査には黒い民族衣装で眼しかだしていない女性達が並んでいる。
本人確認がちゃんとできるのか?
 そして行列に飽きた地元民達は審査官のいない所から勝手に出て行ってしまっ ている。
なんでもありの空港だ……

 そんなイエメンは他のアラブ諸国とは違う雰囲気が漂っていた。
男性はちょっと薄汚いアラブ服にジャンビーアと呼ばれる半月刀を刺している。安っぽい表現 だがアラビアン・ナイトの世界にタイムスリップしたかのようだ。町は停電・断 水も多く、夜ろうそくで過ごす事も多かった。

 女性は皆、黒いアバヤ姿。車の運転はしていいらしいが、仕事をしている女性 はほとんど見かけなかった。
 滞在中は私もアバヤを着ていた。日本にいる時に何度もイエメンを訪れている 友人に言われていたので、サナアで買った。店の店員は勿論男性だったが、たま たま買い物に来ていた女性達が私にいろいろアドバイスをしてくれた。アバヤを 着ているとあまり目立たないし(鼻が低いから? 目しか出して無くても日本人 とわかる)何より女性が声をかけてくる。
 残念ながら英語を話す女性はあまりいない。私も片言アラビア語なので話がは ずまないが……彼女達は日本(と言うより外国?)には興味があるようだった。

サナア:外出時、女性は黒いアバヤ姿
サナア:外出時、女性は黒いアバヤ姿


 私たちはホテルで四駆をチャーターしてイエメンの西半分を回ることにした。
イエメンではガソリンの高騰でバスなどの値段が上がり、7月に暴動が起きた程 で、チャーター代も聞いていたよりだいぶ値上がりしていたが、旅の最初でもあ るし、パーミットを取る手間も省けるので選んだ。イエメンでは首都サナア以外 に行くには許可が必要なのだ。運転手兼ガイドのハサンは多少英語を話す女好き のお調子者で、レバノンのTV番組が大好きだった。(女性シンガーが肌を露出 しているかららしい)

 そんなハサンも大好きな、イエメンでは欠かせない「カート」と呼ばれる葉っ ぱがある。
男性は昼12時を過ぎるとカートを噛み始める。
女性もやるようだ が、家の中にいるのであまり見かけるチャンスはない。
まあ、一種の興奮剤のよ うなもの。これがまたかなり渋い。
昼から少しずつかみ続け、頬に溜め込んでい くので、夜には頬がこぶのようになる。

立派なカートこぶ
立派なカートこぶ


 郷に入れば郷に従え。カートをしていると地元民の受けがいい。夫も人々に勧 められると嫌々ながら噛んでいたが、そのまま町を歩いていると町民や兵士もニ コニコと声をかけてくる。「カートやるのか、これも噛め」と彼らが持っている 新しい葉をくれる。いつのまにかカート長者だ。女性はアバヤ姿、男性はカート をしているとイエメン人に受け入れられやすいと思う。(カートはほんの少し噛 むだけで、少し頬がふくらんでいればOK)

 ハサンは案内の途中、カート市場でカートを仕入れ、良く私に葉をちぎらせた のだが、良い葉悪い葉があるのかないのか、どういう基準で噛む葉と噛まない葉 を選んでいるのか最後までわからなかった。
 イエメンの人は本当にカートが大好きだ。どの町にもカート市場がありいつも 大賑わい。ちゃんと働けよー、と思うほど皆カートに夢中だった。

 カートがある限りイエメンはずっと発展とは無縁なのではないかと思う。
しか し、カートを取り上げたら暴動が起きそうだ。
イエメンは当分「古き良きアラビ ア」でいてくれると思う。


筆者:丸山 範子      
アラブ イスラーム学院 学生

(2007年1月30日更新)

                

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