アラブ女性
 

【イスラームにおける女性の仕事】
 

イスラームは地上における文明の建設を人間の手に委ねました。当然のことながら建設には行動が欠かせません。つまり、行動を起こす事・仕事をすることはイスラーム的視点において人生における第一の義務と言えます。この宗教が善行を人々に呼びかけるときに最も強く禁じていることは、無職でいることです。他力本願を禁じています。至高のアッラーはアルクルアーンの多くの箇所で、信者たちに働くことを命じています。

『(かれらに)言ってやるがいい。「(善い事を)行え。アッラーはあなたがたの行いをご存知であられる。かれの使徒と信者たちもまた(見ている)。」』(タウバ章105節)

『かれこそは、大地をあなたがたに使い易くなされた方である。それでその諸地域を往来し、かれの糧を食べるがよい。そして復活の時には、かれに召されていく身である。』(アルムルク章15節)

イスラームにおける善行とは、信者たちの役に立つすべての行動です。人間が理性と自由意志でもって正しく安全に行ない、人間の生活を豊かにし、向上させるための精神的、物質的価値を生み出すべての活動が善行に含まれます。

そして、本題であるイスラーム的視点による女性の仕事に関して言えば、それは人間が地上の発展のための責任をアッラーから課されているということに関係があります。預言者ムハンマドは次のように言いました。「自分の体を使った仕事をしたために疲れて夜を迎えたものは、罪を許された者である。」

この預言者ムハンマドの言葉からわかることは、預言者はこの言葉を男女わけ隔てなく、すべての人々への言葉として言ったということです。すなわち、何人たりとも「イスラームは女性が働くことを拒絶している」と言うことはできません。イスラームは女性に働くことを許しました。また女性が仕事を持つことを禁じなかっただけでなく、女性にふさわしい地位を与えました。またイスラームは女性を社会を構成する一部であり、強化させるものとしました。社会は男性と女性両者によって均等に進歩するのです。

至高のアッラーは次のように仰りました。『誰でも善い行いをする(真の)信者ならば、男でも女でも、われは必ず幸せな生活を送らせるであろう……』(アンナフル章97節)

イスラームは女性が仕事を持つことを女性の権利の一つとしました。そして女性が行なうにふさわしい、女性の本質に反しない活動や仕事を持つことを許可しました。ただしこれらの仕事は、女性の尊厳を守り、女性をアッラーがお創りになった素晴らしい本質に相反する、不躾なものから守るものであるという条件のもとに許されるのです。男性は彼の本質にふさわしい、男性が精神的・肉体的に可能な仕事をして、女性もアッラーの法や、社会の習慣に反することのない、彼女の本質にふさわしい彼女の力に見合った仕事をするのです。
 
イスラームが女性が家の外で働く場合の条件として定めた最も重要なことは、彼女が仕事のために、女性の基本的な仕事である母や妻としての義務の履行を果たせなくなることがないようにしなければならないということです。また、その仕事が彼女を女性的な特徴から遠ざけないということです。つまり女性の仕事が女性の本質にふさわしくなければならないということです。ですから女性は肉体的な強さや厳しさを必要とする土木作業や重い物を運ぶ仕事は行ないません。また女性は、彼女の仕事をイスラームで定められた服装で行なわなければなりません。また男性がより行なうのが相応しい仕事の場に出て彼らと競い合ってはなりません。

イスラームの歴史はこれまでに様々な分野で、様々な専門職をもって活躍する女性たちを生み出してきました。以下はその要約です。

1− 女性は社会で、商売に参加し、売買を行ないました。アラブ女性の中でこの職業についていた最も有名な女性は預言者ムハンマドの最初の妻であるハディージャやウンムルムンズィル ビント カイスなどでした。

2− ムスリマ(イスラーム教徒の女性)は医学・産婦人科・看護に関する分野で活躍しました。例えば信徒たちの母と呼ばれる預言者の妻アーイシャは、人々から「イスラーム法と医学に関してアーイシャより知識を持っている人は見たことがない。」と言われていました。またカイーバトゥルアスラミーヤはモスクの中に負傷者や病人用のテントをもって治療に当たっていました。また預言者のおばであるサフィーヤのもとにいたサルマーは産婦人科の分野で活躍しました。

3− 加えてイスラームの歴史上、女性には様々な仕事がありました。革製品の加工や毛糸や毛や綿による編物、テントや帽子や洋服を編み、縫うこと、乳を搾り、駱駝を放牧し草を摘むことなどです。皮をなめす分野で有名だったのはアスマー ビント ウマイスや預言者の妻ザイナブでした。預言者はこれらの女性の仕事を奨励して、「ムスリマが家で行なう最もよい楽しみは編物である。」と言いました。

4− また農業に関しても女性は男性とともに働きました。種を蒔いたり水を撒いたり肥料を撒いたりしました。これは当時のムスリマたちによく見られた光景でした。

5− また女性にはジハード(聖戦)参加が義務付けられていないにも関わらず、女性の本質に見合った行動でジハードに参加しました。負傷者たちの治療をはじめ、戦士たちの世話や食事の準備、そして彼らの士気を高めることでジハードに参加したのです。特に名が知られているのはヌサイバ ビント カアブ アルアンサーリーやアッルマイダーやウンム ハラームなどでした。

6− また教育分野に関する女性の影響は非常に大きなものでした。女性たちは学習の場や預言者のハディース(言葉)を聞くことに非常に熱心でした。それだけではなく、女性たちの何人かは預言者の妻アーイシャやアッシファー ビント アブドッラーのように宗教的学問の権威者となりました。

このようにイスラーム初期において女性は様々な仕事をこなしたにも関わらず、彼女たちの生活における最も基本的な役割を忘れることはありませんでした。そして家庭こそが彼女たちの自然な職場だということを忘れませんでした。また彼女たちの夫、そして家庭に安定とやすらぎを与えることがアッラーが彼女に与えた最も重要な仕事だということを忘れませんでした。ただしアッラーが彼女の重要な仕事を成功させ、家事をこなし、母や妻や主婦としての優先事項をこなしてもなお、社会のために働くことが可能であった場合にはそれを実行したのでした。

最後に一言付け加えるとすれば、皆さんに紹介したようにイスラームは女性が外で働くことを許可しましたが、外で働くことを義務付けることはありませんでした。女性が外で働くかどうかは彼女が自分の意志で彼女の状況により選択することであり、彼女の扶養義務は彼女の所有財産の多少に関わらず、また外での仕事を持っているかいないかに関わらず、その女性の父あるいは夫に課されるのです。

このようにしてイスラームにおいて女性は、無知から長く続いたそれ以前の状況から解放されました。

以上のことからイスラームの女性に対する立場は4つのことに要約されます。

1− 女性はアッラーによって創造された男性と財産・権利などにおいて等しい人間であり、彼女の本質にふさわしい義務が課されています。

2− 女性は男性とともに人間社会の半分を構成しています。

3− 両性のあいだには善行とアッラーへの畏敬の念によって以外には差はありません。

4− 女性には女性の精神的・肉体的特質があります。

今回はサウディアラビア建国前の女性に関する基本的なことを紹介しました。次回はサウディ建国後の女性について詳しくお話することができると思っています。

筆者:ラシャー アルマンスーリー
アブドルアジーズ国王大学 生物化学元研究科

                

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