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サウディアラビア王国では、人々が非常に家族を重要視することで有名です。また家族愛・家族間の結びつきの強さでも有名です。ですからサウディ社会では、個人は家族によって生かされ、また家族の一員が起こした問題によって困難を背負うことになります。ここで私が言う「家族」とは夫と妻とその子供達という小家族ではなく、祖父母とその子供達・孫たちという大家族です。そして時にはこの祖父母の兄弟姉妹、また祖父母の家族(親戚たち)をも含みます。家族がどのように構成されていくのか、またどのように社会を支える最初のレンガを並べていくのかを説明する前に、簡単にサウディの家族の生活様式・習慣を説明しましょう。
例えばサウディアラビア人の男性であれ女性であれ、家族の意見を聞くことなしに人と約束することはありません。つまり「夫・妻・子供達・家族」の状況をみて約束できるかどうか決めるということです。また家族(この家族も小家族ではなく大家族を指しています)で集まる日が決まっています。ですから私には大勢の友人たちがいますが、彼女たちと合う約束が週末に取り付けられることはありません。この集まりは時には毎日、あるいは毎週・毎月と行なわれます。最低でも結婚式やイード(宗教的な祝日)ごとに集まるのです。そしてこの集まりの中心となるのは祖父・祖母などの一番年長の者、あるいはかれらのような立場にある兄弟の年長者、年長の伯父たちです。この一家の大黒柱ともいえる者たちはただ単に客として大家族のメンバーを家に迎え入れるだけでなく、彼らの問題を解決したり、必要なアドバイスをしたり、援助が必要な者を助けたりします。
またこれは近年まで人々に知られていた習慣ですが、父親はその息子を結婚させた後、息子とその妻を自分の家に同居させ、息子は自分のできる範囲で家計を助けます。家計が父親ひとりに課せられるのを緩和するためです。その息子の家族が大きくなって自分たちの家に独立して住むことになった場合も両親の家のそばに住むことがほとんどですし、その息子が実家に同居し続ける場合もあります。私たちの国にはこのような習慣があります。
当然のことながら、この習慣は両親の経済状況、また家の広さ、家族の構成人数という条件の上に成り立っています。残念ながらこの習慣は徐々に廃れてきてしまいましたが、子どもが両親を頼ることはたとえ違う街に住んだとしても生涯続きます。また子供は大人になっても両親の言動に敬意を表し重んじます。子供たちは両親に意見を求め、多くの人々は自分の妻と子供たちを両親より優先させることはありません。また妻もこのような状態を快く受け入れ、自分もまた自分の両親に同様に行ないます。このようにサウディ社会の基本となっているのは家族の年長者に敬意を示すことなのです。
これが私の愛する祖国の大人と子ども・近いあるいは遠い親類たちを含む家族の姿です。この家族関係が私が日本で最も恋しいと感じたことでした。私はこのような大家族の中で生まれ、育ちました。私の父は母と結婚し、私の祖母の家で暮らしていたので、私は常に祖母、伯母(叔母)・伯父(叔父)たち…当然のことながら父と母と兄弟姉妹たちに囲まれて育ちました。結婚してからもこの大家族会議(?)は毎週行なわれ、家族が全員集まり、週末は笑い声が家中に響き渡っています。週末の集まりが終わり、実家を出るときにはいつも涙が出てきてしまいます。子どもの頃は夏休みが待ち遠しかったのを思い出します。同年代の親戚の子供たちが私の家に泊まり、何日も遊び続けていられるのですから。祖母は非常に賢く愛情深い女性でした。私はいつも母が祖母に愛情と敬意を払っているのを見ていました。
父が母を怒らせたときには、母は祖母のところに父に対する不平を言いに行きます。すると祖母は母の気を静め、父に対して何をするべきかをアドバイスするのでした。次に祖母は父の所に行き、父を非難すると、父は自分の母親である祖母の言葉にきちんと耳を傾け、最後に「わかりました、お母さん。」と言うのでした。私はこのことを父と母の両者から聞きました。母が私を厳しく叱る時に私が祖母のもとへ逃げると、祖母は私を母から庇ってくれました。しかし、母が怒りながら部屋を出て行くと祖母は私の耳元で優しく私に注意し、両親への親孝行を説き、私を残して部屋を出て行くのでした。
こうして私は祖母の温かさ・愛情・英知のもとに温かい家庭環境で育ったのです。祖母はいつも彼女の手で食べ物を食べさせてくれ、私を愛情で包み込み、私が病気になった時には涙を流し、私を結婚させることを夢見ていました。そしてこれらのことは私に対してだけ行なわれたのではなく、家族全員に対して行なわれていました。のち祖母(アッラーが彼女に慈悲を垂れてくださいますように)は亡くなり、家族全員が祖母を失ったのです。ですが父が彼女の意思を受け継ぎ、祖母と同様に家族(大家族)のために門を開いたのでした。以前のようには毎週この集まりが行なわれることはなくなったものの、大家族の集まりはいまだに続いており、子供たち(祖母のひ孫たち)が以前と同様に楽しい笑い声を聞かせてくれています。
私の家族の話は数多くある温かみに満ち溢れたサウディ家族の話のほんの一例にすぎません。次回はどのようにこの家族が形成されていくのかを紹介していこうと思います。
筆者:ラシャー アルマンスーリー
アブドルアジーズ国王大学 生物化学元研究科 |
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