アラブを見つめて
 

【反抗】



 あなたはテレビの前に座り、いつものように大音声でテレビを観る。あなたの 友人たちは、時々、あなたの耳が良く聞こえないのではないか、と言うけれど、 あなたは本当は良く聞こえていて、何の苦痛も感じていない。

 ただ、あなたは平凡で平穏な物事に反抗するのを楽しみとしているだけで、強 い意志を持って、家でも外でも周りの人々の権利を侵害し、決してその限界を知 ろうとはしない。

 家で、あなたの奥さんは、あなたがいつでもニュースやスポーツ番組や歌番組 にばかり集中しすぎて、自分との話し合いを避けることに不平をもらす。そし て、彼女は胸の中にあることを表そうとするけれど、あなたは彼女の言葉を聞か ず、話し合いを拒み、テレビが観たいのなら他の場所を探すよう彼女に言う。

 彼女はあなたのその不当な決定に従わざるを得ないけれど、心の中であなたを 独裁者だと訴える。しかしあなたは自由を唱える人。あなたは、どんな支配も受 けず、あなたの前の道を塞ぐかもしれないどんな力にも属さないと感じている。

 外に出てあなたは道で車を走らせ、窓を開けて人々に自分の持っている音楽を 聴かせなければ気がすまない。人々の視線や厳しい言葉を気にかけないこともあ るし、時にはわざわざ車から降りて、自分に向けられる人々の反応のすべてを楽 しもうともする。公道の権利を侵害する者に対して向けられる当然の反応を。

 そしてあなたは何度もクラクションを鳴らす。しかし、誰もそれを気に留め ず、他人へのその迷惑行為に異を唱えなかったりすると、そんな時、あなたは気 に入らない。駐車場やセンターでどこでも自分の車を停めて道を塞ぎ、あなたは 遠くに立って、そこで車を出そうとしても出せないで困っている人を気にかけな い。

 あなたはある店に入り、「立ち読み禁止」と書かれ、立ち読みするだけして買 わずに逃げる者たちに悩んだ売り子がホッチキスで止めた新聞の前に立ち止ま る。

 あなたは深くゆっくりと息をして、新聞の一面の各見出しにざっと目をやる。 売り子は座ったまま何も言わない。そこであなたは売り子への返答を用意して、 新聞を一部つかむ。ホッチキスで止めてあっても少しも動じず、上から下まで目 を通し、すべての見出しを読む。それからやがて新聞を開こうとすると、売り子 は椅子から立ち上がって怒り、あなたが読むことを拒む。

 しかしあなたは平静を保ったまま売り子に話し、自分は大事なニュースを探し ていて、見つかったらそれを読んで、それから新聞を買うのだ、と言う。売り子 はあなたの言葉を信じ、あなたは立ったまま新聞を読む。

 売り子はあなたにイライラしているけれど、あなたは彼の苛立ちを全く気にし ない。やがてあなたは新聞をそこに放り投げ、ありがとうの一言も言わずに平気 で立ち去る。

 売り子は、「ちょっとあなた、新聞読む、駄目。。。(※アラビア語の不完全 さで、売り子が外国人労働者であることを示しているようである)」と叫ぶ。し かしあなたは気にせず、返事もしない。あなたは、文明を謳うどんな社会の中で も従われるべき日常の掟や制度を破って、喜びを感じる。

 家へ帰る途中、あなたは車の窓を開けて、手に持っていたペプシの缶を投げ捨 てる。人々の厳しい視線があなたの上に落ちる。あなたは反抗者であり、騒動や 迷惑をかけることを好む。あなたは他人の自由を奪って喜びを感じ、自分専用の 自由のスタイルを作り出し、その中に安住している。

 そして、あなたは、自分がすべてに反抗し、他人の自由を侵害し、認められな い自由に同調するのは何故なのか、その理由を求めて頭を疲れさせたりはしな い。あなたは心の空虚さを感じ、人間的活動をすっかり止めてしまっている。

 あなたは自分の心が分解しているように感じ、どんな問題にも立ち向かう力が ないと感じている。問題に立ち向かったならば、それはあなたに愚かさとは無縁 の暮らしをもたらし、あなたは確かな意識に目覚めて、他人の権利や存在を確信 するであろうし、自分が他の人々と共に社会の責任を担う存在なのだと感じるで あろうに。

 おそらく、多くの考察によってあなたは物を思い、勇気や責任を持って考える ようになるのに。あなたの前の災難の始まりに目をやりながら。

 さて、あなたには、変わることや変えることが果たしてできるだろうか?



筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年12月4日更新)

                

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