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アラビア書道

 

アラビア書道の主な書体

現在アラビア書道において使用される主な書体の名称とその例は次の通り:
 

●ナスヒー書体

コーランの本文を書写するために開発された書体で、最も標準的な形をもつ。その文字は、装飾性は少ないが、最も読みやすく、アラブ世界において印刷用活字書体として広く使用されている。また、この書体を現代的にシンプルにした書体もあり、「モダン・ナスヒー書体」という名称で、新聞・雑誌などの見出し用文字として多く使用されている。

ナスヒー書体

●ルクア書体

アラブ人が通常手書きで文字を書く時に使う書体。しかし、これは書道の一書体としてもはっきりとした文字の形をもっている。その特徴はシンプルさと線の力強さにある。この書体は他の書体のような格調高さ、芸術性は少ないが、何行にもわたってたくさん書かれると全体的な文字の流れの美しさが出てくる。これは広告用の大きな文字として使われることも多い。

ルくア書体

●ディーワーニー書体

オスマントルコ帝国の政庁<これをディーワーンという>で開発された書体。スルタンが発布する勅書などがこの書体で書かれた。これは、その当時政庁以外で使用することが禁じられていたほどの権威のある書体であった。オスマントルコ帝国が滅びてからはこの書体はアラビア書道の代表的な書体そして、格調高さを要求されるような文書、たとえば政府から出される書類や人の名前や賞状などに多用されている。その特徴は曲線文字の大胆な流れと流麗さにある。

ディーワーニー書体

●スルス書体

コーランの章句を大きく特別に書くために開発された書体。この書体は11世紀までに確立された伝統六書体の一つで、「書体の母」といわれており、アラビア書道の書体の中で最も芸術性の高いものである。そのアルファベットは最高に洗練された形をもっている。スルス書体は右から左へと1行に書かれるばかりでなく、文字を何層にも重ねて丸形、四角などに仕上げたりすることが多い。この書体には厳格な書法があり、それを守って書かない限り、スルス書体と呼ぶことはできない。その書体の特徴は何といっても線の力強さと深みのある動きにある。

スルス書体

●ナアス・タアリーク書体(ファーリスィー書体)

これは14世紀頃ペルシャで開発された書体で、スルス書体と肩を並べるほどの高い芸術性をもっている。この文字は他の書体とは全く異なる形をもち、流れるような流麗さ、優雅さが特徴である。この書体は宗教的な文書よりも、特にペルシャの詩集などにもっぱら使用された。

ナアス・タアリーク書体(ファーリスィー書体)

●クーフィー書体

イラクの南部にあるクーファという町で開発されたということでこの名称がついた書体。これは、漉いた紙がアラブに導入される以前から存在した古い書体で、パピルスに書かれたり、石に刻まれたりした。その特徴は直線や円による幾何学的な書体であることである。現在では日常生活で使われることは稀であるが、それに唐草模様を配した豪華なデザイン文字は依然として人気があり、装飾書体として使われている。

クーフィー書体


その他に、マグリビー(モロッコ)書体、ムハッカク書体、ライハーニー書体、タウキーウ書体、リカーウ書体などがある。

 

アラビア書道で使う筆の作り方

アラビア書道では毛筆ではなく、ふつう細い葦あるいは竹の棒の先端を彫刻刀の平刀のような形に削った筆を使用する。その筆は文房具店などでは通常売っておらず、書道家が自分で作るものである。なぜならばこの書道は本職の書道家以外一般の人は趣味としてあまり行わず、また筆も書道家によって微妙にもち方が異なるため、自分に合ったように削り、先端部分を調整していかなければならないからである。

一般的な作り方の手順は次の通りである:

1. 棒の先端を2、3センチの所からえぐるように鋭利にカットする。横から見てなるべく外側と平行に薄く平らな部分を1センチ位削り出す。
2 その平らな部分の両側を丁寧に削り上げる。先端部分がその筆の幅になる。アラビア書道の筆は毛筆のように筆圧を変えることによって線の太さを変えるということはできない。その筆の最大幅はここで削った先端の幅になる。従って太い筆を作る時は先端部分をできるだけ太く残し、また逆に細い筆を作る時は先端部分を細くする。この書道では書く字の大きさに従って幅の異なる数本の筆が必要になる。
3 木の台などに押し付けて固定し、先端を斜めにカットする。カットする角度は正面から見て左上がりで約20度位。この角度について、人によって筆の持ち方が違うので一概には言えない。筆を立てて持つ人は角度が少なくなるだろうし、逆に筆を寝かせ気味に持つ人は角度が多くなる。また書体によって角度は異なると言われている。なお、この先端部分のカットは大ざっぱに行うと先端を割ってしまうことになるので、鋭利なナイフあるいは細かい歯のノコギリで注意深く切ることが必要である。
4 先端部分の裏側すなわち外側の丸みを内側と平行になるようにナイフで丁寧にカットする。そして、先端から見て刃物の刃のようになるまで鋭く仕上げる。
5 正面から見た平らな部分に割れ目を入れる。その長さは葦や竹の材質の堅さによって違う。堅い材質の場合は比較的長く、柔らかい場合は短く入れる。いずれにせよ割れ目を入れる目的は筆に墨(インク)を多く吸い込ませるためである。

これで基本的な形は完成。筆の持ち方は普通に鉛筆やペンを持つ持ち方と同じである。

 


 

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