ヤンブー工業地帯

ヤンブーは東部のジュベイルと並ぶ、サウジの2大工業地帯の一つである。
まずサウジ・ヤンブー・ペトロケミカル・カンパニーを見学した。ここは、東部地域で採掘された天然ガスをパイプライン経由で運び、精製している。工業製品の原料として使用できる形にするためである。設備は外国で組み立てられ、運ばれてきたものを使用している。経営者も会社発足時はほとんどが外国人であった。だが現在では徐々にサウジ人へ引き継がれてきているようだ。

広大なアラビヤ半島を横断するパイプラインを建設してまで西部に工業地帯を作るのは、東部への産業集中を防ぎ、国土の均衡な発展を促すため、さらにはヨーロッパへの輸出コストを削減するためである。
この工業地帯ではエチレン、ポリエチレン、エチレングリコール、ポリエステルなどが精製され、輸出される。原料を送り出す役割から、製品を作り出す役割へ。この工業地帯はサウジの変革の一環を担っているとのことである。
ヤンブー民族舞踊団

ヤンブー到着初日の夜に、夕食を兼ねて民族舞踊団を見学した。ヤンブーの民族舞踊団はアッバース朝から続いているそうで、非常に長い伝統がある。
民族舞踊団はいかにも伝統的なアラブらしい服装をしていた。トーブの上に色のベストを着用しており、頭には色のターバンを巻いている。そして手にはアラビヤ語の書かれた大き目のシンバルを持っている者もいた。
はじめに、舞踊団は二列に向かい合いながら歌い始めた。それがしばらく続くと、次に舞踊団は座って円を作った。そして、その空いたスペースで私たちはサウジアラビアの学生と一緒に踊ることになった。ここで私たちは、踊りに使うようにと剣を渡された。友達になったメディーナからの学生は、その剣を使いながら踊りを見せてくれた。とても美しく、これには魅せられた。その踊りを見て日本人学生も踊ってみたが、なかなかうまくいかなかった。それでもみんな笑顔で楽しそうに踊っていた。

これで民族舞踊団を見学するのはダンマームに引き続いて二度目である。ダンマームの民族舞踊団と比較すると、踊りに剣を使用するなど似ている点も多い。しかし、異なる点もあった。それはダンマームの舞踊団が打楽器を中心にするのに対し、ヤンブーの舞踊団では打楽器に加えて弦楽器も中心的な役割を持つということである。特に日本の琴に似た弦楽器の美しい旋律が印象的だった。
ヤンブーの公立高校見学
一月五日の朝、我々はヤンブーの公立高校を訪問し、英語の授業をサウジ人高校生に混じって受けさせてもらった。クラスは、部屋の大きさが日本と大差ないのに比して人数は25人、日本の大体半分の数だ。
先生が授業を始めた。先生はサウジ人で、ネイティヴのようにきれいな英語を話す。その英語を駆使して、授業中の先生と生徒とのやり取りは全て英語で行われる。日本では日本語が授業中でも先生と生徒との会話に使われるのとは対照的だ。サウジ人の高校生は上手に英語を話す。これにたいして日本人は英語の読み書きは得意なものの喋るのが不得手だと言われる。サウジ人が英語を話せるのは、日頃から授業で、英語を話す訓練を受けているからだろう。日本の学校にもこれは取り入れる必要があると感じた。
また、サウジ人の学生は先生の問いかけに対して自ら手を挙げ、とても積極的だ。そのため、先生が次々に質問を生徒に投げかけることもあって授業のスピードが速い。僕の高校に限って言えば、先生が生徒を指名しないと生徒が反応せず、授業も進まないことがしばしばだ。サウジアラビアの高校全てについていえることかどうかはわからないが、先生の教え方が上手だと思った。
しかし一方で、文法については基礎的なものが多く、進度も日本に比べて遅いようだ。僕は高校三年生の英語の教科書を見せてもらったが、彼らが高校3年の
最初に学ぶ文法項目は、“Do you - ?”ではじまる疑問文なのだ。日本では、これを中学1年の時に終らせてしまい、高校三年生ではもっと複雑な事をやっている。
ここの高校を見学したのは1時間に満たなかったため、知り合いを作るまでにはならなかった。しかし、サイエンスクラブの高校生とは多くの友達になり、現在もメールをしている。メールには、「私」を示す“I”が大文字になっていなかったり、「あなた」の“you”が“u”と表記されていたりと、ところどころミスがある。それでもサウジ人高校生の英語会話力は日本人のそれを大きく上回っている。僕が現地校の高校生と話したときも、その彼は流暢な英語で僕と話していた。サウジ人は会話に強く、日本人は読み書きに強いのかもしれない。もしサウジアラビアの高校生が、今よりも難しい文法を勉強するようになったら、彼らの英語力はずっと強くなると思う。
今回の訪問で、僕は日本とサウジアラビアの英語教育を比較して、両方の国の良い所、そして改善できる所を見つけることができた。僕が感じた事を、将来なんらかの形で生かせるように努力したい。
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