サウディアラビア友好の旅

キング ファハド インターナショナル スタジアムで関係者と筆者(右から3番目)
キング ファハド インターナショナル スタジアムで関係者と筆者(右から3番目)

 日本で開催された2002年のサッカーワールドカップで、サウディアラビア代表チームにキャンプ地を提供した調布市の担当者として、また、キャンプ終了後に市民の交流を目的として発足した調布市サウディアラビア友好会会員として、サウディアラビアへの訪問は、仕事の完結という意味でも、夢の実現という意味でもどうしても果たしたいことでした。

 その2年越しの夢が実現し、首都リヤードとジェッダの2都市を12月27日から1月4日にかけて訪問することができました。

 12月28日の深夜0時30分にジェッダ空港に到着、女性は全員が黒いアバーヤとスカーフに身を包み飛行機を降り立ちました。その日は、ハリール博物館とオールドジェッダを散策。

 紅海に面したジェッダは古くからマッカ巡礼の要衝として栄えた商業都市であり、日本でいえば「堺」のような街だと聞きました。当時からの古い街並みを残す旧市街オールドジェッダを散策すると、広場や路地のたたずまい、商店の売り子や客の風情、そして、夕方になると路地のあちこちで男性達がのんびりと水タバコを吸ってくつろぐ風景に、日本の下町のような懐かしさを感じました。
ジェッダの旧市街にある伝統的建築の中でたたずむ筆者
ジェッダの旧市街にある伝統的建築の中でたたずむ筆者

 レストランはほとんど男女が区別されていて、女性はファミリーセクションにしかはいれませんが、この日夕食をとったレストランは珍しく男女の区別がなく、観光客向けにオープンな雰囲気でした。一方、宿泊したホテルはどこも男女の区別はありませんでした。

 翌12月29日はジェッダの豪商ナシーフ家と魚市場を見学しました。ナシーフ家はサウディ建国の祖アブドラアジーズが宿泊した家として保存されています。家の中の階段を緩やかな勾配にしてあるのは、ラクダが上階まで荷を運びやすいようにしたものだと聞き、発想とスケールの違いに驚きました。

 魚市場ではマグロやアジなどの馴染みの魚にまじって、初めて見るカラフルな色の魚や陳列方法に文化の違いを見つけて大変興味深く、いつまで見ていても飽きることはありませんでした。夕食は駐日大使として日本に滞在されたことのあるクルディ氏のご兄弟であるムハンマド クルディ氏宅に招待していただきました。クルディ元大使の長男アイマン氏も駆けつけてくださり、皆さまの心温まるおもてなしに楽しい一夜を過ごすことができました。

 12月30日は国家警備隊に属する公立女子小学校を表敬訪問しました。サウディアラビアの学校は男女別学のため、女性2人だけが訪問を許されましたが、校門をくぐるなり子ども達からのフラワーシャワーによる心のこもった歓迎を受けました。

 日本の折り紙を実演して見せてあげた後、1年生から6年生までの授業を見学させていただきましたが、子ども達はとても授業に集中していて日本の小学校との違いを痛感させられました。先生方からは、女子教育に対する並々ならぬ熱意とともに、外国の情報を貪欲に吸収しようとする強い意欲がひしひしと伝わってきました。

 また、これまでは男女で別れていた教科書が近いうちに統一されることや、公立の女子小学校では体育の授業がないことなど日本と違う点を数多く知ることができました。

 12月31日はリヤドに移動。リヤドは砂漠のオアシスに造られた首都で、世界の建築技術の粋を結集した近代的な建物が随所に見られ、ジェッダとは全く異なる人工的で乾燥した街といった感がありました。

 年が明けて1月1日の早朝、ホテルの部屋に流れ込むお祈りの時間を告げる朗々とした声に眼が覚めました。イスラームの国に来ていることをしみじみと実感し、その声が体に沁みこんでくるようでした。

 1月3日はサウディアラビア・サッカー協会を表敬訪問し、調布市長のメッセージをお渡ししました。サッカー協会の施設を案内していただいた後、キング ファハド インターナショナル スタジアムを見学しましたが、素晴らしいピッチのスタジアムが印象的でした。

 近代的な施設と伝統的イスラム文化との融合、国が推進している各種の改革など、初めてのイスラムの国サウディアラビアへの旅は全てが新鮮で大変興味深いものでした。行く先々での心温まるもてなしを受け、この旅がサウディアラビアの人々と調布市民の友好を更に深めたものと確信いたしました。

 最後に、今回の旅にあたって多くの方々のご協力とご好意をいただきましたことに対し心から御礼と感謝を申し上げます。
荻本末子(調布市サウディアラビア友好会会員、
調布市教育委員会社会教育課長)


(※役職名等は、すべて当時のものです)


転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.212 March2004

(2007年9月14日更新)













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