初めてのサウディアラビア取材記
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 イフバリヤ・テレビのジャナドリヤのセットが用意されたスタジオで、 同テレビの初代女性部長フダ・サバーグさん(中)と筆者(右)、助手(左) |
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| 朝日新聞記者 有吉由香 |
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2月下旬から10日間、初めてサウディアラビアを訪れる機会に恵まれた。
私の中にあった漠然としたイメージといえば、王国、アラビアのロレンスが駆け抜けた砂漠、イスラーム教の二大聖地。残念ながら、2001年の米同時多発テロやサウディ国内で起きたテロのイメージも強い。思いつく風景をいくつ重ね合わせてみても、そこに暮らしている人が見えなかった。今回の取材は「サウディの女性」をテーマになるべく多くの女性たちに会ってこようと思った。
目だけを出したサウディ女性を初めて見かけたのは、トランジットのドバイ空港だった。薄い生地のアバヤ(黒衣)をたなびかせて優雅に歩いている。その女性の手元をすれ違いざまに見ると、コーンにのったアイスクリーム。ベールのどこから差し入れて、どうやって食べるのかと、そのときには不思議に思った。
空港の土産物店で、私もアバヤを買ってみた。裾を踏んでしまったり、ベールがずれて肌が見えてしまったりすることもしばしば。そのたびに敬虔なイスラーム教徒の助手から注意された。
リヤードとジェッダでの取材で、医者、教員、新聞記者、専業主婦、実業家ら様々の立場の女性に会うことが出来た。政府が進める改革の影響もあって、少しずつだが女性の社会進出が始まっているようだった。約1年前に7人の女性アナウンサーを初めて採用したイフバリヤ・テレビにも取材した。
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 イフバリヤ・テレビのスタジオでニュースを読む女性アナウンサー |
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初代女性部長のフダ・サバーグさんは「保守的な男性は女性がメディアに出るのを認めないのが問題ね」と話した。女性アナウンサーが登場したときには、苦情の電話が相次いだという。現在の悩みは顔を出して出演してくれる女性ゲストが見つからないことだそうだ。
取材した女性たちにほぼ共通していたのが、車の運転の解禁を望んでいること。運転手を雇うのは経済的負担が重く、買い物や子どもの送り迎えに自分で行けないというのはどう考えても面倒だろう。また、日本と比べて、サウディの女性は早婚で多産だ。家族という枠組みも根強い。14歳で結婚して7人の子どもがいるという女性にも会った。子どもが何人いても働けるのは、メイドを雇うことが当たり前の社会ならではと思った。
ジェッダでは、アラブ・イスラーム学院の文化・広報担当のブカーリ・イサムさんのご厚意で、弟さんの婚約式に招いて頂いた。夜11時すぎ、カサブランカ・ホテルの2階の女性専用会場に着いた。スパンコールやビーズ刺繍をふんだんに使ったドレスの女性たちで目映いばかり。
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 ジェッダのカサブランカホテルで開かれた婚約式の女性会場 (女性の写真を撮ることは厳禁なので、会場撮影のみ許された)。 手前は男性側が婚約者に送るアクセサリー |
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アラブ音楽の生演奏が始まり、若い女の子たちは壇上で踊り始めた。テーブルに運ばれるサウディコーヒーやジュース、小菓子をつまみながら、会話や音楽を楽しむのがサウディ流らしい。だが、なぜか中年女性たちの視線が鋭い。「息子のお嫁さんを探す場になっているのよ」とイサムさんの母が解説してくれた。
2時間ほど過ぎた頃、女性たちがそわそわと席を立ってクロークに預けてあったアバヤを取りに行く。照明が落とされ、色とりどりのドレスの上から皆がアバヤを身につけると、会場全体が黒一色に染め直された。ベールで顔も隠している。
主役のカップルの登場だった。この婚約式の主役ですら、婚約者と母親以外の女性の顔を見てはいけないというのには、びっくりした。ビュッフェ方式の料理が振る舞われ、宴は早朝まで続いた。
短い滞在だったが、アバヤの下の素顔の女性たちに接することが出来て、よい経験になった。変化しつつあるサウディに今後も注目していきたいと思う。
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 リヤードのアバヤ専門店。アバヤは一見同じに見えるが、 袖口や袖に刺繍やビーズ飾りなどが付いておりデザインは千差万別だ |
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(※役職名等は、すべて当時のものです) |
転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.214 April 2005
(2008年2月8日更新)
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