豊根村日サ交流活動


豊根村とサウジアラビア王国との交流

豊根村・サウジアラビア王国交流促進委員会 委員長 新木 正明
アドバイザー兼アラブイスラーム学院研究員 鈴木 健


愛知県北設楽郡豊根村は名古屋から車で約2時間、県の東北部に位置する人口1600人の小さな村です。昨年11月に1400人の豊根村と人口200人の富山村が合併し全国一小さな合併として注目を浴びました。雄大な自然、愛知県唯一のスキー場をはじめとする観光地、素朴で温かな人柄など都会にはない貴重な資源を有しますが、地場産業の衰退と共に過疎化・高齢化に歯止めがかからない現状も抱えています。

そんな小さな村が中東の大国、サウジアラビア王国と愛知万博のフレンドシップ事業で交流することになりました。サウジアラビア及び中東地域に関する知識は何もない中でしたが、せっかくの機会を地域の活性化や子供たちの教育にぜひ活かしたいと考え、25名ほどの賛同者を募り交流委員会を立ち上げて活動をスタートしました。

まずはサウジとの交流の先輩である調布市を訪れ、関係者の皆さんから実績についてお聞きしました。そして6月に開催されたサウジカップフットサル大会にブースを設けさせていただき豊根村のPRを行いました。調布市の皆様には深く感謝申し上げると共に、今後も一緒に手を携えていただければ幸いです。

在京大使館及びアラブイスラーム学院の全面的なご協力をいただき、理解講座とサウジアラビア展を開催しました。講師には学院から顧問の片山廣氏、文化広報部長のブカーリ イサム氏にお越しいただきました。小中学校で行った講座では、いつの間に勉強したのか小学生がイサムさんに「アッサラーム・アライクム」と大きな声で挨拶し、講座が終わった後はサイン攻めにあわせていました。たぶん気後れしてしまうのではと思っていましたが、目を輝かせて話しに聞き入り元気よくイサムさんを取り囲んで話しかける子供たちの姿に、企画したこちらが感激してしまいました。また一般の村民を対象とした講座では、年配の参加者からイスラムの教えは戦前に受けた道徳教育そのものであることがわかった、といった感想も聞かれ、アラブ地域やイスラムが身近な存在として村民に浸透し始めたことを実感しました。6月9日には万博会場で「豊根村の日」と言うイベントが開催されましたが、その会場にはサウジパビリオンよりハラワニ館長にご臨席いただき、心温まるスピーチを頂戴し豊根村の伝統芸能「花祭り」を見ていただきました。花祭りは豊根村に400年以上前から伝わる、五穀豊穣を祈って笛や太鼓に合わせ一晩中様々な舞が奉納されるお祭ですが、その中の剣を使った舞に大変興味を持たれ、サウジアラビアにもよく似た踊りがあると言うお話をお聞きしました。いつかお互いの舞を披露し合うことができれば素敵ですね。その日はたくさんの村民がパビリオンを訪れましたが、小学生が館長を囲んで「アッサラーム・アライクム」と大きな声で挨拶し、館長の喜ぶ姿が印象的でした。

7月には東京に留学に来ているサウジ人学生を招き、「ENJOY TOYONE」と題した交流イベントを開催しました。ちょうど豊根村は蛍の飛び交う時期で、夜豊根村入りしたメンバーを蛍が乱舞する場所に案内したところ、初めて見るその光景に皆一様に感動され驚嘆の声を上げておられました。翌日は豊根村で盛んな弓道を村民の指導で体験していただいたり、子供たちにサッカーを教えていただいたり、豊根村の若者チームとフットサルの交流試合をしたりと楽しい時間を過ごし、郷土料理でもてなす食事会で幕を閉じました。帰り際には抱き合って別れを惜しみ、培った友情はお互いの心に末永く残っています。このイベントは毎年恒例の交流事業として定着させていきたいと考えています。

万博も閉幕が近づいた9月9日にはEXPOドームにおいてサウジアラビアナショナルデーが開催され、豊根村からも村民300名が駆けつけました。ヤマニ商工大臣、橋本龍太郎元首相を始めとする両国関係者の臨席の下、サウジの伝統衣装をまとった子供たちが友情をテーマに歌を披露し、同時に交流事業の様子を紹介して会場に大きな感動の輪を拡げました。その様子は夜の記念レセプションの場でも高い評価をいただくことができ、内外に豊根村の取り組みをPRすることとなりました。

これらの取り組みが徐々に関係方面に伝わり、経済産業省が進めるジャパンプログラムのうち人的交流部門に豊根村も参画させていただくこととなりまして、12月にはミッションに参加し私ども2名が豊根村を代表してサウジを訪問しました。2名とも2004年春に外務省主催の日・サ青年交流使節団にも参加しましたので2度目の訪問となりましたが、2年の時を経て変りつつあるリヤドの様子を脳裏に焼きつけ、帰国後村民に報告を行いました。ジャパンプログラムでは今年の夏サウジの高校生を対象とするビジネスツアーについて検討を進めており、実現されれば2週間ほどの期間中5日間を豊根村での滞在に充てる計画です。

今まで経済関係は緊密な両国でしたが民間レベルでの人的交流や文化交流はほとんど行われておらず、一般の国民レベルにおける相互理解という点ではまだまだ隔たりがあると思います。しかし両国が末永く友好関係を続けるにはこうした草の根交流が根付くことがとても重要ではないでしょうか。そんな関係構築に1600人の村が貢献できたら、どんなにか素晴らしいことでしょう。豊根村には小学生はたった50人しかしませんが、日本一サウジアラビアについて知識があり、日本一サウジの人と仲良しな子供たちだと思います。将来彼らの中から世界を舞台に活躍する人材が現れるかもしれません!

そんな夢を膨らませながらこれからも息の長い交流を継続していく予定ですので、関係各位のご支援を心よりお願い申し上げます。

(筆者:共同執筆)


「豊根村の日」イベントで、ハラワニー館長、豊根村村長(右から二番目)、愛知県館館長(中央)
「豊根村の日」イベントで、ハラワニー館長、
豊根村村長(右から二番目)、愛知県館館長(中央)


ナショナルデー・レセプションでトゥラード大使と筆者鈴木氏(9月26日)
ナショナルデー・レセプションで
トゥラード大使と筆者鈴木氏(9月26日)


EXPOドームで、ナショナルデーに歌う豊根村の子供達とサウジ舞踊団
EXPOドームで、ナショナルデーに歌う
豊根村の子供達とサウジ舞踊団
 

転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.216 March2006













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