スルターン皇太子殿下日本ご訪問特集号 7
|
皇太子殿下スピーチ
(早稲田大学に於いて、4月7日)
友情に結ばれた二国の文化的、学術的新しい時代
|
 |
| スルターン ビン アブドルアジーズ皇太子殿下 |
 |

記念講演するスルターン皇太子殿下
|
 |
慈悲深き慈愛あまねくアッラーの御名において
早稲田大学総長 白井 克彦 教授閣下
大学関係の皆様
そしてご出席者の皆様、
皆様に平安が訪れますように。
本日は、この記念すべき名誉博士学位授与式に、皆様とご一緒することができて、本当にうれしく思っています。また、伝統と歴史ある早稲田大学にお招きいただき、心より光栄に存じます。
この機会をお借りして、サウジアラビア王国が建国以来、学問研究を非常に重要視していることを申し上げておきたいと思います。科学と知識は、生命がよりどころとする重要な基礎となるものです。地球が発展し、国家が栄え、文化が多様化する礎でもあります。科学と知識は、継続する発展と現代化のもととなり、また、この宇宙の全能者であるアッラーの創造の秘密を解く鍵でもあります。
親愛なる友人の皆様
サウジアラビア王国では、文化的な関係を非常に大切にしています。文化的な関係こそが国々を親しいものとし、共存するいろいろな文明の間の理解を容易にしてくれる、重要な手段だからです。その結果として、平和を構築し、人生のあらゆる分野で協力と双方の利益のもとに生きることが可能になります。
私は、異なる文化の間に、相互の尊敬にもとづいたバランスの取れた対話があれば、違いを克服し、国々の間の紛争も避けることができると堅く信じています。
今ここで私は、二大聖地の守護者であるアブドッラー ビン アブドルアジーズ国王の呼びかけを強調しておきたいと思います。国王は、文明の衝突という考え方を強く否定しています。国王は、異なる文明の平和で建設的な共存を呼びかけています。国々の間の関係は新しい段階に進むべきだということです。どの国も相手を尊敬し、本当の対話を行う段階です。
大学総長閣下
皆様
この平和的共存への人間の呼びかけは、私たちのイスラーム教の教えにも定められています。全能の神アッラーはこう言いました。
「人々よ、あなた方は男女に、そしてさまざまな国や民族に分けて創られたのは、お互いを知り合うためなのです。アッラーの下で最も尊い人々は、アッラーを畏れる人々です」
まさに肝心なときに聞こえてくる呼びかけです。人間社会は今、戦争、紛争の広がり、軍事力による占領に苦しんでいるのですから。文明間の衝突が起これば、相違点だけが大きくなり、人種や階級の違いばかりが強調され、敵意と憎しみの心が広がるばかりです。
ですから、私たちは国際社会にこう訴えたいと思います。各国の平和で建設的な共存を支え、人間を尊重し、あらゆる形式の差別、暴力、過激主義、侵略を認めないために、もっと努力をしていかなくてはなりません。
また、今日この歴史ある大学から、科学研究のさまざまな分野でもっと協力を進めることを呼びかけたいと思います。それは、すべての人類にとって利益があり、よいことだからです。
大学総長閣下
皆様
サウジアラビア王国では、日本が化学技術のあらゆる分野で高い水準に達していることを、尊敬しています。私たちはまた、サウジアラビア・日本両国の各学術機関の間で行われている協力関係を高く評価しています。この実り多い協力関係をさらに強めていくために、二大聖地の守護者であるアブドッラー ビン アブドルアジーズ国王が、サウジアラビア高等教育省に指示を出し、日本をサウジの学生の留学先の一つに指定したことを、ここで喜びをもって発表したいと思います。
さまざまな分野において両国の学術的な協力関係を拡大することは、両国関係の発展にもおおいに役に立つと私は確信しています。
このスピーチをしめくくる前に、皆様にお礼を申し上げたいと思います。このたび、私にこのような非常に名誉ある学位を賜りましたことに対して、深く御礼を申し上げます。
この機会がさらに、サウジアラビアと日本という、友情に結ばれた二つの国の文化的、学術的関係の新しい時代を築くのに役立つことを期待しています。
皆様に平安が訪れますように。
|
| (早稲田大学に於いて、4月7日) |
|
「Helping People to Help Themselves」が支援方針の根幹
|
 |
早稲田大学総長 白井克彦 |
 |
 |
| 式辞を述べる白井総長 |
|
 |
本日、ここにサウジアラビア王国スルターン ビン アブドルアジーズ アール=サウード皇太子殿下をお迎えし、名誉博士号の学位を贈呈できますことは、早稲田大学にとりまして、たいへん大きな誇りであります。
1931年にサウジアラビア王国創設者であるアブドルアジーズ ビン アブドルラハマーン アール=サウード国王のご子息として生まれた殿下は、王室内において早くから外交、文化、宗教に関する英才教育を受けました。祖国の代表として国連の会議に数多く出席されるとともに、サウジアラビア王国初の農業大臣、交通大臣を勤めるなど若くしてその政治的手腕を発揮してきました。
また、環境問題に関してアラブ社会におけるはじめての環境保護推進者として、世界的に著名であり、特に水資源の環境保護問題に関しては世界的なフロンティアとして、自ら賞を設け、その推進に寄与されています。また、大学で環境関連講座を担当されるなどその活動範囲は広く、実践的なことで知られています。
皇太子殿下は自ら設立したスルターン ビン アブドルアジーズ アール=サウード基金を通じて各種の支援事業を行っており、スルターン ビン アブドルアジーズ福祉市を創設し、リハビリテーションセンター、関連医療施設のほか、児童福祉施設、500床以上の総合医療、福祉施設を建設して世界中から人々を受け入れています。
また、本学の協定校であり、皇太子殿下の支援が厚いキング ファハド鉱物資源大学内に、医療と教育を遠隔会議システム等で行うプログラムを構築し、児童を中心とした関連科学技術推進のための研究センターを設立しています。
そのほか、マラリア撲滅や目の不自由な人々の支援をはじめとして、井戸の掘削から学校、病院施設、図書館、人工透析センター等の建設など広範な支援活動をサウジアラビア国内だけでなく、世界規模で展開し、その活動は大きな賞賛を得ています。
皇太子殿下の支援方針の根幹は「Helping People to Help Themselves」であり、支援を受けた人々が最終的には自立できることを主眼に置いているため、その効果は末永く世代を超えて広がる大変価値のある支援になっているといえるでしょう。
早稲田大学は、以前からイスラーム文化の側面からメッカの存在するサウジアラビア王国と学術交流がありましたが、近年は、キング ファハド鉱物資源大学と本学国際情報通信研究科とのICT分野の共同研究などの技術交流も始まっています。
環境保護や児童、福祉、医療、人道支援、技術・学術交流支援など、サウジアラビア王国の威信を高め、人類への多大な貢献を世界規模で展開しているスルターン ビン アブドルアジーズ アール=サウード皇太子殿下を本学にお迎えできることはこの上ない喜びであります。
また、今回の皇太子殿下の日本訪問はサウジアラビア王国と日本のより親密な関係の発展に大いに役立つことと信じます。
フロンティアとして先頭にたって様々な活動を展開する皇太子殿下の足跡は、大隈重信が創立した早稲田大学が心のよりどころとする「進取の精神」の理念と深く響きあっています。これからお聞かせいただく皇太子殿下の記念講演は21世紀の地球に生きる若い学生諸君に大きな励ましとなるものと思います。
最後に、皇太子殿下のご健勝と益々のご活躍を祈念しつつ、私の式辞といたします。
|
(早稲田大学に於いて、4月7日)
|
(写真提供:早稲田大学)
|
転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.217 June 2006
(2007年5月25日更新)
|
|